アビエイター
『アビエイター』(The Aviator)は、マーティン・スコセッシ監督による2004年のアメリカ映画。ワーナー・ブラザースとミラマックスの共同製作。アビエイターとは飛行機の操縦士、飛行家を意味する。
アビエイター | |
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The Aviator | |
監督 | マーティン・スコセッシ |
脚本 | ジョン・ローガン |
製作 |
マイケル・マン グラハム・キング サンディ・クライマン チャールス・エヴァンス・ジュニア |
製作総指揮 |
クリス・ブリガム レオナルド・ディカプリオ リック・ヨーン ハーヴェイ・ワインスタイン ボブ・ワインスタイン リック・シュワルツ コリン・コッター |
出演者 |
レオナルド・ディカプリオ ケイト・ブランシェット ケイト・ベッキンセイル |
音楽 | ハワード・ショア |
撮影 | ロバート・リチャードソン |
編集 | セルマ・スクーンメイカー |
配給 |
ワーナー・ブラザース/ミラマックス 日本ヘラルド/松竹 |
公開 |
2004年12月17日 2005年3月26日 |
上映時間 | 169分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $110,000,000[1] |
興行収入 |
$102,610,330[1] $213,741,459[1] 10.7億円[2] |
実在の大富豪、実業家であるハワード・ヒューズの波乱に富んだ半生を描いた。スコセッシ監督の作品としては、前作『ギャング・オブ・ニューヨーク』に引き続いてのレオナルド・ディカプリオ主演作品。ディカプリオは製作総指揮としても参加している。
第77回アカデミー賞において最多の11部門にノミネートされ、スコセッシ監督初の監督賞、作品賞、ディカプリオ初の主演男優賞が期待されたが、どれも受賞には至らなかった。その他の部門では5部門を受賞した。
ストーリー
編集20世紀初頭。一人の少年が母親に体を洗われているところから映画は幕を開ける。この少年がハワード・ヒューズである。そのとき母親からひとつの言葉を教わる。「QUARANTINE」…和訳すると「感染予防のための隔離」という意味である。後にこの単語にヒューズは苦しめられることとなるのだった。
それから時は流れて1920年代。ヒューズは父から受けた莫大な遺産を元手として、夢のひとつであった映画製作を開始。映画『地獄の天使』の製作はトラブルが続き思うような撮影はできなかったが、史上空前の莫大な予算を費やして3年がかりでようやく完成させた。ヒューズは手当たりしだいの女性を口説き手に入れる傍ら、もう一つの夢である飛行機事業に着手、ヒューズ・エアクラフトという会社を立ち上げ、世界一速い飛行機H-1の開発を始めた。しかし、同時期に知り合った女優キャサリン・ヘプバーンとの恋愛は破綻する。
潔癖症の母親の影響もあり、青年時代から伝染病、不潔なものへの嫌悪感の強かったヒューズの強迫神経症はここにきて顕著となる。自分を拒絶した女の触れた洋服全ての焼却、常に石鹸を持ち歩き病的なまでに手を洗浄する、同じ言葉を執拗に繰り返す等、一般人には理解不可能と思える行動を繰り返す。
ついには衣服を着ることも水に触れることも出来ず部屋に閉じこもり、顔も洗わず髭もそらず全裸のまま暮らし、排泄は部屋の中で牛乳瓶に、何かに触れるときにはティッシュペーパー越しにでなければ触れられない、ドアすら開けられなくなり他人との接触を恐怖と感じる等、ヒューズの強迫神経症は深刻化する。
