ソフトバンクの孫正義社長は2008年5月8日,東京都内で開催された2008年3月期の決算説明会で4月24日に発表されたJoint Innvation Lab(JIL)の意義を説明。「7億人のユーザーに使われるモバイル・サービスのプラットフォームを作るのが狙い」とした。

 JILはチャイナモバイル(中国移動),英ボーダフォン,ソフトバンクが2008年夏に設立する会社(関連記事)。チャイナモバイルのユーザーが約3億9000万人,ボーダフォンのユーザーが約2億5000万人,ソフトバンクモバイルのユーザーが約1900万人なので合計すると約7億人となる。JILの発表では3社共同で携帯電話に関連する技術を開発するとしていたが,その内容はほとんど明らかになっていなかった。

 今回,孫社長は説明会の中でJILでは,AndroidやWindows Mobileのような携帯のプラットフォームの開発ではなく,携帯用のサービスに必要なプロトコルやファイル・フォーマットなどを中心に決めることを明らかにした。具体的には(1)OSや端末の種類を問わず使えるような仕様を作ること,(2)仕様には音楽や映画,マンガなどのコンテンツを再生するための規定が含まれること,(3)アプリケーションの実行環境が含まれること,(4)セキュリティ/通信制御/課金などの規定を盛り込むこと――などを示した。「7億人のユーザーを相手に商売をできるとなれば,端末メーカーも,サーバー・ベンダーも,ソフトウエア・ベンダーも喜んでJILの仕様に沿ったものを作ってくれるだろう」(孫社長)。

 さらに,JILでは単に仕様を決めるだけでなく,その仕様に沿ったコンテンツやサービスを配信するための仕組みを用意し,そこで収益を上げるビジネス・モデルを視野に入れていることも示唆した。「JILはプロフィット・センターとして機能させる。7億人のユーザーが利用するコンテンツやサービスに対して,毎月数円や数十円といった課金をしただけでものすごい金額になる」(孫社長)という。

 なおソフトバンクモバイルは,チャイナモバイル,ボーダフォンと比べてユーザー数が少ないが「日本は世界的に見て第3世代携帯電話のユーザーが飛びぬけて多い地域。そのため,日本ではモバイル・インターネット時代のユーザーのニーズを知ることができる。そこが評価されて,他の2社と対等の連合が組めた」(孫社長)という。