あしがら (護衛艦)

海上自衛隊のイージスシステム搭載護衛艦。あたご型護衛艦2番艦

あしがらローマ字JS Ashigara, DDG-178)は、海上自衛隊護衛艦あたご型護衛艦の2番艦。艦名は足柄山に因み、旧海軍妙高型重巡洋艦の3番艦「足柄」に続き、日本の艦艇としては2代目。

あしがら
基本情報
建造所 三菱重工業長崎造船所
運用者  海上自衛隊
艦種 ミサイル護衛艦(DDG)
級名 あたご型護衛艦
建造費 1,389億円
母港 佐世保
所属 第2護衛隊群第2護衛隊
艦歴
発注 2003年
起工 2005年4月6日
進水 2006年8月30日
就役 2008年3月13日
要目
基準排水量 7,700トン
満載排水量 10,000トン
全長 165m
最大幅 21.0m
深さ 12.0m
吃水 6.2m
機関 COGAG方式
主機 石川島播磨-GE LM2500 × 4基
出力 100,000PS
推進器 スクリュープロペラ × 2軸
最大速力 30ノット以上
乗員 300名
兵装 62口径5インチ単装砲 × 1門
Mk.15 高性能20mm機関砲(CIWS) × 2基
90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)SSM 4連装発射機 × 2基
Mk.41 Mod20 VLS × 96セル
68式3連装短魚雷発射管 × 2基
搭載機 ヘリコプター(格納庫のみ)× 1機
C4ISTAR イージスシステム
AN/SQQ-89A(V)15J 対潜システム
レーダー

SPY-1D 多機能型
OPS-20B 航海用
AN/SPQ-9B 対水上捜索用

Mk.99/SPG-62ミサイル誘導用 × 3基
ソナー AN/SQS-53C艦首装備式
AN/SQR-20 MFTA 曳航式
電子戦
対抗手段
NOLQ-2 ESM/ECM
Mk.137 デコイ発射機 ×4基
その他 曳航具4型 対魚雷デコイ
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本記事は、本艦の艦暦について主に取り扱っているため、性能や装備等の概要についてはあたご型護衛艦を参照されたい。

艦歴

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「あしがら」は、中期防衛力整備計画に基づく平成15年度計画7700トン型護衛艦2318号艦[1]として、三菱重工業長崎造船所2005年4月6日に起工され、2006年8月30日、同造船所において挙行された命名・進水式において防衛庁長官防衛庁長官政務官高木毅代読)により「あしがら」と命名され進水、2008年3月13日に就役し、第4護衛隊群第64護衛隊に編入され佐世保に配備された。同年3月26日、護衛隊改編に伴い第2護衛隊群第2護衛隊に編入。

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による東日本大震災に対し、災害派遣される。

同年7月4日から9月29日の間、米国派遣訓練に参加。

2012年12月10日アメリカ国防総省議会に対して日本向けに最新のミサイル防衛システムの売却を通知した。「あしがら」は同型艦の「あたご」と共に同システムを導入した[2]

2015年8月18日から9月9日まで米国において実施される統合訓練「ドーンブリッツ15」に掃海隊群司令指揮の下、護衛艦「ひゅうが」、輸送艦「くにさき」とともに参加し、水陸両用戦訓練を実施した[3]

2017年4月23日から護衛艦「さみだれ」とともにアメリカ合衆国海軍空母カール・ヴィンソン」(CVN-70)を中心とした空母打撃群とともに、西太平洋海域で共同巡航訓練を実施した[4]

同年6月1日~6月3日、日本海でアメリカ海軍の空母「カール・ヴィンソン」「ロナルド・レーガン」を中心とする空母打撃群、僚艦「ひゅうが」及び航空自衛隊F-15と共同訓練を実施[5]

同年7月3日から2018年末までの間、三菱重工業長崎造船所において定期検査とBMD(弾道ミサイル防衛)能力付与及び対潜システムの近代化工事が行われた。しかし、「あたご」に搭載されたAN/SPQ-9B対水上レーダーは、装置の納入遅延により後日装備となっている[6]

