前田晋太郎
前田 晋太郎(まえだ しんたろう、1976年〈昭和51年〉6月30日[1] - )は、日本の政治家。山口県下関市長(2期)。元下関市議会議員(2期)。
前田 晋太郎 まえだ しんたろう | |
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内閣府地方創生推進室より公表された肖像 | |
生年月日 | 1976年6月30日(48歳) |
出生地 | 日本 山口県下関市新地西町 |
出身校 | 長崎大学水産学部 |
前職 |
安倍晋三衆議院議員秘書 下関市議会議員 |
所属政党 | 自由民主党 |
公式サイト | 前田 晋太郎(まえだ しんたろう) |
当選回数 | 2回 |
在任期間 | 2017年3月27日 - 現職 |
下関市議会議員 | |
当選回数 | 2回 |
在任期間 | 2011年 - 2017年 |
来歴
編集山口県下関市新地西町生まれ[2]。下関市立桜山小学校、下関市立文洋中学校、山口県立下関西高等学校、長崎大学水産学部卒業[3]。
大学卒業後、25歳で山口県に帰郷し、山口県議会議員の友田有[注 1]の運転手となる。2003年に安倍晋三の地元事務所に入所[2][3]。
2009年3月の下関市長選挙に友田有は安倍の支援を受けて立候補するも、参議院議員の林芳正が推す中尾友昭に敗れ落選[6]。前田は安倍の秘書を7年4ヶ月務めたのち退職[注 2]。2011年1月30日に行われた下関市議会議員選挙に自民党公認で立候補し、初当選した[2][3][13]。
2期目の任期途中の2016年12月、翌年の下関市長選挙に出馬する意向を表明し、下関市議を辞職[14]。
2017年3月12日に行われた市長選では、自由民主党の公認[15] と安倍晋三首相[16] や安倍昭恵夫人[17] の支援を受け、林芳正に近い現職の中尾友昭と、元市議の松村正剛を破り、初当選した[18]。選挙戦では、「築60年以上の現下関市役所庁舎の取り壊し」「取り壊し跡地への新庁舎の移築」「市内を走る全バス路線へのICカード導入」「下関駅バスターミナルの整備」[16][19]「あるかぽーと地区周辺の再開発や沖合人工島「長州出島」の企業誘致」などを公約に訴えた[20]。3月27日、市長就任[21][22]。
※当日有権者数:225,864人 最終投票率:47.09%(前回比:+5.05pts)
候補者名 | 年齢 | 所属党派 | 新旧別 | 得票数 | 得票率 | 推薦・支持 |
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前田晋太郎 | 40 | 自由民主党 | 新 | 48,896票 | 46.39% | |
中尾友昭 | 67 | 無所属 | 現 | 45,546票 | 43.21% | |
松村正剛 | 63 | 無所属 | 新 | 10,958票 | 10.40% |
同年7月、経済産業省商取引監督課課長補佐の芳田直樹を下関市副市長に起用した[23][24]。
2019年3月18日、下関市立大学の新理事長に元副市長の山村重彰を任命すると発表した[25]。
2021年3月14日投開票の同市長選挙で元市議の田辺よし子を破り再選。
※当日有権者数:216,871人 最終投票率:37.52%(前回比:-9.57pts)
候補者名 | 年齢 | 所属党派 | 新旧別 | 得票数 | 得票率 | 推薦・支持 |
---|---|---|---|---|---|---|
前田晋太郎 | 44 | 無所属 | 現 | 57,291票 | 71.56% | (推薦)自由民主党山口県連・公明党山口県連・連合山口 |
田辺よし子 | 72 | 無所属 | 新 | 22,774票 | 28.44% |
市政・人物
編集選挙公約
編集- 市長就任から2022年6月時点までで達成した公約として「子供医療費の軽減、子育て支援拠点施設の開設」、「全ての小中学校にエアコン設置やIT化を推進」[26][27]、「星野リゾートホテル誘致による臨海開発」[28]、「耐震・防災機能を備えた新庁舎の整備」[29][30]、「行財政改革(せんたく会議等)の推進」「バスICカードの導入」[31]、「新総合体育館建設計画」[32]を挙げている。
- 新定住奨学金制度の導入、人工島(長州出島)の企業誘致、MSCクルーズ客船の誘致、1コインバスなどについては「一部実現した」と述べている[33]。
桜を見る会をめぐる問題で安倍首相を擁護
編集- 2019年11月8日の参議院予算委員会で、支出金額が増加の一途をたどる「桜を見る会」について、田村智子が安倍晋三首相を追及。それ以降、安倍が「桜を見る会」に後援会関係者らを多数招いていたことが国会で大きな問題となった。選挙区内の寄付行為の疑いがもたれる中[34]、前田は同年11月18日に行われた定例記者会見で次のように質問に答え、安倍首相を擁護した[35][36]。
