外構
外構(がいこう)とは、居住、生活する建物の外にある構造物全体を指す言葉である。それには門、車庫、カーポート、土間、アプローチ、塀、柵、垣根、などの構造物、それに庭木、物置、また後述する関連品も含まれる。
概要
編集外構をエクステリア(Exterior)と呼ぶ場合もあるが、エクステリアの場合は建築物を取り巻く構造物という意味より、建物を取り巻く空間、あるいは環境と位置づけされ、そこにはインテリアのように装飾性、機能性、娯楽性が大きく含まれる。一般にインテリア(内装)の対義語として用いられることがあるが、特性に鑑みるならば根は同じで、それが内部か外部かという違いだけである。もっとも、インテリアは装飾性に特化されているものが多い(インテリアカーテンや装飾家具など)なか、装飾性ももちろんであるが、機能性、また娯楽性に重きを置いている傾向がある。
業界の関連団体としては、公益社団法人日本エクステリア建設業協会、 外構に関する資格は、1・2級エクステリアプランナー、ブロック塀診断士、1級ブロック建築技能士 職業訓練指導員(ブロック建築科)免許 などがある。 就職先の主な仕事は、ブロック建築施工、タイル施工、左官施工 などがある。
外構の種類
編集大まかに分けると以下の2つに分けられる。
クローズド外構
編集外部からの視線を遮断し、住まいの風格を表す堅牢な門扉や塀を設けるなど、主に外部と敷地内部を分け隔てる目的で造作される。一時代前の日本の建築に多く見られる。閉鎖的な短所がある。
オープン外構
編集欧米に多く見られるような、門扉や塀の代わりに樹木や草花を植栽し、開放的に見せ、道行く人をも楽しませ、同時に町並み全体への配慮も考慮したもの。住宅の洋風化に伴い、近年多く見られる。
上記2つの要素を取り入れた折衷型のスタイルとして、セミクローズド外構があり、現在の日本では主流になっている。
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クローズド外構。風格ある門扉や塀を設け、伝統的な日本建築に多く採用される。
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セミクローズド外構を持つ住宅。
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オープン外構を持つ住宅。
特性
編集- 装飾性
- インテリアと同じく重要視される要素であり、外壁や塀、生け垣のように個人、建造物をドレスアップし、外部に視覚的に訴えるものと、造園、植栽、鉢植えなど内部的に視覚に楽しみを与えるものがある。とりわけ、前者は都市景観を形成する一要因にも成りうる。これは、インテリアにはない特徴であり、美しい町並みはこの要素が端整であることの証明であり、地域の特徴を印象づける要素になり得るものである。
- 機能性
- 機能性はインテリア以上に高いウェートを占める。もっとも、機能性だけの代物(たとえば無粋に塗られたモルタル壁や殺風景なブロック塀など)も双方が重要視されるといってよい。自家用車を格納するガレージ、カーポートや自宅を守る門扉、外を照らす外灯などが挙げられる。
- 娯楽性
- この空間は機能性、装飾性より利用者の娯楽性が大きい。近年はこの娯楽性に訴えかけた関連品が多く、近年人気の高いテラス、ウッドデッキなどが娯楽性を高めた典型例といえる。
- 耐久性の問題
- 室外で施される装飾、構造物のため、シックハウス症候群やアレルギーなど、健康面を取り沙汰されることは少ない反面、日夜激しい気温、気象の変化に曝されるため、耐用性が問題になっている。特に直射日光、昼夜の寒暖差、高湿、降雨、紫外線などは構造物の材質や装飾を変化させてしまう原因であり、こまめにメンテナンスをしないと簡単に劣化、変色、剥離してしまう。これらは見た目だけの不快感だけでなく、万が一の事故につながったりするケースもある。また、手入れのない放置状態は都市景観を損ねるために、住民同士のコミュニティを悪化させる可能性もある。
- 建築基準法上の問題
- カーポートのように基礎が土地に固定され、屋根があるものについては、10平米以上であれば確認申請が必要な建築物となる。また、狭小地等では建ぺい率を超えて違法建築となる場合がある。
外壁の例
編集- おおず赤煉瓦館 現在も風格ある外構が残り、観光施設となっている
- 旧山内家下屋敷長屋 ホテル三翠園の外構の一部として保存されている
- トアホテル ホテルが営業していた当時の外構の大部分は現存、神戸外国倶楽部が引き継いでいる
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旧白毫院庭園外構。江戸時代以前の景観をとどめ、穴太衆積みの洞窟、外構の石垣が現存する
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田淵氏庭園外構
関連項目
編集外部リンク
編集- 外構工事設計要領(構内舗装・排水等編) (PDF) 東京都財務局建築保全部