« カウラ事件など | トップページ | 南海トラフ地震臨時情報など »

2024年8月 2日 (金)

スナク首相メッセージなど

 石破 茂 です。
 日本ではあまり報道されませんでしたが、先日の英国議会において、総選挙で大敗北を喫して政権を去るスナク首相が最後の演説でスターマー次期首相に対して送ったメッセージは感銘深いものでした。議席を失った多くの保守党議員に謝罪しながらも、それが国民の意思であることを謙虚に受け止めるべきと述べたうえで、スターナー氏との意見の違いを認めつつも同氏を心より尊敬しているとし、新政権が有権者の意思で誕生したことに敬意を表し、良い働きが出来ることを祈ると語ったそうです(立川福音自由教会・高橋秀典牧師のブログによる)。有権者に対する畏れの気持ちを持ち、争った相手を敬う謙虚さは、すべての政治家が持つべき姿勢だと強く思います。

 

 前回の当欄で、1944年8月5日にオーストラリアで起こった日本人捕虜集団脱走事件である「カウラ事件」について書いたところ、「オーストラリア兵も残虐だった」とのコメントをいくつか頂きました。オーストラリア兵だけではなく、米兵などによる日本兵に対する残虐行為があったことも指摘されており、研究もされています。それも含めて、戦場とは「平時の人間の常識を遥かに超えた狂気の世界」であることは間違いのない事実であり、それは今後も変わることがないのだと思われます。綺麗事を言うつもりも、安易な「パシフィズム」に与するつもりもありません。こういった「戦争の狂気」をよく認識した上で、冷静かつ徹底的に抑止論を追及し、政策として具体化するべきものだと痛感しています。
 オーストラリア関連では「カウラ事件」の他に、1942年2月、シンガポールとインドネシア間の海峡にあるバンカ島で発生した「バンカ島事件」(日本軍によってオーストラリア兵や陸軍従軍看護婦らが殺害されたとされる事件)も、最近知りました(インドネシア領であるバンカ島は今、リゾート地として賑わっているそうです)。
 日豪関係はいま、「理想的な二国間関係」と言われるまでに発展していますが、ここに至るまでには大変な先人たちの尽力があったことを決して忘れてはならないと思っております。私は個人的には、防衛庁長官在任中から、アメリカ・オーストラリア・ニュージーランド三国からなる「UNZUS(アンザス)条約」に日米安保を加えた集団安全保障体制(仮に「JUNZUS(ジャンザス)と呼んでいました)が構築できないかと考えています。もちろんこれには、我が国の集団的自衛権についての考えの再考が必須です。

 

 昨8月1日、自民党青年局の役員が岸田総裁に対して、総裁選挙の期間は長くとること、自民党が行なっている「全国車座対話」の総括を党本部の政治刷新本部において行うこと、等について申し入れたとのことです。彼らの主張は誠にもっともだと思いますし、前回当欄で述べたことと共通するところ大ですが、これを執行部がどのように取り扱うのか、自民党の地方組織はこれを注視しているものと思います。
 33年前、当時当選二回であった我々も、青年局のメンバーとして何度か当時の海部俊樹総理・総裁に申し入れをしたものでした。政治改革本部長であった伊東正義先生から「キミ達若い者こそが国民の一番近いところに居るのだ。キミたちが行動しないで国民の声が政治に届くことはない」と叱咤されたことを思い出しました。

 

 今週は「縮んで勝つ 人口減少日本の活路」(河合雅司著・小学館新書・最新刊)を大変面白く読みました。同氏の一連の著作における主張をコンパクトにまとめたもので、極めて示唆に富むものです。
 今月7日に、倉重篤郎氏が私との対談をまとめた「保守政治家」が講談社より発売になります。ご高覧頂ければ幸いです。
 酷暑の折、皆様ご自愛のうえ、ご健勝にてお過ごしくださいませ。

 

|

« カウラ事件など | トップページ | 南海トラフ地震臨時情報など »

コメント

 【 国民の為に働くと言い乍ら、企業の為に働く総理! 】

 最初は、女系天皇の検討です。

 生物学的には、その種の特徴を決めるのは雄の遺伝子と決まっています。
 女系天皇を認めれば、女系天皇が外国人と結婚した場合、日本人に見えない天皇の候補が生まれる可能性が出て来るのです。

