ミシェル・ヨー

マレーシアの女優 (1962-)

ミシェル・ヨー(Michelle Yeoh, 1962年8月6日 - )は、香港ハリウッドで活躍する女優中国系マレーシア人。本名は楊 紫瓊(Yeoh Chu Kheng)。旧芸名はミシェール・キング(Michelle King)またはミシェル・カーン(Michelle Khan)[1]

Michelle Yeoh
ミシェル・ヨー
ミシェル・ヨー
2017年、カンヌ国際映画祭にて
本名 楊 紫瓊
生年月日 (1962-08-06) 1962年8月6日(62歳)
出生地 マレーシアの旗 マレーシア ペラ州イポー
民族 中国系マレーシア人
身長 163cm
ジャンル 女優
活動期間 1983年 – 現在
配偶者 ディクソン・プーン(1988-1992)
ジャン・トッド(2004- )
主な作品
ポリス・ストーリー3
プロジェクトS
ワンダー・ガールズ』シリーズ
宋家の三姉妹
007 トゥモロー・ネバー・ダイ
グリーン・デスティニー
SAYURI
サンシャイン 2057
ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝
バビロンA.D.
レイン・オブ・アサシン
The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛
メカニック:ワールドミッション
クレイジー・リッチ!
イップ・マン外伝 マスターZ
ラスト・クリスマス
ガンパウダー・ミルクシェイク
シャン・チー/テン・リングスの伝説
エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
受賞
アカデミー賞
主演女優賞
2022年エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
ゴールデングローブ賞
女優賞(ミュージカル・コメディ部門)
2022年『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
全米映画俳優組合賞
主演女優賞
2022年『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
キャスト賞
2022年『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
その他の賞
ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞
主演女優賞
2022年『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
インディペンデント・スピリット賞
主演女優賞
2022年『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
サテライト賞
主演女優賞
2022年『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
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プロフィール

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マレーシアイポーで、華僑の両親の間に生まれた[2]。4歳からバレエを習い、15歳からロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・ダンスに留学したが、17歳のころ怪我が元で断念し、演技と振付を学んで卒業した[2]。マレーシアに帰国後、ミス・マレーシアに選ばれ、1983年のミス・ワールドに出場した[2]

1984年、ジャッキー・チェンと共演するCMで芸能デビュー[3]香港映画製作会社D&Bフィルムズ德寶電影公司)と専属契約し、サモ・ハン・キンポー監督・主演作『デブゴンの快盗紳士録』で「ミシェル・カーン」の名で女優デビューした[4]。1985年、初主演作『レディ・ハード 香港大捜査線』でアクション映画に挑戦。格闘技経験はなかったが、バレエ仕込みの身体表現で激しいカンフーアクションや危険なスタントシーンを演じ[3][4]、レディ・アクションスターの先駆けとなった。1986年の『皇家戦士』では真田広之と共演した。

1988年、D&Bフィルムズの社長ディクソン・プーンと結婚したのを機に女優を引退したが、3年後に離婚[2]。1992年、ジャッキー・チェンとの共演作『ポリス・ストーリー3』で復帰した。この映画では「走行中の貨物列車の屋根にオートバイで飛び乗る」というスタントを代役なしで演じた[3]

1997年、『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』で「ミシェル・ヨー」としてハリウッドへ進出。ジェームズ・ボンドと対等に渡り合う「戦うボンドガール」として注目を浴びた。2000年、アカデミー賞外国語映画賞ほか4部門を受賞した『グリーン・デスティニー』ではアン・リー監督と出会い、演技面で大きな転機となった[4]

アクション映画で活躍する一方で、『宋家の三姉妹』『SAYURI』などの文芸映画、『クレイジー・リッチ!』『ラスト・クリスマス』などのコメディ映画、『バビロンA.D.』『スタートレック:ディスカバリー』(TVドラマシリーズ)などのSF作品にも幅広く出演している。『カンフー・パンダ2』『ミニオンズ フィーバー』ではアニメ映画の吹替えを行った。

