プライムタイム

テレビ番組の視聴率が高くなる時間帯

プライムタイム英語: prime time)は、テレビ業界において夜の看板番組が並ぶ時間帯のこと。ただ国や地域によって具体的な時間帯は異なり、日本では毎日19:00 - 23:00の時間帯[1]、アメリカの東部時間帯太平洋時間帯に属する州では月 - 土曜の20:00 - 23:00と日曜の19:00 - 23:00の時間帯を指す。別名、プライム帯

この時間帯は1日の中で最も視聴率が高くなる時間帯であるため、各局とも花形ともいえる番組が並んでおり、その局の活力を示す指標ともとらえられ重要視される。

日本におけるプライムタイム

編集

特徴

編集

この時間帯は職場学校などからの帰宅後で在宅率が高いために視聴率が高く、各局の花形番組が並んでいるため、その局の活力を表す指標として重要視されている。なお、一部地方局ではこの時間帯のローカル枠・ローカルセールス枠に自社制作番組を放送していることがある。

日本でテレビ視聴率を測定しているビデオリサーチでは、1971年からプライムタイムについての視聴率の測定・調査をはじめている。 また、ニールセン社も日本市場に参入した1965年から撤退した2000年までは、プライムタイムについての視聴率の測定・調査を行っていた。

日本においては、プライムタイムのうち19時から22時までの時間帯をゴールデンアワーゴールデンタイム[2]と呼び、22時から23時までの時間帯と区別することが多い。広告業界においてはプライムタイム全体で広告料は最高ランクの「Aランク」とされており、22時から23時までの時間帯とそれ以外の間で取り扱いに差がない[注釈 1]

同類語に全日ノンプライムなどがある。また、テレビ朝日系列ではプライムタイムを過ぎた23:00 - 翌日1:00(深夜番組も参照)を「プライム2」、日本テレビ系列では同様の時間帯を「プラチナゾーン」と定義している。

1980年代以前は、大人対象でも基本的にファミリー向けの番組や純然たる子供向けの番組が多かったが、1990年代以降は部活動学習塾などで帰宅時間の遅くなる児童・生徒が増えるなど生活スタイルの変化の影響を受けこの時間帯の編成にも変化が生じている。

予算のかかる実写特撮は1980年代までにほぼ撤退し、少子化動画配信など視聴媒体の多様化による影響でアニメ番組も民放キー局では2019年秋 - 2020年秋は一時的に空白状態になり[注釈 2][3][4]、主に週末の19 - 21時から放送される2時間枠・単発の特別番組が年に数回放送される程度となっている[注釈 3]

上記のように帰宅の遅い若年層や児童層、20歳代から50歳代の男性に合わせるかのように週末午前中・TXNの平日や土曜・日曜の夕方に放送されるアニメや深夜アニメが増加した。

1980年代以降、この時間帯の番組は番組ジャンルにかかわらずスポーツ中継や特番の影響によりレギュラー放送の休止が年々増える傾向にあり、2000年代後半以降ではレギュラー放送が1年30回程度になっていることも多い。その代償措置及び制作費を抑制する目的で、19時台と20時台、または21時台と22時台にレギュラー放送されている番組が対になって、隔週交代で2時間枠の拡大版放送を組むケースも多く見られるようになった。一方、テレビ東京系列(火曜日・土曜日のプロ野球中継などのローカル差し替え可能な枠を除く)ではこのような休止が少なく、1年に50回近く放送しているものもある。

スポーツ中継では2000年代[注釈 4]まで、プロ野球シーズンである春~秋にかけてプロ野球中継(主に巨人戦)が各局で編成されていたが[注釈 5]、プロ野球の人気低迷に伴う視聴率低下や土休日試合のデーゲーム移行もあり、プライムタイムで中継されるプロ野球中継は大幅に減少している。その一方、2000年代後半[注釈 4]からはサッカーや水泳といった競技の国際大会の中継も頻繁に組まれるようになった。

深夜に放送されているレギュラー番組が、ゴールデンタイムにスペシャル番組として放送されることもある。

プライムタイムの視聴率首位局(年間)

編集

ビデオリサーチ調べ。

: 日本テレビ系列 : テレビ朝日系列 : TBSテレビ系列 : フジテレビ系列

関東地区

編集
年次 プライムタイム ゴールデンタイム 出典
1963年 - 1970年 (未調査) TBS
1971年 - 1974年 TBS
1975年 - 1977年 日本テレビ
1978年 - 1981年 TBS
1982年 - 1993年 フジテレビ フジテレビ
1994年 日本テレビ・フジテレビ ※同率首位 日本テレビ・フジテレビ ※同率首位
1995年 - 2003年 日本テレビ 日本テレビ
2004年 - 2010年 フジテレビ フジテレビ
2011年 日本テレビ 日本テレビ
2012年 テレビ朝日
2013年 テレビ朝日
2014年 - 2019年 日本テレビ 日本テレビ
2020年 テレビ朝日 [5]
2021年 日本テレビ・テレビ朝日 ※同率首位 [6]
2022年 日本テレビ [7]

関西地区

編集
年次 プライムタイム ゴールデンタイム 出典
1984年 朝日放送
1985年 - 1995年 関西テレビ 関西テレビ
1996年 - 2003年 読売テレビ 読売テレビ
2004年 関西テレビ 関西テレビ
2005年 - 2010年 朝日放送
2011年 関西テレビ・読売テレビ ※同率首位
2012年 - 2013年 朝日放送
2014年 - 2021年 読売テレビ 読売テレビ
2022年 朝日放送 [8]