その後ヒューズは、パンアメリカン航空と並ぶ大手航空会社であるトランス・ワールド航空のオーナーとなる。さらに第二次世界大戦の開戦後には、政府からの資金を受けて世界最大の輸送機であるH-4を開発する傍ら、偵察機XF-11を開発し、自らテスト飛行するがビバリーヒルズの住宅街に墜落し瀕死の重傷を負う。
復帰後、ヒューズを待ち受けていたのは、開発が遅延していたH-4の開発時における公金の不正使用を疑うFBIの強制捜査だった。ヒューズは、パンアメリカン航空のホアン・トリップと関係が深くトリップからの資金援助を受けていたオーウェン・ブリュースター議員が開く公聴会を受けてたつこととなる。
だが、すでに精神を病んでいたヒューズは試写室に全裸で引きこもり、部屋のドアを開けて他者と会うことすらできない状態であった。そんな中で経営不振に陥ったトランス・ワールド航空を売るようトリップが迫るがヒューズは跳ね除けた。その後ヒューズは映画を見て錯乱して倒れ苦しんでいた。
しかし、元恋人エヴァ・ガードナーの精神的援助で公聴会には出席し、ブリュースター議員との議論にも打ち勝ち、世論を味方につけ、公聴会はヒューズに有利な展開となり終焉する。
キャスト
編集※括弧内は日本語吹き替え
- ハワード・ヒューズ - レオナルド・ディカプリオ(浪川大輔)
- キャサリン・ヘプバーン - ケイト・ブランシェット(塩田朋子)
- エヴァ・ガードナー - ケイト・ベッキンセイル(日野由利加)
- オーウェン・ブリュースター上院議員 - アラン・アルダ(堀勝之祐)
- ホアン・トリップ(パンナム社長) - アレック・ボールドウィン(佐々木勝彦)
- フィッツ教授 - イアン・ホルム(山野史人)
- エロール・フリン - ジュード・ロウ(大川透)
- ジョニー・メイヤー - アダム・スコット(桐本拓哉)
- グレン・オデカーク - マット・ロス(咲野俊介)
- ジーン・ハーロウ - グウェン・ステファニー(小池亜希子)
- ノア・ディートリッヒ - ジョン・C・ライリー(岩崎ひろし)
- ジャック・フライ - ダニー・ヒューストン(牛山茂)
- ヘプバーンの母 - フランセス・コンロイ(定岡小百合)
- ロバート・グロス - ブレント・スパイナー(岩田安生)
- ルイス・B・メイヤー - スタンリー・デサンティス(村松康雄)
- ジョゼフ・ブリーン - エドワード・ハーマン(津田英三)
- ローランド・スイート - ウィレム・デフォー(金尾哲夫)
- 「ココナッツ・グローブ」の歌手 - ルーファス・ウェインライト
主な賞歴
編集受賞
編集- 第77回アカデミー賞:助演女優賞、撮影賞、編集賞、美術賞、衣装デザイン賞
- 第62回ゴールデングローブ賞:作品賞、主演男優賞、作曲賞
- 英国アカデミー賞:作品賞、助演女優賞、プロダクションデザイン賞、メイクアップ&ヘアー賞
- 第30回ロサンゼルス映画批評家協会賞:美術賞
- 第10回放送映画批評家協会賞:監督賞、作曲賞
ノミネート
編集- 第77回アカデミー賞:作品賞、主演男優賞、助演男優賞、監督賞、脚本賞、音響賞
- 第62回ゴールデングローブ賞:助演女優賞、監督賞、脚本賞
- 英国アカデミー賞:主演男優賞、助演男優賞、監督賞、脚本賞、作曲賞、撮影賞、衣装デザイン賞、編集賞、音響賞、特殊視覚効果賞
- 第10回放送映画批評家協会賞:作品賞、主演男優賞、助演女優賞、脚本賞
脚注
編集- ^ a b c “The Aviator (2004)” (英語). Box Office Mojo. 2010年4月4日閲覧。
- ^ 2005年興行収入10億円以上番組 (PDF) - 日本映画製作者連盟
関連事項
編集- トランス・ワールド航空(TWA)
- パンアメリカン航空(Pan Am)
- 48DVD - 本作は3タイトルしか発売されなかったものの一つ。