by Gartner
ジェフリー・マン リサーチVP
志賀 嘉津士 リサーチ ディレクター
短いコメントを投稿して共有するプラットフォームである「ミニブログ(簡易型ブログ)」が注目を集めている。代表格のツイッター(Twitter)の場合、参加者は140字以内の短い文章を投稿できる。ちょっとした思い付きやお知らせなど内容は何でも構わない。
「ツィート(さえずり)」と呼ぶ各メッセージは、非常に短いブログの投稿のようなものだ。参加者たちはほぼリアルタイムでメッセージをやり取りする。
ツイッターは最初は個人ユーザーを狙っていた。このため企業ユーザーが会社を代表する立場で積極的に参加することは、あまり想定していなかった。
しかし、ミニブログが一般社会にも影響を与えたため、多くの企業がツイッターを業務で使えないかと検討し始めた。今でもツイッター参加者の多くは企業で働いており、仕事に関する情報をやり取りしている。ガートナーは2011年までに市販のソーシャルソフトの80%が企業向けのミニブログ機能を装備すると予測する。
ツイッターを業務で使う際には、いくつか気をつけなければならない点がある。まず社員によるツイッターの利用の可否は、すでに施行中のWeb利用規則のなかで決めるべきだろう。ツイッターはだれでも参加できるフォーラムなので、社員はどこまでの発言が許されるかを理解しておく必要がある。今あるWeb利用規則がツイッターにも適用されると注意を喚起するのも手かもしれない。一方でWeb利用規則がない組織は、一刻も早く規則を策定すべきだろう。
ツイッターを会社で使うには四つのやり方があるとガートナーは考える。
一つめの「直接型」は、マーケティングや広報の手段として企業がツイッターを直接利用するケースである。ツイッターを企業ブログと並ぶ広報戦略の一部と位置付け、新しい事案を発表したり、発表文や販促Webサイトへのリンクを配布するために投稿する。
ツイッター参加者の自社に対する投稿に返信することも可能だ。ただし、退屈だったり独善的な投稿はブランドを傷つけかねないと警告しておく。匿名が前提のツイッターは中傷合戦に陥りやすい。返信は特に危険を伴う。
企業は少なくとも自社の主要ブランド名でツイッターにIDを登録すべきだ。そうしないと第三者がブランド名と同じIDの権利を主張したり、不適切に扱うのを防げない。
次の「間接型」とは、社員が個人的評判の延長としてツイッターを利用した結果として、会社の評判も高まるという形態だ。上手なツイッター参加者は興味深い事象について賢い発言をしたり、自分のブログを熱心に閲覧してくれるファンを引きつけ、個人的な評判を高めていく。社員個人のブランドが高まれば、雇い主である企業の評判も自然と高まる。ツイッターをうまく使えば、個人と勤め先の両方を目立たせることができる。社員が影響力のあるリーダーとみなされることは企業にとって決して悪いことではない。
三番目の「内部型」は、文字通り、社内の情報交換やアイデアの共有にツイッターを使うやり方である。一般にガ ートナーはミニブログのこうした使い方をあまり推奨しない。セキュリティ上の保証がまったくないからだ。
何気ない投稿でも、競争相手には重要なヒントとなることもあり得る。各社員がミニブログの限界をきちんと理解し、絶対に機密情報をやり取りしないと徹底することが肝心だ。
四つ目のやり方は「外部からの警報」装置としてツイッターを使うやり方である。ツイッター上には顧客や競争相手の自分に対する見方があふれかえっている。ツイッター専用の検索サービスをうまく使えば、特定の会社や製品に関する情報を収集するのも簡単だ。抜け目のない会社は、こうした情報を起こりつつある問題への初期警報ととらえ、現行製品の改良や新製品の企画に役立てることができるだろう。