大野松雄
大野 松雄(おおの まつお、1930年6月17日[1] - 2022年12月19日)は、日本の音響デザイナー、音響効果技師、現代音楽家。テレビアニメ『鉄腕アトム』に関わったことで知られている。
大野 松雄 | |
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生誕 | 1930年6月17日 |
出身地 | 日本・東京府神田区 |
死没 |
2022年12月19日(92歳没) 日本・京都府京都市東山区 |
ジャンル | 電子音楽 |
職業 | 音響デザイナー |
活動期間 | 1953年 - 2022年 |
レーベル |
経歴
編集1930年、東京府神田区に生まれる[2]。東京府立第六中学校(現・東京都立新宿高等学校)を経て、旧制富山高等学校を中退[2]。
1963年から1966年にかけて放映された『鉄腕アトム』において、テープ変調を使用してアトムの足音やビームの音などを作り出し[3]、これが日本SFアニメの効果音の定型となった[4]。1975年には、それらの効果音を集めたアルバム『鉄腕アトム 音の世界』が発売されている[3]。1985年のつくば万博では「ハートピア・自然の美パビリオン」で上映された「バーズアイ・ビジョン」の音響を担当[5]。2009年には、自身初となるコンサートを開いた[6]。2011年、大野の半生を追ったドキュメンタリー映画『アトムの足音が聞こえる』が公開された[7]。同年、1978年のソロ・アルバム『そこに宇宙の果てを見た』が再発された[8]。また、40年以上にわたり、滋賀県の知的障害者施設で舞台音響を手がけていた[9]。
2022年12月19日午前7時28分に肺化膿症のため京都市東山区の病院で死去。葬儀は近親者で営んだことを12月21日に関係者が明らかにした。92歳没[10][11][12]。
ディスコグラフィー
編集アルバム
編集- 『鳥獣戯楽』(1970年、万博会場で発売のソノシート)。※ 後にLP7インチ版がEM Recordsから出た(2011年9月27日)。
- 『鉄腕アトム 音の世界』(1975年、LPレコード)※ 後にCD版が出た(CD1枚、2009年6月24日、レーベル:日本伝統文化振興財団、品番:VZCG712)。
- 『そこに宇宙の果てを見た』(1978年、LPレコード)※ 2012年にEM RecordsからCD版が出た(ボーナスディスクCDとして『鳥獣戯楽』(元はソノシート)を含む、CD2枚組)。
- 『大野松雄の音響世界1』(2005年2月2日、CD1枚、キングレコード)※ 収録内容:「鉄腕アトム・音の世界/大和路/Yuragi・他」。
- 『大野松雄の音響世界2』(2005年2月2日、CD1枚、キングレコード)※ 収録内容:「そこに宇宙の果てを見た/「惑星大戦争」電子音響」。
- 『大野松雄の音響世界3』(2005年2月2日、CD1枚、キングレコード)※ 収録内容:「『はじまり』の記憶」 。
- 『Yuragi#10』(2011年5月25日、CD1枚、レーベル:Headz 、品番:HEADZ-153)。
- 大野松雄 x 3RENSA:『space_echo by HardcoreAmbience』(CD1枚、2020年4月29日、レーベル: P-VINE RECORDS、品番:PCD25293)。
- 『茶の木仏のつぶやき』(2020年9月30日)、(CD、レーベル:宇治香園、品番:UJKCD5185、収録時間:00:52:06)。
シングル
編集- 鳥獣戯楽(1970年)
フィルモグラフィー
編集映画
編集- 流血の記録 砂川(1957年) - 音響
- 山かげに生きる人たち(1961年) - 音響
- ザ・タージ・マハル・トラベラーズ~旅について(1973年) - 監督
- あざみ寮・もみじ寮 今日もみんな元気です(1974年) - 監督
- 風の景色(1976年) - 音響
- 惑星大戦争(1977年) - 電子音響デザイン
- アトムの足音が聞こえる(2011年) - 出演
テレビ
編集DVD/BD
編集- 「アトムの足音が聞こえる ~THE ECHO OF ASTRO BOY'S FOOTSTEPS」、レーベル: ポニーキャニオン、Blu-ray Disc、品番:PCXP10056(本編82分、特典付き版は全編142分、発売2011年12月21日)※廃盤。
- DVD版はグリオグルーヴから2017年1月21日発売,本編88分。
受賞
編集- 2009年 - 東京国際アニメフェア 功労賞[13]
脚注
編集出典
編集- ^ 『現代物故者事典 2021〜2023』日外アソシエーツ、2024年、p.116。
- ^ a b c “大野松雄”. 日本音楽即興学会. 2017年4月19日閲覧。
- ^ a b 今井邦彦 (2009年7月13日). “「アトム」音響デザイナー・大野松雄 79歳初ライブ”. 朝日新聞. 2013年11月6日閲覧。
- ^ 伊藤 2020, p. 39.