2020年年8月1日から9月18日にかけて護衛艦「いせ」とともに令和2年度米国派遣訓練(護衛艦)に参加する(「いせ」は7月23日に出港)。米海軍の協力を得て、対空戦、対水上戦、対潜戦等の洋上訓練を実施するとともに、8月17日から8月31日の間は、米海軍が主催する多国間共同訓練RIMPAC2020に参加した[7]。9月12日から13日の間はグアム島周辺海空域において日米豪韓共同訓練(パシフィック・ヴァンガード20)を実施した。米海軍からは駆逐艦「バリー」、補給艦ジョン・エリクソン」、潜水艦、航空機、豪海軍からはフリゲート艦「アランタ」、「スチュアート」、韓国海軍からは駆逐艦「忠武公李舜臣」、「西厓柳成龍」が参加し、対空戦、対水上戦、対潜戦訓練等を実施した[8]

2021年5月11日から17日にかけて護衛艦「いせ」、「あさひ」、「こんごう」、輸送艦おおすみ」、ミサイル艇おおたか」、「しらたか」、哨戒機、潜水艦とともに東シナ海において日米豪仏共同訓練(ARC21)に参加した。米海軍からはドック型輸送揚陸艦ニューオリンズ」、豪海軍からはフリゲート「パラマッタ」、仏海軍からは強襲揚陸艦トネール」、フリゲート「シュルクーフ」が参加し、防空訓練、対潜訓練、着上陸訓練を実施した[9]

2022年10月6日、日本周辺海域において、米海軍及び韓国海軍艦艇と弾道ミサイル情報共有訓練を実施した[10]

同年11月6日の令和4年度自衛隊国際観艦式において祝賀航行部隊第6群の先導艦を務めた[11]

2023年1月15日から1月23日にかけて、関東南方から四国南方を経て沖縄周辺に至る海空域において、日米同盟の抑止力・対処力を強化すべく、米海軍と共同訓練を実施した。米海軍からは巡洋艦「アンティータム」・「チャンセラーズビル」・「シャイロー」、駆逐艦「ラファエル・ペラルタ」、補給艦「ジョン・エリクソン」、貨物弾薬補給艦「ワシントン・チャンバース」が参加し、各種戦術訓練(対空戦対水上戦対潜戦)、洋上補給を実施した[12]

現在は第2護衛隊群第2護衛隊に所属し、定係港は佐世保である。

歴代艦長

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歴代艦長(特記ない限り1等海佐
氏名 在任期間 出身校・期 前職 後職 備考
艤装員長
- 由岐中一生 2006.8.30 - 2008.3.12 防大26期 こんごう艦長 あしがら艦長
あしがら艦長
01 由岐中一生 2008.3.13 - 2009.3.24 防大26期 あしがら艤装員長 第15護衛隊司令
02 山崎浩一 2009.3.25 - 2010.3.24 防大29期 統合幕僚監部防衛計画部
計画課統合装備体系班長
阪神基地隊副長
03 溝江和彦 2010.3.25 - 2012.4.1 防大28期 さざなみ艦長 自衛隊徳島地方協力本部
04 小澤 豊 2012.4.2 - 2014.3.19 防大31期 舞鶴地方総監部防衛部
第3幕僚室長
護衛艦隊司令部勤務
05 川久保正彦 2014.3.20 - 2015.11.30 法政大
41期幹候
第1護衛隊群司令部首席幕僚 佐世保基地業務隊補充部付
→2015.12.3 第13護衛隊司令
06 金子純一 2015.12.1 - 2017.12.19 駒澤大
42期幹候
護衛艦隊司令部 かしま艦長
07 川野邦彦 2017.12.20 - 2019.12.19 防大40期 護衛艦隊司令部 自衛艦隊司令部勤務
兼 護衛艦隊司令部勤務
08 佐藤 剛 2019.12.20 - 2021.8.22 護衛艦隊司令部勤務 はぐろ艦長 就任時2等海佐
2020.1.1、1等海佐昇任
09 坂井喜一郎 2021.8.23 - 2023.4.6 防大41期 護衛艦隊司令部勤務 護衛艦隊司令部勤務
→2023.12.22 かしま艦長
10 仲井大介 2023.4.7 - 防大41期 第2護衛隊群司令部首席幕僚

ギャラリー

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脚注

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参考文献

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  • 石橋孝夫『海上自衛隊全艦船 1952-2002』(並木書房、2002年)
  • 世界の艦船 増刊第66集 海上自衛隊全艦艇史』(海人社、2004年)

外部リンク

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