北京から百度・日本サイトへのアクセスを試みたが,つながらない
北京から百度・日本サイトへのアクセスを試みたが,つながらない
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 中国大陸でのネット規制が強化されている。2007年4月15日,中国のニュース・サイト「DoNews.com」は「『百度』日本サイトは『GFW』によりアクセス禁止措置がなされた。大陸のユーザーは百度・日本サイトに接続する方法が無くなった」と報道した(DoNews.comの記事)。実際に北京から接続を試みたが,確かにつながらない。

 百度(baidu)は中国最大の検索サイトで,3月には日本向けサービスを開始している(百度・日本サイト)。GFWは「Great Firewall」の略で,政府が運営するコンテンツ・ファイアウオールのこと。中国語では「防火長城」や「金盾」と呼ばれる。中国大陸から他国のWebサイトにアクセスする場合,そのサイトはGFWによって検閲を受ける。

 百度・日本サイトは日本よりも中国で人気となっていた。3月25日のDoNews.comは,百度・日本サイトのユーザーは6割が中国大陸からのアクセスであると紹介している。

 DoNews.comの報道によれば,百度・日本サイトへのアクセスが禁止されたのは「中国大陸の法律にそぐわない内容の検索が可能であった」から。こう言われてすぐに思い浮かぶのは,百度・日本サイトで検索が可能な「天安門事件」や「法輪功」などの政治的事項に関することだ。

 しかし,中国政府はこれらの政治的なコンテンツ以上に,ネット上のポルノ・コンテンツを問題視しているようだ。百度・日本サイトではかなり過激なポルノ画像が容易に検索できてしまう。3月末頃から中国国内のネット掲示板では,これらの画像が話題になっていた。

 4月13日の中国・大手メディア「新華網」によれば,公安部,中央宣伝部,教育部,信息産業部(情報産業部)などからなる「十部委連合組織」が「全国依法打撃網絡淫穢色情専項行動電話電視会議」を4月12日に北京で開催したという(新華網の記事)。会議では以下のような問題点が提起された。

 「近年のネット技術の応用発展に伴い,ビデオチャット等を利用したポルノ表現やネット上のポルノ画像・小説・映像をはじめ,詐欺サイトなどが問題となっている。これらの中でも突出した問題として,中国国外のサイトから持ち込まれる有害情報が国内に拡散・浸透している。ネット文化の健康的な発展に影響し,青少年の健康発達に害を与え,社会の風習を汚染し,社会秩序を乱すものとして措置をしなければいけない」

 新華網によると,この会議の決定に基づく違法ポルノ追放キャンペーン「全国依法打撃網絡淫穢色情専項行動」が,この4月から半年間にわたり展開されている。百度・日本サイトのアクセス禁止は,同キャンペーンの第一弾として実施されたようだ。

■変更履歴
最後の段落冒頭を「この会議の決定に基づくと思われる」としていましたが,ニュースソースを明示するため「新華網によると」に訂正しました。 [2007/04/20 15:14]