国鉄シサ1形貨車(こくてつシサ1がたかしゃ)は、1959年(昭和34年)5月11日に1両のみ富士車輌で製造され、日本国有鉄道に車籍を有した、20トン積み低床落し込み式大物車である。

国鉄シサ1形貨車
基本情報
車種 大物車
運用者 日本国有鉄道
所有者 酒井鉄工所→東京芝浦電気(東芝
製造所 富士車輌
製造年 1959年(昭和34年)
製造数 1両
消滅 1981年(昭和56年)
常備駅 湊町駅朝明信号場
主要諸元
車体色
軌間 1,067 mm
全長 12,300 mm
全幅 2,300 mm
全高 1,954 mm
荷重 20 t
自重 15.2 t
換算両数 積車 3.0
換算両数 空車 1.6
台車 TR41A
車輪径 860 mm
軸距 1,650 mm
台車中心間距離 8,200 mm
最高速度 65 km/h→75 km/h
テンプレートを表示

全長12,300 mm(車体長11,500mm)、低床面の長さは4,800 mmで、これはシキ40形とほぼ同じものであった。しかし低床部に貨物積載用に穴が開けられており、これがシキ40形と異なる点であった。側梁が魚腹形で低床部だけ下に折れ曲がっている構造であるが、この部分の床板は全くなく、枕木方向に横梁が4本通されているのみであった。

台車は、当時の標準型であったベッテンドルフ式のTR41Aを2基装備する。ブレーキ装置は、KD形を前後の台車別に2組装備した。

当初は酒井鉄工所所有私有貨車であった。常備駅は湊町駅であった。黒部川第四発電所向けに水圧鉄管を輸送する目的で製造されたものと考えられており、信濃大町駅まで2週間に1回の割合で輸送を行っていた。酒井鉄工所の所有した唯一の私有貨車であった。

1963年(昭和38年)に東京芝浦電気(東芝)へ譲渡され、三重工場そばにある朝明信号場常備となった。以後は鉄板で開口部を塞ぐ形で変圧器などの輸送に用いられた。1981年(昭和56年)6月11日に廃車となった。

本形式の特筆すべき運用として、1962年(昭和37年)と1963年、1966年(昭和41年)の3回にかけて行われた、営団地下鉄日比谷線(現、東京メトロ日比谷線)の秋葉原人形町東銀座などにある地下変電所への変圧器の輸送がある。日比谷線への乗り入れは北千住駅から行い、目的地の地下変電所までは3000系電車にけん引されたという。

参考文献

編集
  • 吉岡心平『大物車のすべて 下』(初版)ネコ・パブリッシング〈RM LIBRARY 93〉、2007年5月1日。ISBN 978-4-7770-5200-4 
  • 貨車技術発達史編纂委員会 編『日本の貨車 -技術発達史-』(初版)日本鉄道車輌工業会、2009年4月30日。 
  • 吉村新吉『巷説 東京地下鉄道史 もぐら見聞録』日本鉄道図書株式会社、1985年5月20日、初版(日本語)。