記念すべき創刊号の巻頭を飾った座談会。実は、誌面に掲載仕切れなかった話がまだまだたくさん残っています。場所を居酒屋に移動して行われた座談会の続編を、ボーナストラックとしてここに掲載します。語るは、伊藤直也氏、吉岡弘隆氏、ひがやすを氏、登大遊氏、木下拓哉氏という開発現場の最先端に陣取る5名、司会進行はリナックスアカデミーの濱野賢一朗氏という豪華キャストでお届けします。
編集:長丁場お疲れさまでした! 濱野さん、乾杯の音頭をお願いいたします。
濱野:おととい乾杯の挨拶で失敗したばかりなのですが。。。
一同:そんなことはいいから早く!
一同:お疲れさまです!乾杯!
濱野賢一朗氏
伊藤:座談会の後で濱野さんがいじりがいのあるキャラだとわかったんですよね。
濱野:進行役をいじってどうするんですか。。。ところでこの座談会、もしかしたら2回目があるかもしれないです。だって今日なんの結論も出してないし。
伊藤:今日来た人はみんな幸せだから。
濱野:記事という視点からすると僕らが幸せなのは、どのあたりに理由があるんだろうというのを伝えなければならないはずなんですよね。まあそれは次回ということで。
伊藤直也氏
編集:皆さんは、どんな飲み会に参加されていますか?
伊藤:こんな感じの。
ひが:ワイン会に参加しています。大学1年の頃にワイン教室に通っていましたし。右脳を鍛えるために。飲みすぎて記憶がなかったりするんです(笑)。そういう時に会う人は仕事でも意味が出てきたり。で、ワインについてはあまり語らないんです。
伊藤:登君は生まれ変わったらソムリエになりたいですか?
登:ソムリエって、味を比べる人ですか?
伊藤:。。。そう、聞いた俺が悪かった。
ひが:香水とか作る人にもあこがれました。好きなんです、花の香りとか、ハーブとか。ハーブ園にも行きたくなるんです。料理とかでもすごく香りをかぎたくなります。行儀が悪いって怒られましたが。
伊藤:テレビで田崎信也という人が、電車で隣のさらに先の人の香りを意識しながら乗っていますと言っていました。そうやって嗅覚を鍛えているらしい。
ひが:それはあると思います。食べているときもどういう香辛料を使っているかイメージしたり。面白いんです。
登:プログラムなんかでも…
ひが:おんなじじゃない。おんなじじゃない。
濱野:Webサイトを見ているだけで、何となく使われているフレームワークの香りがするとか。
伊藤:エンジニアならわかるかもしれない。
濱野:ハードディスクの音を聞いて、言語がわかるというのはあるのかなあ。
登:VBとC++はだいぶ違う。
濱野:毎号クイズにしてMP3か何かで音を3つくらい公開して、これがそれぞれ何の音か当てろみたいな。それを登さんに出題してもらう。
編集:それは面白いアイディアですね!
ひが:ハードディスクの音で区別できるなんていう事実自体、普通世の中の人は知らない。
濱野:まあ100人くらいチャレンジする人はきっといる。
登:あとスイッチングハブとかぴかぴか光るじゃないですか。あれがいいです。
濱野:ああ、もしかして点滅だけでこれはSoftEtherですか、Telnetですか、とか。超オタッキークイズ。
伊藤:日本にもこういう若者がいたんだなあ。
濱野:エッジな感じの。それを毎号解答してくる危ない読者が、案外共同ビジネスをやれる人かもしれない。
伊藤:シリコンバレーの石黒邦弘さんが登さんみたいな感じです。それこそ、ワインの話をしているのに、それがGCCのなんとかに似ていてさあみたいな。その話をしないようにしているのになんでそっちにいくんだよっていうところが。石黒さんはそんな生粋のハッカーなんです。春にコードを書き始めて気付いたら秋だったとか言っていたけど。Zebraとかいうルーティングのソフトだったかなあ。
濱野:PC用のルーターソフトですね。BGPとかも使える。
伊藤:本当にコードを書くのが楽しそうで、こういう風にはなれないなと。
ひが:私も今日は登さんのようにはなれないと思った。いろんな局面で。
濱野:すべての発言がそうだったような。
ひが:そこまでたどり着くのに必要な刷り込みが俺にはなかった。真似できないと思いました。バックボーンが違う。
登:でも、Webアプリのことはよくわからないんです。
登大遊氏
伊藤:登さん21歳か、ちやほやされていいなあ。
濱野:ちやほやされたいの?
