『ヨハネスブルグのガイドライン』はどこまで本当? 大使にきいてみた!

インターネット(特に2ちゃんねる)で有名な『ヨハネスブルグのガイドライン』という文章をご存じだろうか?

・軍人上がりの8人なら大丈夫だろうと思っていたら同じような体格の20人に襲われた
・ユースから徒歩1分の路上で白人が頭から血を流して倒れていた
・足元がぐにゃりとしたのでござをめくってみると死体が転がっていた
・腕時計をした旅行者が襲撃され、目が覚めたら手首が切り落とされていた
・車で旅行者に突っ込んで倒れた、というか轢いた後から荷物とかを強奪する
・宿が強盗に襲撃され、女も「男も」全員レイプされた
・タクシーからショッピングセンターまでの10mの間に強盗に襲われた。
・バスに乗れば安全だろうと思ったら、バスの乗客が全員強盗だった
・女性の1/3がレイプ経験者。しかも処女交配がHIVを治すという都市伝説から「赤子ほど危ない」
・「そんな危険なわけがない」といって出て行った旅行者が5分後血まみれで戻ってきた
・「何も持たなければ襲われるわけがない」と手ぶらで出て行った旅行者が靴と服を盗まれ下着で戻ってきた
・最近流行っている犯罪は「石強盗」 石を手に持って旅行者に殴りかかるから
・中心駅から半径200mは強盗にあう確率が150%。一度襲われてまた襲われる確率が50%の意味
・ヨハネスブルグにおける殺人事件による死亡者は1日平均120人、うち約20人が外国人旅行者。

 この話はもはや都市伝説のように広がっており、嘘とも真実ともつかない。この真実を究明したい! と、在南アフリカ日本大使館特命全権大使の小澤俊朗氏にこの文章を見せ、お話を伺ってみた。

――日本では南アフリカへの無知ゆえに、ご覧になったようなうわさが出回っています。『軍人上がりの8人なら大丈夫だろうと思っていたら同じような体格の20人に襲われた』というのは本当ですか?
小澤「注意しながら行動することが必要。治安の統計の数値を見ると、非常に悪い。数値に誤りはないが、その多くは黒人による旧黒人居住区での犯罪だ。殺人件数は日本の30倍ほどあり、非常に数字は悪い。黒人居住区で酒を飲み、トラブルにつながっている例が多い。
 そうでないところはそれほど危険というわけではないが、気をつける必要はある。車で移動するときに窓ガラスを割られて助手席のものが盗まれるといった車上荒らしに気をつけて運転する必要がある。
 悲しい例だが、バーグラバーといい、窓に鉄格子をはめている家も多い。不法侵入が多いためだ。この国は不平等が大きく、それを表す指数であるジニ係数が0.68と世界最低のものとなる。しかし、日本からの観光客はほとんど犯罪にあっていない。日本からのパックツアー客は1年に3万人程度くるが、過去4年間の犯罪件数は0だ。

――どのレベルの犯罪でしょうか? 盗難や殺人など
小澤「空港などの荷物紛失は除くが、盗難殺人など街中でおこりうる犯罪はゼロだ。危険なのはバックパッカーや駐在員で、我々大使館の人間も危険な目にあったことはある」

――バックパッカーはどんな被害にあうのでしょうか?
小澤「色々あるが、長距離バスにのって置き引きにあうなどだ。外国人に対して滅多に危害を加えることはないが、抵抗すると危険なので、銃やナイフを突きつけられた場合は潔く渡す覚悟は必要だ。日本から来られるかたは不幸にして“カツアゲ”にあった場合、潔く渡してほしい」

――日本人で身体被害にあった例はあるのでしょうか?
小澤「過去数年まったくない。盗難は現金、携帯電話、カメラといった単純なものが多い。見せびらかしたりせず、常識をもって行動することが必要だ」

――バックパッカーはどうしたらいいのでしょうか?
小澤「ふつうの気をつけかたが大事だ。何か異変を感じたら近寄らない、という海外の常識をもってほしい」

――ヨハネスブルグのガイドラインは本当なのか? たとえば『バスに乗れば安全だろうと思ったら、バスの乗客が全員強盗だった』というのはどうか
小澤「これはちょっといかがなものかとおもう。バスで全員が盗まれることはある。乗客の一人が強盗で、全員盗まれたという例があった」

――では『中心駅から半径200mは強盗にあう確率が150%。一度襲われてまた教われる確率が50%の意味』というのはどうか
小澤「これは実例がある。駅とバスターミナルは時間によって非常に危険だ。日中はこんなことはないが、我々も夜は絶対に近寄らない」

――『ヨハネスブルグにおける殺人事件による死亡者は1日平均120人、うち約20人が外国人旅行者。』というものについては?
小澤「これは嘘だ。1日の殺人事件の死亡者は50名程度だ

――日本の読者へ一言お願いします。
小澤「南アフリカは外国からの旅行客が一千万人。日本は八百万人だから、南アフリカは観光大国だ。特に、ケープタウンやサファリが人気で多くのツアーが出ている。気候も非常に安定していて過ごしやすい国で、ぜひ多くの人にこの国の魅力を知ってもらいたい」

――ありがとうございました。

なお、このインタビューはワールドカップ前に行われた。
ひろゆき氏も同行したが、例によってサンダルで現れていた。

なお、南アフリカで最も近づいてはいけないといわれるダウンタウン、そして世界最恐のビル『ポンテタワー』を取材した様子の放送が行われる。こちらもぜひチェックだ!
ひろゆきと行く! ヨハネスブルグ&ジンバブエの旅 ポンテタワー&ダウン タウン編 – ニコニコ生放送
2010/06/27(日) 開場:20:50 開演:21:00
 
執筆:伊予柑([NKH]ニコ生企画放送局)
 

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