管理人のイエイリです。
現実空間にBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフトなどで作った仮想の建物の3Dモデルなどを重ねて表示するAR(拡張現実感)という手法があります。
本格的なARだとタブレット端末や3Dモデルを用意するなど、技術や費用、手間がかかります。
ところが、電線地中化工事を手がける岡山市北区の大都建設は、タブレット端末も3Dモデルも使わずに、
ナ、ナ、ナ、ナント、
現実の風景から電柱を消す
という景観シミュレーションを“アナログAR”の手法で実現したのです。
特に何も持たない通行人が、このような電柱撤去後の景色を現場で見られるというのは、すごいことですね。
大都建設はいったい、どんな方法で“アナログAR”を実現したのでしょうか。
まず、現場でARの「立ち位置」を決め、そこから電柱を含めた写真を撮ります。次に電柱の裏側に移動してもう一枚、写真を撮ります。
そして、後で撮った写真から、電柱で隠れている部分を細長く切り抜き、画像処理ソフトで背景に写っている電線や電柱を削除するなどの加工を行います。
最後は加工済みの細長い写真を電柱の幅に合うような大きさでプリントアウトし、立ち位置からの風景に合うような位置に取り付ければ完成、というわけです。
現場での写真撮影には、電柱に張り付けたときの完成イメージを持って画角や撮影範囲を調整することがポイントです。今回は大都建設が現場での写真撮影を行い、写真の切り抜きや加工は建設IT職人組合クライス(札幌市)の佐々木実氏が担当しました。
大都建設ではこの現場を含め、3カ所で電柱撤去後の“アナログAR”を実践したとのことです。
今回の例は、電線地中化後の風景をシミュレーションしたものですが、新しい建物や土木構造物が建設される場合の“アナログAR”を行うことも可能です。
例えば、建物や土木構造物のCGを
透明アクリル板に張り付け
て、視点場から完成イメージが見える位置に設置すると、現実の風景の中に完成した建物などを見ることができます。
大判のカラーブリンターをお持ちの現場の方は、早速、“アナログAR”を試してみてはいかがでしょうか。