伊藤:されたいよ、そりゃ。
濱野:昔は私もちやほやされてましたよ。
伊藤:君の話は聞いてない。
濱野:ええっ。
伊藤:しかも君26だろ。
ひが:でも一番落ち着いてるよね。この中で。浮ついてない。
ひがやすを氏
編集:皆さんが自分はエンジニアだと意識されるのはどんな瞬間ですか。
ひが:俺はあんまりエンジニアだと思われてない。
編集:登さんはどんな意識ですか?
登:あんまり意識してないです。
ひが:地がエンジニアだもんね。
伊藤:なるべくしてエンジニアなっている。でも社長だもんな。僕は全然会社を起こしたいとは思わなくて。めんどくさいのよ。何にたとえればいいんだろうな、サッカーの監督にはなりたくない。プレイヤーが一番楽しい。
ひが:プレイングマネージャーというのは。
伊藤:俺はそこまで器用じゃない。
伊藤:そういえば、びぎねっとに濱野という人がいたのを覚えているんだけど。
濱野:かなりの確率でそいつが私ですよ。この業界で濱野ってあまりいないですから。会社ができたての頃には、社会保険事務所に行って、とか法務局に行って、とかそんなのばかりやっていました。
登:法務局いいですねえ。
濱野:確かに面白いですけど。「法務局いいですねえ」っていうコメントにはギャップを感じます。。。今JRの話とか始めたら、JRの改札欲しいですよねえとかいうようなもんでしょ。
木下拓哉氏
伊藤:小学校の頃はパソコン友達がいたんだけど、思春期を迎えて、中高はバンドをやっていました。大学になったらもう自我もできあがって、コンピューターも認知されてきたのでいいかなと再開しました。中高でコンピューターの世界を貫き通すかそこで一回捨てるかで結構違うかもなあ。パソコンとかゲームとか、「うらやましい、俺もやりたい」って思っても、そこに手を染めてはいけないという自分があった。
木下:そこでやっていたら今の自分がないのかも。そこでちょっと別のことをしたのが、今考えると大事なのかも。
編集:お話を聞いていると、皆さんコンピュータに対する直感が優れているように感じたのですが、小さい頃に触っておくのは大事なことなんでしょうか。
ひが:あまり変わらないかも。今でも家に帰ってまで触りたいとは思っていない。
濱野:今は小さい頃から環境が整っていてすごいじゃないかと言われるんだけど、ちょっと違うんですよね。僕らにとってコンピュータはいじれるものだけど、今の人にとってはそうじゃない。
伊藤:完成品なんですよね。
濱野:中学校や高校で情報の授業をするんですけど、コンピュータをいじれるという感覚はないですよ。複雑すぎて。
伊藤:昔は信長の野望とかソースコードを見たりして。分からなかったけど。し放題だった。
濱野:道具として使い切るだけで精一杯。小さい頃からコンピュータに触らせればいいんじゃないかとも言い切れない。登さんみたいな人材はなかなか出てこない。
ひが:それはたぶん電気に触らないとだめなんですよ。
伊藤:俺は感電しなかったらもういい。でもダンプカーに轢かれたことはある。跳ね飛ばされても無傷だった。
濱野:それが原因で今がある?
ひが:私は小学校の頃に転んで頭を階段の端っこにぶつけたことがある。
伊藤:それだそれだ、っていうか人間誰でもそういうことあるだろ。
濱野:たまたまそういう人達が集まっているのかも。
登:大阪の日本橋にいたずら禁止と書いてある機械があって、猫が飛び上がっている絵が描いてありました。その機械に手を近づけると空中放電するんです。で、自分の指から人に向かって青い光を当てることができます。指先は痛いので我慢しないといけませんが。
伊藤:指先が痛いのに、我慢してまでそれをやるモチベーションは?
登:ビニールを使って絶縁を作ると、どこかが破れて細い光が出るのですが、それだとあまり痛くないんです。
伊藤:だから何でそもそも。いや、理由なんていらないか。愚問でした。
登:小学校にトランスを持っていって、12Vのくらい。電極をじーっと近付けると、だんだんトランスが剥けてくる。
伊藤:洗濯機がぐるぐる回ると、じっと見ちゃう気分?男のロマン。俺はそんな子供になれなかったなあ。
登:そういうのを解説する本があったんです。小中学生でもわかるくらいの。そんな本をぜひ技評で。
伊藤:読者を育てるメディアに。
―続く。