 支那・朝鮮アジア系、ロシア系、白人系、ユダヤ系、アラブ系、ペルシャ系、アフリカ系、中南米系の天皇が生まれる可能性が出て来るのです。

 そして、止めが、選択的夫婦別姓に賛成です。
 選択的から分かる様に、それは一国二制度の導入です。
 同じ日本国民なのに、夫婦別姓を採る人と夫婦同姓を採る人に分かれるのです。
 日本国民を分断する愚策でしょう。

 「家族崩壊とか分からない」 のは考察が足りないから分からないのです。

 今迄は、不倫でホテルを使用する時は、宿泊者名簿に嘘の苗字を書いていました。
 故に、後ろめたさが、不倫を抑制していました。
 夫婦別姓になると、不倫でホテルを使用する時は、宿泊者名簿に本当の苗字を書いても、後ろめたさは無くなり、不倫にブレーキが利かなくなり、離婚、家族崩壊、片親の未成年者続出となります。

 また、別れても苗字を変えなくて良いのですから、ちょっとしたことで離婚、家族崩壊、片親の未成年者続出となります。

 安倍総理は日本企業の要望である移民政策を実行して、石破さんも日本企業の要望である選択的夫婦別姓を実行しようとしています

 終戦後から高度経済成長期迄と違い、日本の大企業には外資が入っていますから、 日本の大企業の言うことばかり聞いていると、国民の為に働いている心算が、実は外資の為に働く総理となるでしょう?

 こうなると、日本企業の経営陣も、安倍さんも、石破さんも、日本人なのかなという永遠の謎が日本の未来を閉ざすでしょう!

投稿: 三角四角 | 2024年8月 2日 (金) 19時39分

【 たまには 株の話を 】


日銀の利上げを受けたのか、調整局面の一つに過ぎないのだろうが、株価が急落した

だが、日本経済のファンダメンタルズは 好調であり、

これを、安全保障 と それに下支えされた エネルギー供給で 保証されれば、


少子高齢化の局面が盛りとはいえ パーフェクトだと思う。


円安トレンドが是正されつつあるのは 良いことだ。


昨今は、現地雇用、現地生産が盛んであり 昭和の頃の様に 円安が イコール 輸出増には 安直に結びつかない。


話しを戻して、


日銀の利上げを受けて、株価の急落から分かることは


日本の株式市場が 未だ、閉鎖的であり 且つ 未成熟だということだ。


” 金利のある世界 ”が 彼らには 異質な存在だと 映るらしい。


実際には その逆なのに。


政府や、日銀は 株価の上がり下がりに 一喜一憂せずに、時代のニーズに沿った 正しい施策を 今後も続けてほしいし、


できることならば、日本の株式市場を 正しい方向へ”啓蒙”して頂きたい。

金利をなくして 誰が、何が 得をしたのか?


