大和久満
大和 久満(やまと ひさみつ、1938年(昭和13年)12月6日 - 2013年(平成25年)1月2日)は、昭和、平成期に活動した新邦楽大和楽の三味線方で二代目家元。本名、高橋久満。兵庫県姫路市出身。芳村 伊十七(よしむら いそしち)の名前での長唄の三味線活動も行った。また古賀政男より芳賀 稔(はが みのる)の作曲名を受ける。社団法人長唄協会、日本コロムビア株式会社(専属)、東京北ロータリークラブに所属。
やまと ひさみつ 大和 久満 | |
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本名 | 高橋久満 |
別名義 | 芳村伊十七、芳賀稔(はがみのる) |
生年月日 | 1938年12月6日 |
没年月日 | 2013年1月2日(74歳没) |
出生地 | 兵庫県姫路市 |
職業 |
江戸長唄三味線 大和楽三味線 大和楽二代目家元 |
活動期間 | 1946年 -2013年 |
活動内容 | 長唄、大和楽 |
著名な家族 | 長女・大和櫻笙(大和楽三味線)。 |
公式サイト | 大和楽ホームページ |
主な作品 | |
「月慈童」 「四季の花」 「花吹雪」 「かしく道成寺」 「四季の花」 「北斎浮世絵の旅」 「早春」 「すしや」 「鶯宿梅」 「源氏物語」 「序の舞」 | |
受賞 | |
1964年 「軒端の雨」長唄協会作曲コンクール入賞 |
経歴
編集- 1938年(昭和13年) 兵庫県姫路市に生まれる。
- 1946年(昭和21年) 8歳から三味線の稽古を始める。
- 1954年(昭和29年) 3年間、芳村伊十郎 の内弟子となる。
- 1956年(昭和31年) 17歳で芳村伊十七の名を許される
- 1959年(昭和34年) 「創作邦楽研究会」同人となり、今藤長十郎、清元梅吉 (四世)、常磐津英寿(人間国宝)らと創作活動を始める。
- 1969年(昭和44年) 大和楽『月慈童』の作曲が縁となり、初代家元大和美世葵に望まれて、立三味線及び作曲家として、大和楽に入る。この前後で創設者の大倉聡松、岸上きみ、宮川寿朗の名人が相次いで亡くなり、低迷状態が続いていた。
- 1970年(昭和45年) 大和久満の名を許され、大和楽理事長に就任する。
- 1977年(昭和52年) テレビ東京『美の美』で2週にわたり、「枕絵」の作曲・演奏をする。
- 1977年(昭和52年) ベルギー国営放送で『日本の美』を紹介、作曲・演奏を担当する。
- 1986年(昭和61年) 名古屋西川流「名古屋をどり」において松山善三とコンビを組み、新作舞踊劇の作曲を担当する(松山とのコンビは1997年(平成9年)までであったが、久満の作曲担当はその後も継続した)。
- 1987年(昭和62年) 大和楽二代目家元襲名。
- 1988年(昭和63年) テレビ東京『芸と人~大和楽の若き家元』に出演。
- 1989年(平成元年) 尾上菊五郎劇団結成40周年記念「二月大歌舞伎」(歌舞伎座)『源氏物語絵巻』(大和久満作曲)に大和楽として歌舞伎公演に初出演する。
- 1990年(平成2年) 明仁天皇即位の儀「安の儀」において長唄立三味線を勤める。
- 1991年(平成3年) 花柳錦勇主催「若樹会」において、黒田清子(紀宮様)が大和楽『團十郎娘』『江島生島』に御出演。地方演奏を勤める
(1986年(昭和61年)の初舞台『鶯宿梅』の折も演奏を勤める)。 - 1991年(平成3年) NHK『芸能花舞台』のテーマ音楽を作曲・演奏する(1997年(平成9年)まで使われる)。
- 1991年(平成3年) NHK『名曲アルバム』に三味線音楽として初出演する(芳村伊十七)。
- 2004年(平成16年) 大和楽創設70周年記念演奏会を国立劇場にて開催、新曲『楊貴妃』発表。
- 2007年(平成19年) 芳村伊十七芸歴50周年記念長唄演奏会を国立劇場にて開催。
