オープンソース版の“Google Earthクローン”を開発し、自由に衛星画像を利用できるようにしようと開発を続けてきた「gaia」プロジェクトが、Googleからの要請で中止になったことが明らかになった。プロジェクトそのものは別の方向で続行されており、Googleとの話し合いは平和裏に進んだ模様だ。
gaiaプロジェクトは、Google Earthをリバースエンジニアリングして衛星画像を利用する計画を遂行していた。しかし、プロジェクト関係者はGoogle EarthのチーフテクノロジストであるMichael Jones氏から直接メールを受け取り、このことがGoogle Earthクライアントのサービス規約に違反していることを指摘された。
最も大きな問題となったのは、Google Earthが衛星画像提供企業からライセンスを受ける際に、Google Earth以外で画像が利用できないような仕組みを設けることが条件となっていることだった。もしgaiaプロジェクトが計画を進めれば、Google Earthの存続そのものが危うくなってしまう。衛星画像提供企業からの信頼を勝ち得ることもGoogle Earthの成功に不可欠であるからだ。
Jones氏は、gaiaプロジェクトのエンジニアリング的資質に賛辞を送りながらも、この問題を避けるためにGoogle Earthからの衛星画像利用はあきらめてほしいと訴え、その代わりに無料でオープンに利用できるNASAの衛星画像を利用したらどうかと逆に提案している。こうしたことを受けてgaiaプロジェクトはGoogle Earthのリバースエンジニアリングを断念し、新たにNASAのWorld Windなどで公開されている無料で利用できる衛星画像を使用したプロジェクトに方針を変更。新たにプロジェクトを立ち上げた。
gaiaプロジェクトではこれまでのGoogleとのやりとりをプロジェクトホームページ上で公開し、「私を犠牲者だとみなさないでほしい」ともコメントして、Googleに悪い感情を抱いていないことを表明している。
公開された一連のメールの中では、そのほかにも興味深い情報が明らかになった。まず、gaiaプロジェクトにリバースエンジニアリングされてしまった結果として、Google Earthクライアントが衛星画像をダウンロードするプロトコルを変更したことがあったという。また、Digital Globe社の衛星は約5億ドルと非常に高価であるため、Googleがライセンスしている衛星画像データも非常に高価だということもわかった。
【お詫びと訂正 2006/12/04 11:55】
記事初出時、「GoogleがDigital Globe社からライセンスしている衛星画像の値段が約5億ドルと非常に高価であることも明らかになった」と記述しておりましたが、正しくは「Digital Globe社の衛星は約5億ドルと非常に高価であるため、Googleがライセンスしている衛星画像データも非常に高価だということもわかった」です。お詫びして訂正いたします。
関連情報
■URL
gaiaプロジェクト(英文)
http://gaia.serezhkin.com/
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( 青木大我 [email protected] )
2006/12/01 12:58
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