自分が何十年も頑張って応援してきた代議士がトップを取って、招待状が届いて、やっぱり今まで応援してきてよかったなって、いいじゃないですか。そういうなんか、人情的な感覚というのは公金を扱ってルールにのっとって正しくやっていく中では、あまり言っちゃいけないのかもしれないけど、そういうのもあっていいんじゃないですか。
やっぱり70、80歳のおじいちゃん・おばあちゃんたちがネクタイぴしっとしめて、着物着て、人生一番の大勝負で新宿御苑に向かうんですよ。あの時、あの喜んで行っている姿を見ると地方を元気にしてくれている会だなと思っていました。
ああいう全くうその情報を流している野党を追及してくださいよ。変な伝票出てきたり。全部作りネタじゃないですか。おかしいですよ。 — 下関市長定例記者会見における前田晋太郎の答弁、2019年11月18日[35]
- 同年12月11日、下関市は、前田の発言に対し全国から278件の意見が寄せられ、うち272件が批判的な内容であったことを明かした。前田はこの日の市議会一般質問で「選挙に貢献した方々について利益供与はあってもいいということになるか」と問われたが、「間違ったことは言っていない」「謝罪する気持ちはありません」と態度を崩さなかった[37]。
育鵬社の教科書を採用
編集- 2020年夏、翌年度から4年間使われる中学教科書の採択が各地で行われた。歴史と公民においては、安倍晋三ならびに八木秀次が理事長を務める日本教育再生機構の後押しを受け、育鵬社が着実にシェアを伸ばしてきていたが、同社の教科書を使っていた自治体の半数以上がこの年、他社版に切り替えた[39]。そうした中、下関市教育委員会は同年7月30日の定例会で、歴史教科書に育鵬社版を、児玉教育長と4人の委員の全会一致で採択した[40]。新規に採択した自治体は全国で下関市だけだったため注目を浴びた[41]。教科書展示会場で市民等から寄せられた意見33件のうち16件が、育鵬社の歴史用教科書に否定的かつ、採用してほしくないという意見であり、肯定的な意見が皆無だったことが、同年12月8日の市議会定例会で明らかとなった[42]。
- 2021年4月14日、前田は児玉教育長の再任人事案を市議会に提出。これに対し、片山房一市議が上記の件について言及し「明らかに、教育長個人の意思を反映する方向に誘導した教科書採択」と発言した。前田は答弁で「首長からの(教育委員会の)独立性、これは私も認識している」「教科書採択について、教育長に指示したことは全くない」と述べた[43]。
その他
編集- 2022年8月10日、朝日新聞の取材に応じ、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関わりについて、「会合に2回出席したことがある」と答えた[44]。
- 2024年9月19日に行われた市議会定例会で、前田が観光施策について答弁した際に、被爆地である広島と長崎を訪問することを「お悔やみトリップじゃないけれども」と発言した。これに対し批判が上がったことで、同月25日、記者団の取材に対し「とっさの表現だった。大変申し訳ない」と謝罪したうえで、「被爆者への敬意は常に持っている。決してやゆするつもりはなかった」と釈明した[45]。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ 『全国歴代知事・市長総覧』日外アソシエーツ、2022年、354頁。
- ^ a b c “選挙:下関市長選 候補者の横顔/中 前田晋太郎候補(40)=自新/山口”. 毎日新聞. (2017年3月8日) 2017年10月1日閲覧。
- ^ a b c 市長プロフィール - 下関市
- ^ “自民党山口県連幹部の2県議が旧統一教会系団体役員 「日韓トンネル推進山口県民会議」の会長・幹事長”. 中国新聞 (2022年9月22日). 2022年12月17日閲覧。
- ^ プロフィール 山口県議会議員 友田たもつ
- ^ 浜崎裕治 (2017年3月13日). “下関市長選「安倍VS林」の代理戦争~「一強」の首相に追い風”. NetIB-News. 2022年12月17日閲覧。
- ^ “晋和会 政治資金収支報告書(平成30年分定期公表)” (PDF). 総務省 (2019年11月29日). 2019年12月2日閲覧。
- ^ “東京政経研究会 政治資金収支報告書(平成30年分定期公表)” (PDF). 総務省 (2019年11月29日). 2019年12月2日閲覧。
- ^ “山口晋友会 政治資金収支報告書(平成30年分定期公表)” (PDF). 総務省 (2019年11月29日). 2019年12月2日閲覧。
- ^ “安倍晋三後援会 政治資金収支報告書(令和元年分定期公表)” (PDF). 山口県選挙管理委員会 (2020年11月27日). 2020年12月8日閲覧。
- ^ “山口政経研究会 政治資金収支報告書(令和元年分定期公表)” (PDF). 山口県選挙管理委員会 (2020年11月27日). 2020年12月8日閲覧。