- ^ 西山 1985, p. 37.
- ^ 冨永昌敬 (2011年6月29日). “大野松雄 『鉄腕アトム』の音をつくった電子音の怪人”. WIRED. 2013年11月6日閲覧。
- ^ “アトムの足音を作った音響デザイナーの波乱の人生を追う”. 音楽ナタリー (2011年5月17日). 2017年4月19日閲覧。
- ^ 三田格 (2012年1月16日). “第5回 2011年のリイッシュー・ベスト3”. ele-king. 2013年11月6日閲覧。
- ^ 川本ケン (2011年6月11日). “冨永昌敬監督『アトムの足音が聞こえる』”. STUDIO VOICE. 2012年10月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年11月6日閲覧。
- ^ AF Twitter 2022年12月19日
- ^ 定塚遼 (2022年12月21日). “鉄腕アトムの歩く音作った 音響デザイナー・大野松雄さん死去”. 朝日新聞 2022年12月22日閲覧。
- ^ 「音響デザイナー大野松雄さん死去 「鉄腕アトム」の効果音担当」『中國新聞デジタル』2022年12月21日。2022年12月24日閲覧。
- ^ “アニメフェア第5回功労賞 赤塚不二夫氏、小松原一男氏ら9名”. アニメ!アニメ! (2008年12月9日). 2017年4月19日閲覧。
参考文献
編集- 伊藤剛 (2020-07). “なぜ、変身ヒーローはかくも身体を徹底して覆うのか”. 広告 (博報堂) 41 (4): 36-39. NDLJP:2680045/20.
- 西山東男 (1985-07). “つくば EXPO'85 バーズアイビジョンで撮って「ハートピア」三金会館”. 映画撮影 (日本映画撮影監督協会) 89: 36-37. NDLJP:7954655/20.
外部リンク
編集- 大野松雄 (OHNOMATSUO.page) - Facebook
- 大野松雄 - 日本音楽即興学会
- 大野松雄 - allcinema
- 大野松雄 - KINENOTE
- 大野松雄 - 日本映画データベース
- Matsuo Ono - IMDb
- Matsuo Ono - Discogs
- 奇妙で多彩な音…「鉄腕アトムの足音」生みの親、アナログ手法で近未来ライブ(2020年10月23日読売新聞記事)
- ドキュメンタリー映画「アトムの足音が聞こえる」公式ページ。
- 大野松雄 / みどり、ざわめく「とき」
- 漫画の神様”をどなりつける!?鉄腕アトムの足音を作った伝説の音響デザイナー【越前屋変人類研究所】ABCテレビニュース(放送年2021年?) 最晩年の90歳と半年のときのインタビューテレビ番組。
- (天声人語)「アトムの足音」(朝日新聞2022年12月26日記事)
- 大野松雄(音響デザイナー)・大友良英(音楽家) 特別対談~コロナ世界をどう生きるか(収録2020年8月)
- TALK『大野松雄vs大友良英 TALK & LIVEセッション』JAMJAMラジオ×メトロ大學 presents (2015年4月5日)
- 追悼・大野松雄 (京都新聞、全4回連載) 「鉄腕アトムの足音をつくった男」