初陣 (映画)
『初陣』(ういじん)は、1933年(昭和8年)製作・公開、冬島泰三原作・脚本・監督による日本の長篇劇映画、剣戟映画、サイレント映画(サウンド版)である[1][2][3][4][5]。二代目林又一郎の長男、林敏夫の映画デビュー作として知られる[1]。
初陣 | |
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公開当時のチラシ。 | |
監督 | 冬島泰三 |
脚本 | 冬島泰三 |
原作 | 冬島泰三 |
出演者 |
林敏夫 林長二郎 坂東好太郎 高田浩吉 |
撮影 | 伊藤武夫 |
製作会社 | 松竹下加茂撮影所 |
配給 | 松竹キネマ |
公開 | 1933年11月1日 |
上映時間 | 約110分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
略歴・概要
編集本作は、当時の松竹下加茂撮影所のスター、林長二郎(のちの長谷川一夫)の2作目『お嬢吉三』(監督衣笠貞之助、1927年)の脚本を手がけた冬島泰三のオリジナルシナリオを採用し、冬島が監督した作品である[1][2][3][4][5][6]。本作は、白虎隊を主題にし、林長二郎の甥にあたる公開当時満18歳の「新スター林敏夫」をプロモーションする意図をもって製作され、同社は林長二郎、坂東好太郎、高田浩吉といった当時のスターをそろえて、オールスター豪華配役を組んだ[1]。
中野忠晴歌唱による本作の主題歌『初陣の唄』も製作され、コロムビア・レコードから発売されたレコードのB面には、林敏夫本人と「私同様、甥、林敏夫をよろしく」という林長二郎の肉声による口上も収録されていた[7]。各地のレコード店の店頭で繰り返し流され、盛大なプロモーションとなった[7]。同年11月1日、東京・浅草公園六区の帝国館を皮切りに、全国で公開された[2][3]。同館での同時上映は、松竹蒲田撮影所製作のサウンド版現代劇『大学の若旦那』(監督清水宏、主演藤井貢)であった[8]。
サウンド版として製作された本作は、上映用プリントのサウンドトラックに音楽等が入ったものであり、芝居はサイレントベースであり、林敏夫は、本作以降の出演作でも、翌1934年(昭和9年)12月31日に公開された井上金太郎監督のトーキーによる正月映画『侠客曾我』までは、サウンド版ないしは純然たるサイレント映画に出演をつづけた[9]。
2013年(平成25年)1月現在、東京国立近代美術館フィルムセンターも、マツダ映画社も、本作の上映用プリントを所蔵しておらず、現存していないとみなされるフィルムである[10][11]。
スタッフ・作品データ
編集キャスト
編集主題歌
編集- A面『初陣の唄』(ういじんのうた) : 歌唱中野忠晴、作詞西岡水朗、作編曲江口夜詩、演奏コロムビア・オーケストラ
- B面『挨拶 初陣について』(あいさつ ういじんについて) : 口上林敏夫・林長二郎
- レーベル番号 :27637
- 発売日 : 1934年1月
- 発売元 : コロムビア・レコード
脚注
編集- ^ a b c d キネマ旬報社[1979], p.467.
- ^ a b c 初陣、日本映画データベース、2013年1月26日閲覧。
- ^ a b c 初陣、 日本映画情報システム、文化庁、2013年1月26日閲覧。
- ^ a b 初陣、 映連データベース、日本映画製作者連盟、2013年1月26日閲覧。
- ^ a b 初陣 、KINENOTE, 2013年1月26日閲覧。
- ^ 冬島泰三 - 日本映画データベース、2013年1月26日閲覧。
- ^ a b 今村ほか[1987], p.159.
- ^ 大学の若旦那、日本映画データベース、2013年1月26日閲覧。
- ^ 林敏夫 - 日本映画データベース、2013年1月26日閲覧。
- ^ 所蔵映画フィルム検索システム、東京国立近代美術館フィルムセンター、2013年1月26日閲覧。
- ^ 主な所蔵リスト 劇映画 邦画篇、マツダ映画社、2013年1月26日閲覧。
参考文献
編集- 『日本映画俳優全集・男優編』、キネマ旬報社、1979年10月23日
- 『講座日本映画 5 戦後映画の展開』、今村昌平・新藤兼人・山田洋次・佐藤忠男・鶴見俊輔、岩波書店、1987年1月14日 ISBN 4000102559
- 『芸能人物事典 明治大正昭和』、日外アソシエーツ、1998年11月 ISBN 4816915133