- ^ “自由民主党山口県第四選挙区支部 政治資金収支報告書(令和元年分定期公表)” (PDF). 山口県選挙管理委員会 (2020年11月27日). 2020年12月8日閲覧。
- ^ 下関市議会議員選挙 - 2011年01月30日投票 | 山口県下関市 | 選挙ドットコム
- ^ “下関市長選に安倍首相の元秘書・前田市議が出馬表明”. 産経新聞. (2016年12月1日) 2017年10月1日閲覧。
- ^ 下関市長選挙 - 2017年3月12日投票 | 候補者一覧 | 政治山
- ^ a b “下関市長選 「潮目が変わった」 安倍首相、前田氏を全面支援 山口”. 産経新聞. (2017年1月20日) 2017年10月1日閲覧。
- ^ “安倍首相の元秘書が当選 下関市長選、昭恵氏も再三応援”. 朝日新聞. (2017年3月13日) 2017年10月1日閲覧。
- ^ “下関市長に前田氏初当選 課せられた政治的「ノーサイド」”. 産経新聞. (2017年3月14日) 2017年10月1日閲覧。
- ^ “山口・下関市長選の争点に浮上 市庁舎耐震化か建て替えか 中尾・前田両陣営「こちらが安上がり」”. 産経新聞. (2017年3月9日) 2017年8月7日閲覧。
- ^ “下関市長に前田氏 市政刷新を訴え浸透”. 山口新聞. (2017年3月13日) 2017年8月7日閲覧。
- ^ “「希望の街つくりたい」 前田・下関市長が初登庁 山口”. 産経新聞. (2017年3月28日) 2017年10月1日閲覧。
- ^ “下関と萩 新市長が初登庁”. 山口新聞. (2017年3月28日) 2017年8月7日閲覧。
- ^ “下関市、副市長に経産官僚・芳田氏 山口”. 産経新聞. (2017年6月24日) 2017年8月7日閲覧。
- ^ “副市長に芳田氏/山口”. 毎日新聞. (2017年6月29日) 2017年8月7日閲覧。
- ^ “下関市立大学の新理事長に山村重彰氏 江島市政時代の元副市長が復権”. 長周新聞. (2019年3月19日) 2019年12月19日閲覧。
- ^ “下関市:エアコン、順次稼働 市内全小中学校/山口”. 2021年2月27日閲覧。
- ^ 平成30年度12月補正下関市政策予算説明資料 (PDF) -下関市、2021年2月27日閲覧。
- ^ “星野リゾート、下関のホテル「リゾナーレ」に格上げ”. 産経新聞. (2021年10月9日) 2022年7月12日閲覧。
- ^ “本庁”. 2021年2月27日閲覧。
- ^ “下関市役所に市民広場 鯨のモニュメントも完成”. 朝日新聞. (2020年10月6日) 2021年2月27日閲覧。
- ^ “山口県に初導入!交通系ICカード「nimoca」のサービス開始について”. 2021年2月27日閲覧。
- ^ “【PFI】下関市新総合体育館整備事業について”. 2022年7月12日閲覧。
- ^ “前田晋太郎後援会”. 2021年2月27日閲覧。
- ^ “桜を見る会で首相を刑事告発へ、選挙区内の寄付行為疑い”. 朝日新聞. (2019年11月18日) 2019年11月19日閲覧。
- ^ a b 近藤綾加 (2019年11月18日). “桜を見る会 安倍首相の元秘書・下関市長はこう答えた…定例記者会見・一問一答”. 毎日新聞 2019年11月19日閲覧。
- ^ 貞松慎二郎 (2019年11月18日). “桜を見る会「地方に元気を与えてくれる会」 下関市長”. 朝日新聞 2019年11月19日閲覧。
- ^ 近藤綾加 (2019年12月11日). “「桜を見る会」で首相擁護 お膝元の下関市長に全国から批判続々”. 毎日新聞 2019年12月11日閲覧。
- ^ 下関市議会 会議録検索システム 平成30年第1回定例会 03月27日-07号。
- ^ 宮崎亮 (2020年10月11日). “歴史・公民、育鵬社版が激減 中学教科書、前回採択の半数以上が他社版に切り替え”. 朝日新聞 2022年6月23日閲覧。
- ^ “【教育委員会議事録】令和2年7月定例会” (PDF). 下関市教育委員会 (2020年7月30日). 2022年6月23日閲覧。
- ^ 國枝すみれ (2020年9月22日). “安倍氏が支援した育鵬社教科書の採択が激減した理由 菅首相は…”. 毎日新聞 2022年6月23日閲覧。
- ^ 下関市議会 会議録検索システム 令和2年第4回定例会 12月08日-02号。
- ^ 下関市議会 会議録検索システム 令和3年第1回臨時会 04月14日-02号。
- ^ “安倍氏元秘書の下関市長、旧統一教会との関わりは「会合に2回出席」”. 朝日新聞 (2022年8月11日). 2022年8月11日閲覧。
- ^ “被爆地やゆ?発言を謝罪 前田晋太郎下関市長”. 共同通信社. 2024年9月25日閲覧。
外部リンク
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