2004年、フェラーリF1チーム代表のジャン・トッドと婚約(事実婚)し、19年後の2023年7月に正式な婚姻を結んだ[5]。トッドは2009年から2021年まで国際自動車連盟(FIA)会長を務めた。トッドの職務に付き添い、ヨーがサーキットに姿を見せることもある[6]

2007年、レジオンドヌール勲章を受章した[7]。『グリーン・デスティニー』の女剣士、『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』のボンドガールとして有名となり、フランスとマレーシアの文化の架け橋となったことが認められたのが主な理由と語られている。

2013年にはマレーシア国王より最高勲章「タンスリ」を授与された[8]。2022年、映画芸術への貢献を認められ、アメリカン・フィルム・インスティチュート (AFI) から名誉美術博士号を授与された(アジア人アーティスト初)[9]。また、2022年TIME誌が選ぶ「アイコン・オブ・ジ・イヤー」に選ばれた[10]

2023年、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の主演エヴリン役が評価され、第80回ゴールデングローブ賞 映画部門 主演女優賞 (ミュージカル・コメディ部門)、第29回全米映画俳優組合賞主演女優賞第95回アカデミー賞主演女優賞を受賞。アジア系俳優が男女を問わずアカデミー主演賞を獲得するのは史上初の快挙となった[11]。受賞に際しヨーは「私のような見た目のすべての男の子と女の子へ、これは希望と可能性の印です。夢がかなう証しです。そして女性の皆さん、『あなたはもう盛りを過ぎた』なんて誰にも言わせてはなりません」とコメントしている[12]

同年、国際オリンピック委員会(IOC)はインドムンバイにて行われたIOC総会において、ヨーをIOC委員に選出した。ヨーはスカッシュにおいて、マレーシアのジュニア女王になった経歴があり、同選挙の委員長を務めたイギリス王女アン・エリザベス・アリス・ルイーズも投票前にその旨を紹介している[13][14]

ギャラリー

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フィルモグラフィ

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映画

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題名 役名 備考 吹替
1984 デブゴンの快盗紳士録
猫頭鷹與小飛象
(吹き替え版なし)
1985 七福星
夏日福星
柔道教室教師 ミシェール・キング名義 叶木翔子(テレビ東京版)
レディ・ハード 香港大捜査線
皇家師姐
アンナ刑事 (吹き替え版なし)
1986 皇家戦士
皇家戰士
ミッシェル 勝生真沙子(TBS版)
1987 チャイニーズ・ウォリアーズ
中華戰士
ミンミン・フー 戸田恵子(VHS版)

