令和3年8月の大雨

2021年8月11日以降に日本で発生した大雨

令和3年8月の大雨(れいわ3ねん8がつのおおあめ)では[1][2]2021年令和3年)8月11日以降に、西日本を中心に発生した大雨とそれによる被害等について述べる[3]

令和3年8月の大雨
発災日時 2021年8月11日 - 8月19日
被災地域 日本の旗 日本
災害の気象要因 前線による大雨
人的被害
死者
13人
負傷者
17人
建物等被害
全壊
45棟
半壊
1,321棟
一部損壊
337棟
床上浸水
845棟
床下浸水
4,390棟
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概要

 
土石流発生場所を視察する内閣府副大臣赤澤亮正(2021年8月24日、長野県岡谷市
 
土石流発生場所を視察する内閣府副大臣赤澤亮正(2021年8月24日、長野県岡谷市

2021年8月、梅雨末期に近い気圧配置となったことから[4][注 1]、活発な前線の影響により、九州北部では11日からの降水量が1,000ミリを超え、1週間も経たず年間雨量の5割に達する地域も出る[5]など、全国各地の広範囲で記録的な大雨となり、河川の氾濫土砂崩れ、道路の崩壊などが多発した[6]。また、多くのバス鉄道などの交通機関運休し、高速道路国道通行止めなどが相次いで発生した[7]岐阜県加茂郡八百津町では竜巻による被害も発生した[8]

気象庁は「大雨特別警報」や線状降水帯の発生による「顕著な大雨に関する全般気象情報」などを各地に発表した[9]。 1982年以降の比較可能な全国1029地点のアメダスで集計された旬降水量の総和は、8月中旬(11日 - 20日)は235,788.5ミリ(1地点あたり229.1ミリ)となり、平成30年7月豪雨(西日本豪雨)を上回る記録的な雨量となった[10][注 2]。8月13日、政府は首相官邸危機管理センターに設置していた情報連絡室を格上げし、官邸連絡室を設置した[11]。政府は同日午前、「西日本を中心とする大雨に関する関係閣僚会議」を首相官邸で開き、当時内閣総理大臣菅義偉は、記録的な大雨による災害の発生を警戒するため特定災害対策本部の設置を指示し[12]、同日午後には、当時防災担当大臣棚橋泰文を本部長とする特定災害対策本部を設置した[13]。14日午後7時時点で、長野県、岐阜県、島根県広島県福岡県佐賀県長崎県の7県(82万世帯、181万人)に[14]、翌15日の朝時点では千葉県、長野県、島根県、広島県、福岡県、佐賀県の6県(26万世帯、58万人)に「緊急安全確保」が発令されていた[15]。この他、神奈川県足柄上郡山北町松田町富山県氷見市では1時間に100ミリ以上の猛烈な雨が降り、「記録的短時間大雨情報」が発表された[16][17]

総務省消防庁によると、一連の大雨により全国で13人の死亡が確認された[18]。長野県、島根県、広島県、福岡県、佐賀県、長崎県の21市町村には災害救助法が適用されることになった[19]

被害状況

令和3年8月の大雨による被害(2022年3月25日・総務省消防庁)[18]
都道府県 人的被害 住家被害
死者 負傷者 合計 全壊 半壊 一部破損 床上浸水 床下浸水 合計
重傷 軽傷
福島県 1 1
埼玉県 1 1
千葉県 1 6 5 12
東京都 1 1 5 7
神奈川県 1 1
富山県 1 1
長野県 3 1 4 8 7 4 40 1 463 515
岐阜県 1 1 2 42 24 54 122
静岡県 1 1
愛知県 2 8 23 33
三重県 5 4 9
滋賀県 6 47 53
京都府 1 5 19 25
大阪府 1 1
兵庫県 1 1 1 1
和歌山県 1 1 16 1 7 24
島根県 5 1 21 27
岡山県 1 3 2 6
広島県 3 1 4 11 78 37 120 343 589
山口県 2 6 6 14
徳島県 4 4
愛媛県 2 3 3 8
福岡県 2 1 3 10 53 56 346 970 1,435
佐賀県 4 4 5 1,083 14 271 2,045 3,418
長崎県 5 1 6 7 1 9 2 21 40
熊本県 1 1 1 4 53 36 94
大分県 2 1 1 3 7 14
鹿児島県 1 1 2 8 10
合計 13 4 13 30 45 1,234 300 796 4,091 6,466

脚注

注釈

  1. ^ 偏西風の大きな蛇行や熱帯海域(インド洋東部など)における高い水温などの影響が考えられる[4]
  2. ^ 西日本豪雨の時とは違い、南海上に台風は存在しなかったため、非常に激しい雨を観測した地点は少なかった。

出典

  1. ^ 令和3年8月の大雨について”. 首相官邸. 2021年8月17日閲覧。
  2. ^ 令和3年8月の大雨による被害状況等について - 内閣府
  3. ^ 気象庁前線による大雨 令和3年8月11日~8月19日 (PDF)
  4. ^ a b 大気の流れ停滞、記録的豪雨に 梅雨末期に近い気圧配置”. 日本経済新聞 (2021年8月16日). 2021年8月16日閲覧。
  5. ^ 土砂災害に厳重警戒 わずか1週間で1000ミリ超の雨 平年の年間雨量のおよそ5割/九州 1週間で年間雨量の5割に達する記録的大雨 - tenki.jp (2021年8月17日)
  6. ^ 8月の大雨に関する関係閣僚会議(第2回)”. 首相官邸 (2021年8月15日). 2021年8月17日閲覧。
  7. ^ 大雨で高速道路など通行止め…西日本から北日本で今後も注意 8月16日14時00分現在まとめ”. レスポンス(Response.jp) (2021年8月16日). 2021年8月17日閲覧。
  8. ^ 前線による大雨”. www.data.jma.go.jp. 気象庁. 2021年9月17日閲覧。
  9. ^ 令和3年8月11日からの大雨による被害及び消防機関等の対応状況 (第14報) (PDF) - 総務省消防庁 (2021年8月19日)
  10. ^ 令和3年8月の記録的な大雨の特徴とその要因について”. 気象庁. 2021年9月14日閲覧。
  11. ^ 大雨で菅首相指示「人命第一で災害応急対策に全力を」 2021/8/13
  12. ^ 菅首相、特定災害対策本部の設置表明 「命を守る行動」呼び掛け 2021/8/13 毎日新聞
  13. ^ 菅首相、人命第一の対応を指示 大雨で特定災害対策本部を設置 2021年8月13日 東京新聞
  14. ^ 日本放送協会 (2021年8月14日). “「緊急安全確保」7県の計82万世帯 181万人に(19:00)”. NHKニュース. 2021年8月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月14日閲覧。
  15. ^ 英国放送協会 (2021年8月15日). “日本で記録的大雨 各地で「緊急安全確保」や「避難指示」”. BBCニュース. 2021年8月15日閲覧。
  16. ^ 令和3年8月11日からの大雨による被害状況等について(第9報)” (PDF) (2021年8月17日). 2021年8月17日閲覧。
  17. ^ 記録的短時間大雨情報データベース”. 2021年8月21日閲覧。
  18. ^ a b 総務省消防庁令和3年8月11日からの大雨による被害及び消防機関等の対応状況 (第25報) (PDF)
  19. ^ 令和3年8月11日からの大雨による災害にかかる 災害救助法の適用について【第9報】” (PDF). 内閣府 (2021年8月18日). 2021年8月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月23日閲覧。

外部リンク