大阪市営地下鉄の民営化から6年半、大阪メトロが新たな駅メロを導入し話題となっていますね。
中央線に限った話ではありますが大阪・関西万博の気運を盛り上げるべく、市営時代から使ってきた接近メロディ・発車メロディを刷新。
2024年11月13日より上下2曲ずつの新メロディを流しており、上り線(夢洲方面)は未来へ向かうイメージの軽快な曲調、下り線(長田・学研奈良登美ヶ丘方面)は悠久の歴史をイメージした和風の曲調としています。
大阪市営地下鉄が駅メロを試験導入したのは1986年だといい、当時は難波駅で電子効果音のテープを再生していたそうです。
その後、1989年に千日前線阿波座駅で試験放送を行ない、今なお使われている上り線(北行き・西行き)のメロディが完成したのだといいます。
上に引用した動画の再生時間0:10~が上り接近メロディ、1:00~が上り発車メロディですね。
ところで上り発車メロディなんですが、15年ほど前に初めて聴いた頃から「あの曲に何だか似ているな・・・」と感じていました。
その曲はアメリカのR&B、中でもテネシー州第2の都市メンフィスに端を発する「メンフィス・ソウル(Memphis soul)」と呼ばれるジャンルの名曲です。
タイトルはズバリ・・・
・・・「634-5789」ですね!
これは歌詞に登場する架空の電話番号で「シックス・スリー・フォー・ファイブ・セブン・エイト・ナイン」と読みます。
元々はファルコンズ(The Falcons)のメンバーだった歌手のエディ・フロイド (Eddie Floyd)が、ブッカー・T&ザ・MG's(Booker T. & the M.G.'s)のギタリスト、スティーブ・クロッパー(Steve Cropper)と共に制作した楽曲です。
これを同じくファルコンズの元メンバーで、メンフィス・ソウルを代表する激情型シャウターとして人気を集めたウィルソン・ピケット(Wilson Pickett)が歌い上げました。
そして1966年1月にシングル盤を発売し、ビルボードR&Bシングルチャートで1位、ポップシングルチャートで13位という快挙を果たしました。
同年8月発表のソロアルバム『The Exciting Wilson Pickett』にも収録。
ピケット本人の強烈な個性を表したかのようなショッキングピンクのジャケ写に、全米ヒット曲が3曲も入るという豪華絢爛なアルバムです。
大阪市交通局 大阪メトロ JR西日本 阪急 北大阪急行 近鉄 南海
ピケットに比べるとやや地味ですが、作詞作曲者本人であるエディ・フロイドも「634-5789」を歌いました。
こちらは1967年1月発表のソロアルバム『Knock on Wood』に収録しています。
歌詞は要約すると「ちょっとした愛を求めているなら634-5789に電話をかけてくれ」というもの。
言ってしまえば女性を口説こうとして自分の電話番号を教えるという歌ですね。
車掌 御堂筋線 谷町線 四つ橋線 中央線 千日前線 今里筋線 新20系 21系 10系
私は多感な少年期にウィルソン・ピケットを聴き漁ったものですから、大阪市営地下鉄の発車メロディを聴いて「634-5789」を思い出さずにはいられませんでした。
しかしSNS等を探し回っても、同様に感じたという人は見受けられず。
もしかしてR&Bを聴く鉄道ファンは少ないんでしょうか?
地下鉄で音楽と言えば昔、中島らもさんが自身のバンドでクローバーズ(The Clovers)の「Love Potion No. 9」を披露した時、「街じゃいつでも揉め事 血刀光るぜ地下鉄」と日本語詞を付けて歌ったなんて話もありましたね。
らもさんがいう「血刀光る地下鉄」とは、赤いラインカラーの御堂筋線を比喩したものか、それとも走り去る地下鉄車両のテールランプが光る様を表したものか、未だに気になっています。
※写真1枚目は2017年7月15日、御堂筋線新大阪駅で撮影
※写真2枚目は2017年7月17日、御堂筋線なんば駅で撮影
最終更新日 : 2024-12-25