Announcing improvements to the Enterprise Mode Site List
http://blogs.msdn.com/b/ie/archive/2014/11/11/announcing-improvements-to-the-enterprise-mode-site-list.aspx
Internet Explorer 11 の「エンタープライズ モード」は企業や組織の管理者がグループ ポリシーを通じて特定のサイトやユーザーが指定したサイトを Internet Explorer 8 互換モードで動作させることができるモードで、2014年4月の更新で新たに追加された機能です。このモードに、2014年11月の更新 (セキュリティ更新プログラム MS14-065) で新たな機能が追加されてたことが IEBlog で解説されています。
新しい機能は、Enterprise Mode Site List Manager ツールを使って作成した一覧をクライアントに提供する場合、サイトの表示方法で従来の "Default Mode" (IE11 の既定のモード) と "Enterprise Mode" (IE8 互換) に加えて、IE10 / IE9 / IE8 / IE7 / IE5 のドキュメント モードでの表示も選択できるようにするものです。これにより、エンタープライズ モードでも正しく動作させることができなかったサイトについて、管理者が一括してそのサイトを特定のドキュメント モードで表示させることができるようになります。
企業・組織内の管理者は、IE11 の標準モード (Edge モード) でもエンタープライズ モードでも正しく表示できないサイトについて、F12 開発者ツールを利用して正しく動作するドキュメント モードを確認し、そのモードを一覧に登録することで、企業・組織内のユーザーがページに適切に表示されるようにすることが可能です。またこの新機能に合せて、Enterprise Mode Site List Manager ツールも更新されていますので、古いバージョンを利用している方は新しい物に入れ替えてください。
ドキュメント モードの詳細については、TechNet の「ドキュメント互換性の定義」や川田さんのブログを参照してください。
なおドキュメント モードとエンタープライズ モードの違いは、エンタープライズ モードは Internet Explorer 全体の動作を IE8 にエミュレートするエンタープライズ モードに対して、ドキュメント モードではページのレンダリングで特定のバージョンの IE と同等になるようエミュレートするものです。つまり Enterprise Mode Site List Manager ツールを使って特定のドキュメント モードを指定しておくと、そのサイトのページはあたかも X-UA-Compatible meta タグや HTTP ヘッダーでドキュメント モードが指定されていたかのように、指定のドキュメント モードで表示されます。またページに最初から X-UA-Compatible meta タグや HTTP ヘッダーでドキュメント モードが指定されており、ツールでの指定がそれと異なるドキュメント モードだった場合は、ユーザーにページの指定をオーバーライドして良いか確認すると IEBlog には書かれています (まだ手元では動作未確認)。
具体的な指定方法ですが、まず以前に紹介したようにグループ ポリシーで [エンタープライズ モード IE の Web サイト一覧を使用する] を有効にし、一覧の参照場所 (http スキームで参照できる場所) を指定します。次に更新された Enterprise Mode Site List Manager ツールを利用して、エンタープライズモードやドキュメント モードを指定するサイトの一覧を作成します。
Edge Mode は IE11 のネイティブなモード、Enterprise Mode は IE8 エミュレート、その他は IE11 でのそれぞれのドキュメント モードによる互換表示です。
作成した一覧を XML ファイルとして保存し ([File] – [Save to XML])、保存したファイルをポリシーで指定した参照場所に配置します。細かな手順は過去記事の「IE11 の新機能 – エンタープライズ モード 」や TechNet の記事「Enterprise Mode Site List Manager ツール」を参照してください。
さて、この新機能ですが、考えようによってはもう IE10 や IE11 のシェアが高くなっており、古いドキュメント モードでないと動作しないようなサイトで X-UA-Compatible の提供もしていない (つまりそのままでは新しい IE で正しく表示されない) ような所はほとんど無さそうで、今更こういう機能を付けて何か大きなメリットがあるのだろうか、と疑問に思う方もいるでしょう。実はこの機能は現行の Internet Explorer 11 について重要と言うより、次のバージョンの Internet Explorer で重大な意味を持ちます。IEBlog の新しい記事「Living on the Edge – our next step in helping the web just work」によると、次期バージョンの Internet Exploer では現在のドキュメント モードの非推奨をさらに進めて、公開されているインターネット上のサイトはすべて X-UA-Compatible を無視し、新しい Edge モード (最新バージョンのネイティブなモード) で表示されるようになります。ドキュメント モードはイントラネットのサイト、互換表示リスト (CV リスト) での指定、そしてこのエンタープライズ モードでの指定を除き、利用されなくなります。
次期 IE での変更点についてはこの後で別記事でも投稿する予定です。
これでこの機能の重要性が理解できるでしょう。企業・組織内の管理者は、次期バージョンの Internet Explorer に備えて、(サイト側がそれまでにモダン ブラウザー対応できなかった場合への保険として) エンタープライズ モードを展開し、ユーザーが業務上利用するサイトのそれぞれで適切なドキュメントモードを指定しておく必要があります。また X-UA-Compatible を無視する新しい Internet Explorer の動作は最新の Windows 10 Preview に実装されていますので、そちらでの動作検証も進めていく必要があるでしょう。
なお、2014年11月の更新 (セキュリティ更新プログラム MS14-065) ではこの新機能の他に、以下の変更が行われています。
- Windows Vista SP2 と Windows Server 2008 SP2 用の IE9 での古い ActiveX コントロールのブロック機能の追加
- バージョン 5.1.30514.0 未満の Silverlight ActiveX コントロールのブロック開始