馴れ合い監査で 監査不全に陥ったような 公金目当ての同族(だけが儲かればいいという)ビジネスが、


日本経済の新陳代謝を止めたまま 跋扈し、安い賃金で 労働者を使い捨てているだけだ。

これが、” 金利の無い世界 ”だ。


まともな新陳代謝が 起きない。


故に、経済が活性化しない。 故に、実質所得も 世界の中で置いてけぼりだ。

--


誤解されては困るが 俺も 株式には投資している 少なくない金額を。


NISAに関して言えば 円の国外流出を最低限に抑えるために、” 国内投資枠 ”を設けることは 大事なスタンスだと思う。


余裕資金で株式に投資しているので 極論を言えば 株式がゼロになっても 死にはしない。


只、日銀が 微々たる金利を戻しただけで 急落する日本の株式市場が 悲しい。 情けない。

以上だ。


--

あと、大事な追記(先日のコメについて)をする。


猫のフードを買ってる人は 皆気付いていると思うが、

猫の腎臓は ”ガラス細工”と形容されるほど もろい。


だから、水分摂取が 非常に重要。


只、水を飲めと言っても 飲まないだろうから、


缶詰や パウチ等で 更に言えば、それを皿に開けて そのあと、少量の水でその容器をすすいで 皿の餌に追加することで、


かなりの水分摂取が 期待できる。上手くいく。


人間もそうだが 飯は 日頃、ちゃんと食べていれば 少々、食べない時期があっても 死にはしない。


だが、水はそうはいかん。 水分摂取を怠れば、認知症のリスク上昇含め 体に間違いなく よくない。


猫に餌をあげる人は 比較的、よく見かけるが、 水を 新鮮な水を提供する人は 少ない。


面倒でもあるからだが、しかし 水分を提供できてこそ 真の愛情のひとつだと 俺は思う。


以上だ。

投稿: ぴっぽー | 2024年8月 2日 (金) 20時53分

石破様おはようございます。何事もリーダー次第でことは変わってしまうので慎重にリーダーを選ぶことは重要ではないかと思います。ニュージーランドは日本と地形も似ているので今後友好を深め、安全保障などの点で協力していけばよいのではと思います。石破様期待しています。

投稿: hitomugi | 2024年8月 3日 (土) 05時54分

石破さん、おはようございます。
(1)Arc Times で、自衛隊と米軍の指揮統制の連携強化において自衛隊が在日米軍の指揮下になる危険性についての「歯止め」について石破さんからの言及がなかったと認識しております。石破さんがコメントされたように
日本の主権国家のあり様が蔑ろになると考えます。
私は石破さんがお話された"自民党の防衛政策グループ内でのシミュレーションが必要"は法的束縛がなく「歯止め」にはならないと考えるのです。
日米関係なので、日本の国内法の縛りだけでなく2国間条約での明記が必要なのではないのでしょうか?

(2)国会議員の方々は国民の代表であり法的・論理的理解力に長けているとは考えますが、「核の共有」は極めて難しい概念と考えております。石破さんの理解や思想は自民党や立憲民主党などの各議員は理解して「議論の必要なし」としているのでしょうか?また、国民に議論の材料となる知識を石破さんから教授することもお願いしたいのです。すでに石破さんの著作にあれば教えてください。
(私も何だかさっぱり…)

愚問で申し訳ありません…

暑い中、激務だと思います。
応援しています。

投稿: 鷲尾裕之 | 2024年8月 3日 (土) 08時20分

追伸です…

1952年7月23日、口頭での「指揮権密約」が成立したと知りました。今回の2+2での取り決めとの関係を教えてください。よろしくお願いします!

投稿: 鷲尾裕之 | 2024年8月 3日 (土) 10時47分

【株の暴落があって、それは日銀の利上げが背後にあり、日銀をそういう方向に唆したのは茂木幹事長とメガネ総理の経済音痴のなせる技と云うのが原因という声が記事になっていた】

金曜日に起きた株の暴落は米国経済の雇用指数と関係があるようだ。失業率の回復に失敗したというか、7月初旬に米国で発生した超大型ハリケーンの被害が失業者を倍増させたということが原因なのだそうだ。その影響を全く考慮しない経済音痴の自称経済通の茂木やメガネが寄って集って日銀の植田に圧力をかけて利上げを約束させ強要したらしい。これで2000円以上の株価爆下げに繋がったようだ。

米国の雇用統計の問題が我が国の株価に影響を及ぼすことになるのは今に始まった話ではない。リーマンブラザーズの破綻の時も直接的にはその後に発生した失業者の脅威が問題になったことは広く知られている。超巨大ハリケーンの規模は失業率を倍増させる力となっていたのはハリケーンの発生後の10日ぐらい経ってブルムバーグなどが記事にしていた。あのハリケーンは100万人を超える失業者を発生させたらしい。
それが日本の株を爆下げさせることになったのは、外資の引き上げと日銀の利上げが重なったのだろうか?
タイミングを読まない財務省が背後にいるような気がする。唯我独尊の官僚がいないとこのような事態にはならない。その官僚に言われるままに動くメガネと茂木なのだ。経済政策の失敗は取り返しのつかないことになるのは、シナ帝国の最近を見るまでもない。自分が何をやらかしたのか気がつかない事態となり時間の経過となって手遅れに至る。宏池会は経済通だといううぬぼれがあるので失敗すると後が怖い。メガネの増税志向政策が失敗ばかりなのは、本人以外は周知の事実である。首相を離任する直前まで国の経済を混乱させる狙いがあるのだろう。もはや、自民党は国民の支持を得るという期待がないのだろう。株価の暴落は答えになっている。米国における雇用の回復は来年の春ごろになるまで厳しいのだそうだ。我が国の株価が回復するのは来年の夏ではないかという話もある。それまでには国政選挙がある。メガネと茂木は落選させないといけない。経済音痴を国会議員にするのは危険である。

