あなたは「呼び屋」という職業をご存じだろうか。海外のアーティストを招いて公演を実現させることを生業とする彼らは、長年に渡ってその手腕で日本の音楽史を彩ってきた。
本書の著者は、マドンナやボン・ジョヴィの日本初公演を実現させるなどして、呼び屋として名を揚げた。茨城県の小さな村で生まれた男は、いかにして多数の著名なアーティストを日本に招聘できるほどの大物となったのか。
本連載では、『呼び屋一代 マドンナ・スティングを招聘した男』(宮崎恭一著)より一部抜粋・再編集して、50年にもわたって国内外のアーティストと関わってきた著者の人生の軌跡と、彼が支えてきた日本の音楽シーンの変遷についてお届けする。
『呼び屋一代 マドンナ・スティングを招聘した男』連載第17回
『“明かされる「東方神起」解散の真の理由!”…味方にする“経営者”を間違えた元メンバーに訪れた「悲劇」とは』より続く
「日本でチャリティ・コンサートをやりたい」
2011年、そういう経緯があった後、電通ミュージック・アンド・エンタテインメントがJYJの日本での公演をザックコーポレーションでやらないかと声を掛けてきました。
うちは以前に韓流タレントを扱った実績があるからです。そして、なんでも日本でチャリティ・コンサートをやりたいというのです。その年の3・11に東日本大震災が起こりました。それで彼らは、ギャラはタダでいいから利益の一部を寄付したいといいます。そこで僕は6月7日のさいたまスーパーアリーナを押さえました。
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どうして埼玉なのかというと、東日本大震災があったとき、埼玉県はさいたまスーパーアリーナの公演をキャンセルして避難者を受け入れて、莫大な損害を出したわけです。僕はなんとかそれを少しでも助けてあげようと思いました。
さいたまスーパーアリーナは1万8000人の収容人数で昼夜2公演ができます。チケット代金は1万円ですから、うちの利益を取っても1億円は寄付できます。