- 2009年(平成21年)
- 大和楽創設75周年記念演奏会を国立劇場で開催。
- 五代目 中村富十郎主催の「矢車会」の長唄のタテ三味線で出演。
- 大和楽二代目家元を創設80周年を目途に引退することを表明。三代目家元は長女櫻笙が継承予定。
- NHK『芸能花舞台』に出演。岸上きみ作曲「河」を演奏。
- 2012年(平成24年) 三代目家元の襲名は2014年(平成26年)の大和楽創設80周年での披露を予定していたが、自身の体調を考慮し、急遽家元継承式のみを前倒しで行なう。
- 2013年(平成25年) 1月2日、永眠[1]。
長唄三味線の第一人者として多方面で活躍する傍ら、大和楽家元としてもその手腕を発揮した。演奏・作曲ともに役者・舞踊家からの委嘱が多く、美しい音色と高級な曲想が人々の心を捉える。
受賞
編集- 1964年(昭和39年) 「軒端の雨」長唄協会作曲コンクール入賞。
- 1979年(昭和54年) グリーンリボン演技賞受賞。
- 2003年(平成15年) 第33回エリクソンモービル音楽賞(邦楽部門)受賞。
作曲(昭和44年から昭和63年)
編集曲目 | 初演 | 作詞 | 作曲 |
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月慈童 | 昭和44年 | 駒井義之 | 大和久満 |
濡桔梗 | 昭和44年 | 岩田直二 | 大和久満 |
四季の花 | 昭和45年 | 大和久満 | 大和久満 |
隅田川 | 昭和46年 | 長田幹彦 | 大和久満 |
花吹雪 | 昭和46年 | 田中青滋 | 大和久満 |
すしや | 昭和46年 | 渥美清太郎 | 大和久満 |
おさん茂兵衛 | 昭和46年 | 花柳寿輔 | 大和久満 |
松の栄 | 昭和47年 | 大和久満 | 大和久満 |
加賀の千代 | 昭和47年 | 村上元三 | 大和久満 |
春鶯囀 | 昭和48年 | 綾部洸一 | 大和久満 |
花くらべ | 昭和48年 | 大和久満 | 大和久満 |
吉野聞香 | 昭和48年 | 田中青滋 | 大和久満 |
江戸風流 | 昭和49年 | 仁村美津夫 | 大和久満 |
恋の篝火 | 昭和49年 | 綾部洸一 | 大和久満 |
牡丹灯籠 | 昭和49年 | 綾部洸一 | 大和久満 |
かしく道成寺 | 昭和49年 | 初代猿若清方 | 大和久満 |
雪山童子 | 昭和49年 | 谷村陽介 | 大和久満 |
早春 | 昭和49年 | 永山智香子 | 大和久満 |
芥川 | 昭和50年 | 長谷川幸延 | 大和久満 |
橋本 | 昭和50年 | 長谷川幸延 | 大和久満 |
お春望郷 | 昭和50年 | 石川潭月 | 大和久満 |
花しぐれ | 昭和50年 | 堀田英夫 | 大和久満 |
双花譜 | 昭和50年 | 仁村美津夫 | 大和久満 |
お夏残照 | 昭和50年 | 田中青滋 | 岸上きみ・大和久満 |
浄瑠璃十二段 旅枕 | 昭和51年 | 田中青滋 | 大和久満 |
あすなろう | 昭和52年 | 仁村美津夫 | 大和久満 |
七夕 | 昭和52年 | 花柳寛 | 大和久満 |
百合頌 | 昭和52年 | 田中青滋 | 大和久満 |
牡丹灯籠 | 昭和53年 | 土橋成男 | 大和久満 |
藤むらさき | 昭和53年 | 仁村美津夫 | 大和久満 |
鳥竜と貴竜 | 昭和53年 | 谷村陽介 | 大和久満 |
船弁慶 | 昭和53年 | 谷村陽介 | 大和久満 |
追慕曲 | 昭和54年 | 田中青滋 | 大和久満 |
虹の花 | 昭和54年 | 谷村陽介 | 大和久満 |
情焔 | 昭和54年 | 花柳寛 | 大和久満 |
宝船 | 昭和55年 | 大和久満 | 大和久満・大和美世葵 |
花寿童 | 昭和55年 | 谷村陽介 | 大和久満 |
恋の帯(お夏清十郎) | 昭和55年 | 田中青滋 | 大和久満 |
