"Primum non nocere"

く考えれば、ヒポクラテスの誓いってのは 時代遅れであり、閉鎖的であり、決してよいことを言っているとは思えないのだが、医学部の講義や偉い先生方の公演に便利なのか・・・よく用いられる。そのよく使われるワンフレーズさえ、当時の常識が歪曲され、恣意的に引用が繰り返され、変容した可能性がある。


ギリシャ時代の偉いおっさんの名前を持ちだすとなにかありがたがるのをねらってるのか、外国で、特にアメリカでやってることはすばらしいことだという勘違いがあるせいか、ヒポクラテスの誓いというのが医学部や医科大学の教育者がよく引用する言葉である。教育者はその発する言葉に責任を持たなければならない。その語源を正しく理解しておかなければならないはずである。

たとえば、最近、薬害の問題や、医療過誤で言及される言葉
Primum Non Nocere”

Above All, Do No Harm!

”まず、害を与えないこと”
これは時代を超越したフレーズであり、それゆえ、近年のヒューマニストたちにより、祭り上げられた言葉である。だが、ヒポクラテスの誓いのほかのフレーズに比べかけ離れ、あまりに現代的な感じがしないだろうか?私は正直以前から違和感を感じていた。


近年、この有名なフレーズの作者はヒポクラテスでも、弟子であるGalenでもないという報告がでている。
http://jcp.sagepub.com/cgi/content/abstract/45/4/371



後年に付け加えられ歪曲されたフレーズである

Do not harm"の真の意味は、害を与えないという消極的意味でなく、意図的な殺害を含めた意味であった。

ほかに、医学教育に関わるものなら、反対せざる得ない2つの誓約が現在も通用している。

1)自然治療主義者である医学分派にすぎない主義主張
2)安楽死拒絶


“use the knife, not even on sufferers from the stone”は過去の遺物であり、その後の消毒技術、麻酔、補液、ショックなどの科学的管理などの発達で、この言葉が誓詞のなかになぜ残存しているのか不明。しかもアメリカの多くの医科大学でこのフレーズは残存。


ひょっとして、‘“本音と建て前はちがう”という人生のアイロニーを医学生に教えているのか?(笑)

(引用:http://content.nejm.org/cgi/content/full/350/20/2026


もしヒポクラテスの誓いをするかと言われれば、絶対拒否したい


古代のお偉いさんが言ったと述べたら・・・思考が停止する。

blind obedience:“権威者の表明により思考ストップしてしまう”(http://intmed.exblog.jp/1565847)の典型例か

by internalmedicine | 2005-09-01 00:33 | 医療一般  

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