メーターゲージ
メーターゲージは、鉄道の路線の軌間が1000mm、すなわち1メートルである狭軌の一種であり、多くの国の鉄道の狭軌の標準として世界中で広く使用されている。
メーターゲージの鉄道ネットワークは、南アメリカ、フランス語圏のアフリカ、および東南アジアで見られる。ヨーロッパでは、これらの路線の多くが徐々に廃止されてきたが、スイスやスペインなどの国では、メータゲージによる鉄道ネットワークが長距離にわたって存在している。
歴史
編集現代の狭軌による鉄道路線は1860年代に始まり、狭軌の一種である1067mm(3フィート6インチ)軌間の鉄道は技師であったカール・アブラハム・ピルが設計し、ノルウェーで初めて建設された。その軌間の鉄道は、イギリスの鉱山会社の助けを借りて世界中の多くの国に広がった。たとえば、スペインでは、1867年にウエルバのサンファンデルプエルトに到達する鉄道が1067mm軌間で開通した。その後、アフリカ(南アフリカからスーダン、なお、南アフリカでは後にケープゲージと呼ばれるようになる)および東南アジアに存在したイギリスの植民地においてもその軌間による鉄道の建設が進められ、その地域の主要な軌間となった。
一方でフランスでは、狭軌の鉄道向けの軌間としてヤード・ポンド法ではなくメートル法を基準とした1000mm(=1m)軌間が開発され、1880年に法律によって確立された[1] 。これにより、アフリカ中央部(セネガルからコートジボワールまで)、マダガスカル、インドシナのフランスの植民地では、1000mm軌間による鉄道建設が進められた。ドイツは、先行したフランスの例に従い現在のカメルーンとタンザニアにまたがる鉄道をメーターゲージで建設した。
1853年に建設されたカルカジェントとアルシーラ間を結ぶ14.7kmは、スペインで初めてメーターゲージを採用した鉄道となった[2]。1880年代後半には、狭軌の鉄道は1000mmか、または1067mmかの選択にゆれていた[3]。1889年末までに、既に600kmを超える狭軌の鉄道が運行しており(ほとんどすべてがメーターゲージ)、スペインの鉄道ネットワークは1,300km強に達していた[4] 。
ヨーロッパでは、現在、広範囲のメーターゲージによる鉄道ネットワークがスイス、スペイン北部、および多くの都市の路面電車で運行されているが、フランス、ドイツ、ベルギーでは、ほとんどの路線が20世紀半ばに廃止された。
使用
編集メーターゲージは、世界中で、95000kmの路線で使用されている。一部の統計では、1067mmなどの類似の軌間をメーターゲージに含めている[5]。
これらの類似の軌間も合わせると、20世紀の終わりの時点では、メーターゲージの路線長は、224000kmになり[6]、世界のすべての鉄道システムの全体の長さの約20%にあたる。
導入例
編集国/地域 | 鉄道 |
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アルゼンチン | 11080 km ベルグラーノ将軍鉄道 |
オーストリア |
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バングラデシュ | 1830 km そのうち365 kmは、1676 mm軌間の三線軌条である。 |
ベルギー |
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ベナン | 578 km ベナン鉄道(旧 ベナン・ニジェール鉄道輸送共同体) |
ボリビア | →詳細は「ボリビアの鉄道」を参照
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ブラジル |
23489 km |
ブルガリア |
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ブルキナファソ |
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ミャンマー | ビルマ鉄道 3200 km, ⼭岳鉄道 160 km |
カンボジア | 612 km |
カメルーン | 1104 km |
チリ | 2923 km |
中国 |
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クロアチア | |
チェコ |
スデテンランドにある他の都市と同様に、リベレツの路⾯電⾞は以前はメートルゲージであった。ただし、市内中⼼線は標準軌に改軌し、メーターゲージが残っている唯⼀の線は、リベレツとジャブロネツの間を結ぶ路⾯電⾞の13 km区間。 |
フィンランド |
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フランス |
歴史的には多くの地⽅および地域の鉄道で使⽤されていたが、現在はそのうちの数本しか残っていない。 |
ドイツ |
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ギリシャ | ペロポネソスのメーターゲージの鉄道網はヨーロッパで最大であったが、現在は改軌工事のため、大半の区間の営業が休止されており、パトラス都市圏のパトラス鉄道とオリンピア・カタコロ観光列⾞のみ運行 |
インド |
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イラク | メソポタミア鉄道 |
イスラエル | イスラエル鉄道・テルアビブ=エルサレム線が開業時、メーターゲージであった。 |
イタリア |
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コートジボワール |
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ケニア | ケニア鉄道 |
ラオス | タイ国鉄のラオス国内区間(3.5 km) |
ラトビア |
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マダガスカル | →詳細は「マダガスカルの鉄道」を参照
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マレーシア | マレー鉄道とサバ州立鉄道 |
マリ | |
ニュージーランド |
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ノルウェー | |
パキスタン |
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ポーランド |
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ポルトガル |
数路線の山岳支線に存在していたが、1990年代にほとんどが廃止された。メーターゲージの路線同士は相互に接続されていなかったが、広軌(1668 mm)のポルトガル鉄道とは、共同駅や三線軌条によって接続していた。 |
ルーマニア | |
ロシア |
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セネガル | ダカール・ニジェール鉄道 -1287 km(800マイル) |
セルビア |
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シンガポール |
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スロバキア |
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スペイン |
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スウェーデン |
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スイス |
多数の通勤路線、山岳路線、ラックレール路線、⻑距離路線、路⾯電⾞がある |
タンザニア |
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タイ | タイ国鉄 4346 km |
トーゴ | 568 km |
トルコ |
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ウガンダ | ウガンダ鉄道 |
ウクライナ |
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イギリス | |
アメリカ合衆国 |
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ベトナム |
関連項目
編集脚注
編集- ^ Alzola Minondo, Pablo de (1885) (スペイン語). Ferro-carriles de vía ancha y de vía estrecha (Capítulo V).
- ^ Joaquín García Raya. “Cronología Básica del Ferrocarril Español de Vía Ancha” (スペイン語). Fundación de los Ferrocarriles Españoles. 2020年3月27日閲覧。
- ^ Alejandro Wilke (1887年). “Ancho más conveniente para los ferrocarriles de interés local” (スペイン語). Revista de Obras Públicas. 2020年3月27日閲覧。
- ^ “Situación de los ferrocarriles de vía estrecha en España” (スペイン語). Revista de Obras Públicas (1891年). 2020年3月27日閲覧。
- ^ Pierre Mayeux (1958). Transmondia. La revue de tous les transports. p. 20. ASIN B0000DV6RF.
- ^ Luis Ubalde Claver. Condicionantes Legales y Técnicos del Ferrocarril de Vía Estrecha a lo largo de su Historia en España. Centro de Innovación del Transporte (CENIT), Barcelona 2020年3月26日閲覧。.
- ^ Brandon, Andrew. “The Sierra Lumber Company”. Pacific Narrow Gauge. 2020年5月20日閲覧。