主計寮
主計寮(しゅけいりょう)は、律令制において民部省に属した機関。訓はかずえのつかさなど。唐名は金部、比部、度支(たくし)。
概要
編集主計寮は税収(特に調)を把握・監査することが職掌である。具体的には租税の量を計算し、それが規定の量に達しているか監査する。
ただし、『令集解』により、大宝律令と養老律令ではその職掌が変更されていることが知られている。大宝律令では「計納調租財貨」を扱う役所とされていたが、養老律令では「計納調及雑物」に改められ、大宝律令では民部省の職務とされていた「計納国用」「勾用度」が養老律令では「支度国用」「勘勾用度」と改められて新たに追加されている。つまり、大宝律令では(労役の代替としての性格を持つ)庸以外の租税の収納と計量を扱っているのみであったが、養老律令では庸も扱うようになり、財政に関する権限が民部省から移管されて、民部省は勘会(監査)を扱うようになった[1]。
なお、主税寮は租税(特に租)や出挙の帳簿との照合などによる監査を通じて地方財政を管轄した。そのため数学(算道)に関する技術が求められ、算博士が必ず主計寮か主税寮の頭か助を兼務するなど、枢要の職として律令制崩壊後も存続した。主計寮の属(さかん)の一人は廩院の勾当となってその事務に専念した。
職員
編集脚注
編集- ^ 神戸航介「律令官衙財政の基本構成」『日本古代財務行政の研究』(吉川弘文館、2022年) ISBN 978-4-642-04669-5 P9-10.(原論文:『史学雑誌』126巻11号、2017年)