通天大盜
楊寧
1992 ポリス・ストーリー3
警察故事3 超級警察
ヤン 高島雅羅
1993 新流星蝴蝶剣 秘術VS妖術(VHS邦題)
新流星蝴蝶劍
コウ 『新流星蝴蝶剣』(DVD邦題) (吹き替え版なし)
プロジェクトS
超級計劃
ヤン・ホア 一城みゆ希
ワンダー・ガールズ 東方三侠
東方三侠
サン 田中敦子
ワンダー・ガールズ 東方三侠2
現代豪侠傳
マスター・オブ・リアル・カンフー 大地無限
太極張三豐
秋雪(チウ・シュエ) 岡村明美(VHS版)
魏涼子(DVD版)
1994 ファントム・セブン/香港機動警察
七金剛
イン (吹き替え版なし)
レディ・ファイター 詠春拳伝説(VHS邦題)
詠春
イム・ウィンチュン 『詠春拳』(DVD邦題)
1996 スタントウーマン/夢の破片
阿金
カム
1997 宋家の三姉妹
宋家皇朝
宋靄齢 小野洋子
007 トゥモロー・ネバー・ダイ
Tomorrow Never Dies
ウェイ・リン 松熊明子(ソフト版)
佐々木優子(フジテレビ版)
深見梨加(テレビ朝日版)
1999 もういちど逢いたくて 星月童話
星月童話
義姉 戸田恵子
2000 グリーン・デスティニー
臥虎蔵龍
Crouching Tiger, Hidden Dragon
ユー・シューリン 塩田朋子(ソフト版)
山像かおり(テレビ朝日版)
2002 レジェンド 三蔵法師の秘宝
天脈傳奇
イン 出演・製作総指揮 山像かおり
2004 シルバーホーク
飛鷹
ルル・ウォン / シルバーホーク
2005 SAYURI
Memoirs of a Geisha
豆葉 唐沢潤
2006 サンシャイン2057
Sunshine
コラゾン 塩田朋子
2008 ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝
The Mummy Tomb of the Dragon Emperor
ツイ・ユアン 塩田朋子(ソフト版)
唐沢潤(フジテレビ版)
チルドレン・オブ・ホァンシー 遥かなる希望の道
The Children ob Huang Shi
ミセス・ウォン 唐沢潤
バビロンA.D.
BABYLON A.D.
シスター・レベッカ 野沢由香里
2010 酔拳 レジェンド・オブ・カンフー
蘇乞兒
(吹き替え版なし)
レイン・オブ・アサシン
剣雨
曽静 加納千秋
2011 The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛
The Lady
アウンサンスーチー (吹き替え版なし)
カンフー・パンダ2
Kung Fu Panda 2
予言おばば 声の出演 塩田朋子
2016 Crouching Tiger Hidden Dragon:ソード・オブ・デスティニー
Crouching Tiger, Hidden Dragon: Sword of Destiny
ユー・シューリン Netflixオリジナル映画 塩田朋子
メカニック:ワールドミッション
Mechanic: Resurrection
メイ 三沢明美
モーガン プロトタイプL-9
Morgan
ルイ・チェン博士 塩田朋子
2017 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス
Guardians of the Galaxy Vol. 2
アリータ カメオ出演 きそひろこ
2018 クレイジー・リッチ!
Crazy Rich Asians
エレノア・スン=ヤン 塩田朋子
イップ・マン外伝 マスターZ
葉問外傳: 張天志
クワン 高島雅羅
2019 ラスト・クリスマス
Last Christmas
サンタ 深見梨加
2021 コンティニュー
Boss Level
ダイ・フェン 那村有香
シャン・チー/テン・リングスの伝説
Shang-Chi and the Legend of the Ten Rings
イン・ナン 塩田朋子
ガンパウダー・ミルクシェイク
Gunpowder Milkshake
フローレンス 澤崎アケミ
2022 スクール・フォー・グッド・アンド・イービル
The School for Good and Evil
エマ・アネモネ教授 Netflixオリジナル映画 塩田朋子
ハンクの肉球大決戦
Paws of Fury: The Legend of Hank
ユキ 声の出演
日本劇場未公開
高島雅羅
ミニオンズ フィーバー
Minions: The Rise of Gru
マスター・チャウ 声の出演 渡辺直美
2023 エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
Everything Everywhere All at Once
エヴリン・ワン・クワン 兼製作総指揮 塩田朋子
トランスフォーマー/ビースト覚醒
Transformers: Rise of the Beasts
エアレイザー 声の出演 本田貴子
名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊
A Haunting in Venice
ジョイス・レイノルズ (吹き替え版なし)
2024 ガーディアンと魔法の虎
The Tiger's Apprentice
リー 声の出演 塩田朋子
ウィキッド ふたりの魔女
Wicked
マダム・モリブル TBA
2025
Wicked: Part Two
ポストプロダクション
スタートレック:セクション31
Star Trek: Section 31
フィリッパ・ジョージャウ Paramount+オリジナル映画
2029 アバター4(仮題)
Avatar 4
カリーナ・モーグ博士 プリプロダクション
2031 アバター5(仮題)
Avatar 5

