出刃包丁
出刃包丁(でばぼうちょう)は和包丁の一つ。単に出刃と呼ばれることもある。魚を捌くための包丁であり、現代では肉を切る用途にも使われている。刃渡りは10cm程度のものから50cm程度の大きいものまでさまざまである。一般的には15cmから20cm位のものが多い。
歴史
編集出刃包丁について確認できる最も古い記録は江戸時代の『堺鑑』であり、「魚肉を料理する庖丁」と紹介されている。その時には既に堺の名品として知られていたらしく、詳細な登場時期や普及過程などは明らかになっていない。
『堺鑑』には「その鍛冶、出歯の口もとなる故、人呼んで出歯庖丁と云えり」と記述されているが[1]、これが普及や時間経過とともに「出刃」に変わっていったものと考えられる。
『本朝世事談綺』にも出歯庖丁について類似の記述がある。
形状
編集この包丁は魚の首を落とし、三枚おろしにするために設計されている。魚の骨を切るために他の包丁と比べて重くなっている。
形状は、刃の幅が広く厚みがあり、多くは刃元にかなり鈍角な刃を持っている。大きさはさまざまであり、使う対象によって使い分けを行う。対象に合わない大きさの出刃包丁はかえって使いづらい。小さく薄手のものは鯵切り包丁とも呼ばれる。
一般的には片刃であるが、地域により両刃のものや、刃の幅を少なくしているもの、また切刃を広くしているものなどもある。
用途
編集出刃包丁の特徴は主に魚を下ろすためにつくられたものである。刃元が太いことから魚の頭を刃にダメージを受けることなく切り落とすことができる。また、鳥の小骨程度であればやはり切ることができる。刃の半ばから先にかけては鰭を切り落としたり、内臓を取り払ったり、魚の小骨を気にすることなく捌くことができる。しかし、出刃包丁は太い骨を切ることを目的として作られたものではない。元々は魚を切るために開発された包丁であったが、現在では魚だけでなく肉、また冷凍された食材を切ることにも使われている。
脚注
編集- ^ 《堺鑑》(翻刻)PDF版 (PDF) 、45頁