妄執 | 昭和56年 | 村上元三 | 大和久満 |
お吟さま(花紅蓮) | 昭和56年 | 花柳寛 | 大和久満 |
若き日の釈尊 | 昭和56年 | 谷村陽介 | 大和久満 |
江島生島恋慕蝶 | 昭和58年 | 駒井義之 | 大和久満 |
武蔵野風月 | 昭和58年 | 仁村美津夫 | 大和久満 |
源氏物語 | 昭和58年 | 土橋成男 | 大和久満 |
鏡花三彩 | 昭和58年 | 猿若清方 | 大和久満 |
柳の四季 | 昭和58年 | 立石隆一 | 大和久満 |
静散華 | 昭和59年 | 生田盛 | 大和久満 |
序の舞 | 昭和59年 | 萩原雪夫 | 大和久満 |
光源氏 | 昭和59年 | 谷村陽介 | 大和久満 |
花有情 | 昭和59年 | 小川清子 | 大和久満 |
おさん | 昭和60年 | 本田英郎 | 大和久満 |
絵踏 | 昭和60年 | 村上元三 | 大和久満 |
雪の舞 | 昭和61年 | 萩原雪夫 | 大和久満 |
有情まんだら | 昭和61年 | 北條喜久 | 大和久満 |
鶴 | 昭和61年 | 永山智香子 | 大和久満 |
晶子ざくら | 昭和61年 | 小川清子 | 大和久満 |
恋のすず風 | 昭和61年 | 伊藤寿朗 | 大和久満 |
夕ぐれ | 昭和61年 | 小川清子 | 大和久満 |
恋の菅笠 | 昭和62年 | 小川清子 | 大和久満 |
明石町 | 昭和62年 | 小川清子 | 大和久満 |
浅茅の路 | 昭和62年 | 由井宏典 | 大和久満 |
風流洛中洛外 | 昭和62年 | 谷村陽介 | 大和久満 |
花影幻想 | 昭和63年 | 藤間勘紫恵 | 大和久満 |
寒田の里 | 昭和63年 | 信元虚園 | 大和久満 |
蒼い鶴 | 昭和63年 | 今井道子 | 大和久満 |
作曲(平成元年から)
編集曲目 | 初演 | 作詞 | 作曲 |
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源氏物語絵巻 | 平成元年 | 田中青滋 | 大和久満 |
大和恋飛脚 | 平成元年 | 駒井義之 | 大和久満 |
初暦夢の雛鶯 | 平成元年 | 辻村ジュサブロー | 大和久満 |
雪の降る街を | 平成元年 | 内村直也 | 大和久満 |
花を恋い | 平成元年 | 山口洋子 | 大和久満 |
菊若葉 | 平成元年 | 萩原雪夫 | 大和久満 |
娘みこし | 平成元年 | 岩田道之輔 | 大和久満 |
宮戸川 | 平成元年 | 岩田道之輔 | 大和久満 |
恋瀬舟 | 平成元年 | 岩田道之輔 | 大和久満 |
恋ほたる | 平成元年 | 岩田道之輔 | 大和久満 |
奥山もみじ | 平成元年 | 岩田道之輔 | 大和久満 |
深川しぐれ | 平成元年 | 岩田道之輔 | 大和久満 |
一期一会の恋 | 平成2年 | 駒井義之 | 大和久満 |
京の川 | 平成2年 | 堀田将司 | 大和久満 |
淀君 | 平成2年 | 谿渓太郎 | 大和久満 |
恋の流し雛 | 平成2年 | 辻村ジュサブロー | 大和久満 |
兵庫旅情 攝播の五泊 | 平成3年 | 駒井義之 | 大和久満 |
兵庫旅情 淡路の神話 | 平成3年 | 駒井義之 | 大和久満 |
兵庫旅情 芦屋の処女 | 平成3年 | 駒井義之 | 大和久満 |
兵庫旅情 明石の源氏 | 平成3年 | 駒井義之 | 大和久満 |
兵庫旅情 神崎の梅が枝 | 平成3年 | 駒井義之 | 大和久満 |
兵庫旅情 須磨の敦盛 | 平成3年 | 駒井義之 | 大和久満 |
兵庫旅情 宝津の友君 | 平成3年 | 駒井義之 | 大和久満 |
恋は根岸 | 平成3年 | 岩田道之輔 | 大和久満 |
雪の朝 | 平成3年 | 岩田道之輔 | 大和久満 |
松 | 平成3年 | 岩田道之輔 | 大和久満 |