テレビドラマ

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題名 役名 備考 吹替
2015
Strike Back: Legacy
Mei Foster / Lieutenant Colonel Han Li Na 計9話出演
2016 マルコ・ポーロ
Marco Polo
ロータス Netflixオリジナルドラマ
シーズン2 計7話出演
伊沢磨紀
2018 スタートレック:ショートトレック
Star Trek: Short Trek
フィリッパ・ジョージャウ アンソロジー (吹き替え版なし)
2019-2020 スタートレック:ディスカバリー
Star Trek: Discovery
計24話出演 塩田朋子
2022 ウィッチャー 血の起源
The Witcher: Blood Origin
スキアン Netflixオリジナルドラマ
計4話出演
2023 アメリカン・ボーン・チャイニーズ 僕らの西遊記
American Born Chinese
観音菩薩 Disney+オリジナルドラマ
計7話出演
2024 ブラザーズ・サン
The Brothers Sun
スキアン Netflixオリジナルドラマ
計8話出演
TBA
Blade Runner 2099
オルウェン 撮影中
Amazon Primeオリジナルドラマ
TBA

日本語吹き替え

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当初は作品毎に異なる声優が務めていたが、『グリーン・デスティニー』(ソフト版)以降は主に塩田朋子が担当している。

このほかにも、唐沢潤高島雅羅深見梨加なども複数回、声を当てている。

脚注

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  1. ^ ミシェル・ヨー(Michelle Yeoh)について”. allcinema. 2023年3月17日閲覧。
  2. ^ a b c d Gilbey, Ryan (2009年1月1日). “All-action heroine” (英語). ガーディアン. http://www.guardian.co.uk/film/2009/jan/01/bond-girl-michelle-yeoh 2009年7月10日閲覧。 
  3. ^ a b c 瀧川かおり (2023年3月14日). “アジア人初のアカデミー賞主演女優賞受賞! ミシェル・ヨーの女優としての足跡をたどる”. リアルサウンド. 2023年3月17日閲覧。
  4. ^ a b c ミシェル・ヨーが語る、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』に巡り合うまでの物語”. ローリングストーン (2023年3月13日). 2023年3月17日閲覧。
  5. ^ ミシェル・ヨー結婚!元フェラーリCEOジャン・トッド77歳と”. シネマトゥデイ (2023年7月28日). 2023年7月29日閲覧。
  6. ^ FIAを率いて11年。フェラーリ全盛期から変わらぬ統率力を発揮し続ける会長/F1レース関係者紹介(8)”. autosport web (2020年6月5日). 2023年3月17日閲覧。
  7. ^ “ミシェル・ヨー、レジオン・ドヌール勲章を受章”. AFPBB News. (2007年10月4日). https://www.afpbb.com/articles/-/2292914?pid=2206212 2009年7月16日閲覧。 
  8. ^ She's Tan Sri Michelle Yeoh now”. Yahoo News. 1 June 2013閲覧。
  9. ^ ミシェル・ヨー、AFIより名誉博士号を授与される アジア人アーティスト初”. シネマカフェ (2022年8月15日). 2023年3月20日閲覧。
  10. ^ “米誌タイム「今年の人」にウクライナのゼレンスキー大統領”. BBC NEWS JAPAN. (2022年12月8日). https://www.bbc.com/japanese/63897919 2023年3月20日閲覧。 
  11. ^ 【アカデミー賞速報】主演女優賞はミシェル・ヨー、アジア系の主演賞は史上初”. 映画ナタリー (2023年3月13日). 2023年3月17日閲覧。
  12. ^ 「アカデミー賞、国際化くっきり アジア人初の主演女優賞」『日本経済新聞』2023年3月17日朝刊、文化面。
  13. ^ 新IOC委員にミシェル・ヨーさんら”. 時事通信 (2023年10月17日). 2023年10月17日閲覧。
  14. ^ オスカー俳優ミシェル・ヨーさん 新IOC委員に選出”. AFP通信 (2023年10月17日). 2023年10月17日閲覧。

外部リンク

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