(イラスト・アニメーション:岸本ムサシ)
今回の回答者: 戸所 弘光 KDDI ネットワーク技術本部 ケーブル計画グループリーダー 次長 福島 義彦 KDDI ネットワーク技術本部 ケーブル建設保守グループ 課長 |
海底ケーブルは国際電話やインターネットなど海外との通信の基盤になる光ファイバ・ケーブルです。日本各地にケーブル陸揚げ局があって,米国やアジア各国の陸揚げ局につながっています。日本から最も遠い陸揚げ局は約9000km離れた米国にあります。
海底ケーブルを敷くときは,ケーブルを敷設船に乗せ,約7ノット(時速13km程度)で船を進めながら海底に沈めていきます。接続先との距離が遠い場合は,お互いの国から船を出発させ,出会った海上でそれぞれの敷いてきたケーブルをつなぎます。
海底ケーブルの敷設は大がかりな作業ですから,事前に綿密な計画を立てます。海図を見て敷設するルートを決めたら,海洋調査で海底の様子を調べ,必要なケーブルの長さやスケジュールを割り出すのです。
深い海の底なので敷いたケーブルが切れると修理が大変です。そのため,ケーブルは海底面にきっちり沿わせるように敷きます。ケーブルを海中でたるませておくと,自重で切れる可能性があるからです。これは日本海溝のように深さが数千mもあるところでも同じです。海底に沈めたら,無人の埋設ロボットで地中1m程度までケーブルを埋め込んで固定します。
また,ケーブルの太さは深さによって変えます。浅いところは漁業用の網や船のアンカーなどが引っかかることがあるので,鉄線を2重に被覆した直径6cmのケーブルを使います。一方,深海は船も来ませんし,潮流もほとんどなく安定しているので,ポリエチレンだけで覆った直径2.2cmのケーブルで大丈夫です。深さの変化に合わせて,これらの異なる材質や太さのケーブルをつなぎ合わせています。
ただ,それでもケーブルが切れることはあります。そのときはすぐに修理に行けるように,敷設船が常に待機しています。