名古屋地区

編集
年次 プライムタイム ゴールデンタイム 出典
1982年 - 1998年 東海テレビ 東海テレビ
1999年 中京テレビ
2000年 中京テレビ
2001年 - 2003年 東海テレビ
2004年 - 2011年 東海テレビ
2012年 - 2013年 名古屋テレビ 名古屋テレビ
2014年 - 2022年 中京テレビ 中京テレビ [9]

米国におけるプライムタイム

編集

定義

編集

米国におけるプライムタイムとは、東部標準時及び太平洋標準時の州では19時~23時、中部標準時及び山地標準時の州では18時~22時をいう[10]

プライムタイムアクセスルール

編集

アメリカでは1970年から1996年まで、プライムタイムアクセスルール(PTAR / Prime Time Access Rule)が存在した[10]

このルールは連邦通信委員会(FCC)の規則によるものであり、ローカル局の自社製作番組比率の向上やコンテンツ供給源の多様性の促進を目的としている。

1970年代当時の3大ネットワーク(ABC、NBC、CBS)の直営局及び加盟局は、月曜日から土曜日までのプライムタイムのうち1時間を、当該ネットワーク以外の番組に充てなければならないとされた[10]。ただしこのルールにおいては、子ども向けのネットワーク番組、公的問題に関する番組、ドキュメンタリー番組、緊急ニュース、公共問題等を扱った放送、政見放送等、地元製作ニュース、スポーツ行事の生放送の延長などがある場合は例外として認められた[10]

1991年、FCCは本ルールの適用を娯楽番組のみに緩和したが、ネットワーク局と番組製作者の双方からさらに緩和するよう再検討が要請された[10]

1992年、シカゴ控訴裁判所がFCCに対し、規制制定根拠の提出もしくはルールの緩和を命じたため、このルールは完全に廃止されることになった[10]

脚注

編集

注釈

編集
  1. ^ キー局の場合、これ以外に土・日・祝日の18:00 - 19:00もAランクの広告料金が設定されているが、この時間帯は「プライムタイム」には含まれていない。
  2. ^ 一方でNHK Eテレではゴールデンタイムでの再放送が定期的に行われ、同時期に民放と入れ替わる形で新作アニメの放送も開始している(『もっと!まじめにふまじめ かいけつゾロリ』)。そのため、「ゴールデンタイムに地上波で放送される新作テレビアニメ」自体は維持されていることになる。
  3. ^ 民放地上波キー局では最後のゴールデン帯アニメだったテレビ朝日ドラえもん』、『クレヨンしんちゃん』も金曜時代末期は視聴率は軒並み5%前後に落ち込んでいた。また、『爆丸バトルブローラーズ ニューヴェストロイア』に至っては19時台の放送にもかかわらず最低視聴率0.9%(2010年6月29日放送)と、深夜アニメにすら届かない低視聴率で視聴率が稼げない点がゴールデン撤退の原因とされている(関東地区ビデオリサーチ社調べ。2010年10月から土曜早朝に移動した)。
  4. ^ a b 十年紀
  5. ^ 20:50までに放送を終了出来なければ最長21:24まで中継が延長された(以降の番組は繰り下げ)。

出典

編集
  1. ^ ビデオリサーチ用語集「プライムタイム」
  2. ^ ビデオリサーチ用語集「ゴールデンタイム」
  3. ^ 民放キー局G帯からアニメ枠ついに消滅…少子化、編成戦略など背景に”. マイナビニュース(2019年9月13日作成). 2020年2月8日閲覧。
  4. ^ テレビ10月改編 ゴールデンからアニメが消えた日 「少子化」だけではない理由”. 毎日新聞・MANTAN WEB(2019年9月30日作成). 2020年1月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年2月8日閲覧。
  5. ^ “日テレ、年間視聴率で2冠…テレ朝がプライム首位”. 讀賣新聞オンライン (讀売新聞社). (2021年1月4日). https://www.yomiuri.co.jp/culture/20210104-OYT1T50102/ 2022年1月5日閲覧。 
  6. ^ “テレ朝がゴールデンで民放首位 年間世帯視聴率、8年ぶり”. 中日新聞. (2022年1月4日). オリジナルの2022年1月4日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220104052359/https://www.chunichi.co.jp/article/394815 2023年1月3日閲覧。 
  7. ^ “年間世帯視聴率テレ朝2冠 ゴールデンは日テレ首位”. 産経ニュース (産経新聞). (2023年1月2日). https://www.sankei.com/article/20230102-2G7QB3CE4VOFVIPACZM74LXN6M/ 2023年1月3日閲覧。 
  8. ^ 朝日放送グループホールディングス株式会社 2023年3月期 第3四半期 決算参考資料” (pdf). 朝日放送グループホールディングス. p. 15 (2023年2月13日). 2023年6月9日閲覧。
  9. ^ 2022 年 年間視聴率三冠王達成” (pdf). 中京テレビ放送 (2023年1月5日). 2023年4月23日閲覧。
  10. ^ a b c d e f 「デジタル・コンテンツの流通の促進」 及び 「コンテンツ競争力強化のための法制度の在り方」”. 情報通信審議会. 2020年2月6日閲覧。

外部リンク

編集