ナガサキ 消えたもう一つの「原爆ドーム」
著者 高瀬毅 (著)
長崎にも「原爆ドーム」があった――。それは爆心地の北東500メートルほどの位置に立つ、高さ25メートルの鐘楼を持った浦上天主堂。しかし1925年に完成し、東洋一と謳われた...
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商品説明
長崎にも「原爆ドーム」があった――。それは爆心地の北東500メートルほどの位置に立つ、高さ25メートルの鐘楼を持った浦上天主堂。しかし1925年に完成し、東洋一と謳われたこの天主堂は原爆によって廃墟と化す。当初、被爆遺構として保存に積極的だったはずの長崎市長だが、訪米を経て「原爆の悲惨を物語る資料としては適切にあらず」と発言し、撤去路線に転換。結果として旧浦上天主堂は1958年に撤去されるに至る。世界遺産クラスの被爆遺構はなぜ失われたのか? 市長の翻心の裏には何があったのか? 丹念な取材によって昭和史のミステリーを解き明かした渾身のノンフィクション。
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長崎にはなぜ原爆遺構がないのか
2017/08/11 19:21
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くりくり - この投稿者のレビュー一覧を見る
池袋の新文芸座で、先日、熊井啓監督の「地の群れ」をみた。
冒頭に被爆した長崎浦上天主堂の無残な状況とその天主堂の取り壊しのシーンが象徴的に映されていた。
そのとき、広島には原爆遺構として、原爆ドームがあるのに対して、長崎にはなぜメモリアル的なものがないのか不思議に思い本書を読んでみた。
実は浦上天主堂を残そうという動きがかつてあったが、
一転、取り壊されることになってしまう。
本書はそのような決定がなされた背景、事情を、当時の文書、議事録、長崎の歴史等そして、アメリカに渡り調査し明らかにしていく。
事実を拾い上げていく描写は、ミステリーを読んでいるようである。
著者は長崎の原爆遺構の撤去はアメリカに巧妙に仕掛けられたものであるという仮説に行きつく。
著者の仮説の決定的証拠が発見できなかったことは、著者自身が認めている。
しかし、現在もアメリカの意向に沿った形で連綿と政策が決定される様を見るにつけ、仮説には説得力がある。文庫版のあとがきでは、福島原発事故にも触れ、第五福竜丸の被爆にアメリカへの批判が集まることをおそれて、原子力の平和利用としての原発が推奨されて、福島の事故につながっていることを指摘している。
「いい加減にしてくれ、アメリカ」ともう気がついてもいいのではないだろうか。