五山版
五山を中心として寺院で開版された刊本
五山版(ござんばん)は、宋元時代の禅籍の出版隆盛の影響を受け、五山を中心として寺院で開版された刊本のことである。京都の五山が出版の中心であったが、鎌倉円覚寺の続灯庵などでも出版された。
概要
編集中世日本では、禅文化が盛んとなり、漢文学としての五山文学が興隆した。それに付随する形で自然と出版文化も起こることとなったのである。その多くは、日本に伝来した宋版や元版(宋元版)を底本として覆刻されたものであったため、木版印刷の古様を伝えるものが多く、書誌学的な資料価値が非常に高いものが多く存在する。
中世文化の中枢
編集出版の経緯
編集- 1287年、建長寺で『禅門宝訓』が開版される。
- 1288年、山城国(京都府)三聖寺で東山湛照が『虎丘隆和尚語録』等を刊行する。
- 1329年以後、元よりの渡来僧、竺仙梵僊が『拾遺偈頌集』を出版する。
- 1340年 - 1370年代、春屋妙葩らにより禅籍多数が出版される。
その他にも、『論語』、『論語集解』、『毛詩鄭箋』、『大学章句』、『古文真宝』等の外典(げてん)[2]も出版された。だが、応永中(1394年 - 1428年)あたりから往時の盛行が影をひそめ、応仁の乱より後は、全く刊行されなくなってしまった。
出典
編集- ^ 川瀬『五山版の研究 上巻 序』、1 - 2頁 。
- ^ 『外典』 - コトバンク
参考文献
編集- 川瀬一馬『五山版の研究 上巻』日本書籍商業協同組合、1970年 。
- 川瀬一馬『五山版の研究 下巻』日本書籍商業協同組合、1970年 。