梅 | 平成3年 | 岩田道之輔 | 大和久満 |
雨 | 平成3年 | 岩田道之輔 | 大和久満 |
城 | 平成3年 | 岩田道之輔 | 大和久満 |
壽 | 平成3年 | 岩田道之輔 | 大和久満 |
舟 | 平成3年 | 岩田道之輔 | 大和久満 |
夢 | 平成3年 | 岩田道之輔 | 大和久満 |
舞 | 平成3年 | 岩田道之輔 | 大和久満 |
深川雀 | 平成3年 | 萩原雪夫 | 大和久満 |
斎王 | 平成4年 | 勝美伊三次 | 大和久満 |
花の面影 | 平成4年 | 萩原雪夫 | 大和久満 |
この女生涯婚姻を禁ず | 平成4年 | 福田一郎 | 大和久満 |
六花傘 | 平成4年 | 猿若清方 | 大和久満 |
夢あかり | 平成4年 | 駒井義之 | 大和久満 |
鯉の舞 | 平成5年 | 東彰治 | 大和久満 |
思桜 | 平成5年 | 吉岡治 | 大和久満 |
博多ばやし | 平成5年 | 花柳滝蔵 | 大和久満 |
阿国かぶかん | 平成5年 | 谷村陽介 | 大和久満 |
戌の春 | 平成5年 | 信元虚園 | 大和久満 |
お峰抄 | 平成6年 | 谿渓太郎 | 大和久満 |
舞の道 | 平成6年 | 芝千洲 | 大和久満 |
あすなろうの詩(雪月花) | 平成6年 | 芝千洲 | 大和久満 |
隠り沼 | 平成6年 | 伊藤晃 | 大和久満 |
鹿鳴館に行った女 | 平成6年 | 植田伸爾 | 大和久満 |
彼岸ざくら | 平成6年 | 榎本滋民 | 大和久満 |
お玉花しぐれ | 平成6年 | 猿若清方 | 大和久満 |
かくれんぼ | 平成6年 | 岩田道之輔 | 大和久満 |
舞妓 | 平成6年 | 岩田道之輔 | 大和久満 |
江戸の賑い | 平成6年 岩 | 田道之輔 | 大和久満 |
浅草田圃 | 平成6年 | 岩田道之輔 | 大和久満 |
花小袖 | 平成6年 | 岩田道之輔 | 大和久満 |
亥年の春 | 平成6年 | 信元虚園 | 大和久満 |
蔵の中 | 平成6年 | 久世光彦 | 大和久満 |
繪島配所 | 平成6年 | 海津一郎 | 大和久満 |
笹小舟 | 平成7年 | 吉田香代子 | 大和久満 |
花洛道成寺 | 平成7年 | 駒井義之 | 大和久満 |
初丸髷 | 平成7年 | 田中青滋 | 大和久満 |
四季の舞松 | 平成7年 | 内春生 | 大和久満 |
子の春 | 平成7年 | 信元虚園 | 大和久満 |
あじさい | 平成8年 | 岩田道之輔 | 大和久満 |
舟ゆらら | 平成8年 | 岩田道之輔 | 大和久満 |
春譜 | 平成8年 | 由井宏典 | 大和久満 |
花ゆかり | 平成9年 | 花柳壽輔(補作) | 大和久満 |
まほろばの四季 | 平成9年 | 藤須磨子 | 大和久満 |
恋桜 | 平成9年 | 東條走 | 大和久満 |
四季のもの売り | 平成10年 | 小川清子 | 大和久満 |
憧れ(月と河童) | 平成10年 | 猿若清方 | 大和久満 |
砂引草の花 | 平成10年 | 飯塚幸恵 | 大和久満 |
主催の発表会
編集長唄・大和楽の七葉会、大和楽大和会、名古屋満つる会。
収録CD
編集- 1975年(昭和50年) 日本コロムビア株式会社より『大和楽全集』。
- 1977年(昭和52年) 三味線独奏曲『北斎浮世絵の旅』作曲・レコード発売(芳村伊十七)。
- 1977年(昭和52年) 『今藤長之・芳村伊十七長唄名曲選』。
- 1991年(平成3年) 『大和楽大全集』CD、『邦楽ナンバーワンアーティストによる日本の音/三味線/芳村伊十七』CD発売。
- 1998年(平成10年) 『新大和楽選集』CD発売。
脚注
編集- ^ 長唄・大和楽三味線方の芳村伊十七さん死去 朝日新聞 - archive.today(2013年4月24日アーカイブ分)