「大量情報はただ保管するだけでは活用できない。いかにメタ・データを管理するかが重要となる」。米オーランドで開催中の「EMC World 2007」で講演した米スミソニアン協会のアン・スペイヤーCIO(最高情報責任者)は、本誌の取材にこう答えた。
スミソニアン協会は現在、「情報遺産イニシアティブ」に取り組んでいる。1億3700万点以上に上る所蔵品を、ビデオや画像などのデジタル情報にして保管するプロジェクトだ。その目的は、「国の宝物を世界中の子どもたちに公開し、情報遺産を継承すること」(スペイヤーCIO)。それには、単にデジタル化したファイルを格納するだけではなく、「堅牢なストレージ・インフラが不可欠になる」(同)という。
インフラ作りで最も苦労しているのが、所蔵品名やどこの国のものかといった属性に加え、役職や業務によって誰が利用できるかといったことを定義したメタ・データの管理である。その理由をスペイヤーCIOは、「形が似通った展示品でも、花瓶や水差し、ポットなど呼び方は様々だ。これらをどう統一するかといったことから決めなければ、大量情報を保管・活用する仕組みはできないため」と説明する。
同協会は2006年秋に、250人の職員を組織化しプロジェクトの促進体制を整備。これまでに、所蔵品の13.3%をデジタル化した。全所蔵品を保管するために、100テラ・バイトのストレージ装置を準備している。今後は、利用頻度や重要度に応じて格納するストレージ装置を変える階層化に取り組む予定である。