投稿: 旗 | 2024年8月 4日 (日) 13時06分

石破先生

今晩は!!。
先ず、ブログのデザインも涼やかに刷新されとても喜ばしく存じます!!。
この所、全国的に連日の酷暑が続き、夜も熱帯夜の連続であります。
先生に於かれましては、この酷暑の中この秋の総裁選への下準備やテレビ出演などにより多忙な事と拝察致し、大変お疲れ様であります。
小生は先生と同郷、鳥取県出身の「国の将来を憂う者」であります。
今回もこの一週間の出来事より、拙論を述べて見たいと存じます。

さて、この8月1日~2日には、小池東京都知事を含めた「全国知事会」が開催され、47都道府県知事が集いました。その時の様子をユーチューブ動画により見る機会がありました。
議長より「人口減少対策本部長」を初め、他の要職も含め発表され、平井鳥取県知事が就任されました。
会議では何処の道府県も「人口減少問題」を喫緊の課題として議論が交わされました。
そして、その決議案の内容について各道府県の知事より賛成意見としての根拠論が厳しく語られました。
各知事により、持論が語られましたが東京都小池都知事より、「東京への一極集中は因果関係の不明確な事もあり、特定地域との文言は削除頂きたい。人口減少は本来国によるものがあり、その文言が削除されなければ決議案に賛成しかねる」などと述べ、全国の中心的首都の小池都知事の認識の甘さが、各知事より厳しく追及されました。

その多くの内容は
〇人口が東京一極集中となっているものの、東京のみが繁栄する事は出来ない。
〇三流国の首都は三流の首都でしかない。
〇全国の地方は食料、環境などを東京への供給原となっている
〇東京の一極集中は出生率0.99%により、全国の人口減少を早める原因ともなって居る。
〇過度の過密化は災害時のリスクともなり、その観点からも過密化の解消を考えるべきであり。
〇人口、産業の東京への集中は過密化への原因ともなり、過密化の解消を政府へも知事会でも提言すべきである。
〇子供、子育について地方は東京ほど財政事情は良くなく、地方と東京都は相互に協力し合うべきである。・・・
などの意見が論調も厳しく交わされました。

人口減少問題には石破先生は元より、かなり以前より云われながら従来政府は何ら効果的な政策が打てず、地方の首長は深刻な事態と受け止めている事が、手に取るように見えました。
先ほど、全国の各知事よりの意見論述の内容は、先の東京都知事選に於いて石丸伸二候補の主張と同じであり、彼はかなり先見の明があるとも思えました。

そこで、僭越ながら小生は以下のように提言致したく述べて見ます。
①首都東京より、政府機関、民間の本社機能、工場などの産業、文化施設、大学などの地方への分散を喫緊の課題として実現する
②地方へ進出することにより、就労機会を増やす民間企業へは税制面での優遇措置を増やす
③例えばアメリカのワシントンとニューヨークのように、東京は政府機関中心とし、民間企業の本社は大阪および地方都市へ移転とする。
④各大学と云えども、学部を地方へもっと分散させる
⑤国民の人口動態を「ライフサイクル」の変移などにより考慮し、若い世代の東京への集中を避ける
例・・若い世代の時は都市部で住まい、定年後などは地方へ移住しその時は、住宅補助を増やすなどを行う
⑥地方へ進出の民間企業の工場などは、土地取得税の優遇を計る
以上の事柄を「国家的政策」として計画の上、喫緊的に実施するなどであります。

ざっと考えるのみでも以上の事柄が考えられます。
以上のように、人口減少問題は産、官、学により協力の上、政府の確固たるリーダーシップにより実施されなければならないと考える者であります。

投稿: 桑本栄太郎 | 2024年8月 5日 (月) 20時09分

こんにちは
7日にでる先生について書いてある本読んでみます。

投稿: くま | 2024年8月 5日 (月) 21時08分

追伸2です。
白井聡さんの説では石破さんが総理大臣になった場合、自民党の重鎮に政策実現を完全に邪魔されるとのことでした。私としては石破さんの政策実現に期待をしているので心配です。なんとか石破さんの政策を実現してください。期待しています。

投稿: 鷲尾裕之 | 2024年8月 7日 (水) 07時13分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« カウラ事件など | トップページ | 南海トラフ地震臨時情報など »