「イケメンはいりません」ニコニコミュージカル『ニコミュ』のワークショップが開催!
先日開催の『ニコニコ大会議』にて発表された『ニコニコ動画』発・劇場から生放送するミュージカル『ニコニコミュージカル(略して“ニコミュ”)』。『ニコミュ』とはSMAPが出演し”アニメミュージカルの起源”とも呼ばれる『聖闘士星矢』や、異例のロングランを記録した大ヒットミュージカル『テニスの王子様』を手がけた片岡義朗氏がプロデュースする本格的なプロジェクトだ。『ニコニコ動画』のユーザーが出演し、また『ニコニコ動画』上でも放送が予定される本ミュージカル。まだ公演の詳細は未定だが、近日中に出演者オーディションも行われる予定だ。しかし、全く舞台経験のない『ニコニコ動画』ユーザーに、いきなりのオーディションは敷居が高いかもしれない。そこで3月18日より初心者向けのワークショップ(体験講座)の開催が決定された。まずはここで基礎を学び、オーディションへの応募を考えてみると良いだろう。ところが、ここで更に悩ましい問題がある。そもそも”ワークショップ”自体が未経験者にとって何なのか分からないことだ。「ワークショップってどういうことをやるの?」、「自分でも参加可能なの?」と疑問を持つ方もいただろう。そこで今回は、ドワンゴ社員によるワークショップのリハーサル生放送が行われた。結論からいえば、上記の疑問・不安を払拭(ふっしょく)する放送となった。
・予想外のトラブル
20:30に放送が開始……されない。どうやらログインサーバーに障害が発生し、『ニコニコ動画』にアクセスし難い状態となってしまったようだ。現場スタッフが慌ただしく動く中、とても愉快そうなひろゆき氏(今回もギリギリな、貫禄の到着)が印象的。放送時間は遅れたが、参加者達はその間もハードな練習を行っており、放送前から全力を要求する風景には講師の本気度が伺えた。
講師は『マグダラなマリア』演出の湯澤幸一郎氏と劇団『動物電気』の主宰を努める政岡泰志氏。また司会として、ひろゆき氏と、『ニコミュ』プロデューサーの片岡義朗氏も参加。なお、本番のワークショップでも前述の湯澤氏・政岡氏が担当する。
・そもそもワークショップとは何か?
ワークショップとは座学ではなく、実際に声を出し体を使ってレッスンを受けながら技能を向上させる実践的なセミナー。今回は参加者層が初心者であることを想定し、基礎を重視した内容となっている。
・放送開始
まずは自己紹介と湯澤氏からの質疑応答コーナー。ありきたりな質問かと思えば斜め上からの言葉も投げかけられ、参加者が素を垣間見せるシーンも。全員とのキャッチボールを終えると、いよいよ練習が開始された。以下にその練習方法とポイントとなりそうな部分を抜き出してみる。もちろん本当のワークショップではもっと時間を使い、他の練習も組み込まれることになる。
・名前を呼ぶ
これは参加者が輪になり、指で相手を指し示しながら名前を呼び合う訓練。ここから最後まで全ての練習に講師の泰志氏も参加。テンポよくはっきり間違えずに名前を呼ぶこの練習のポイントは、名前を呼ぶ際に躊躇(ちゅうちょ)しないこと、確実に相手に名前を伝えられること。また相手の名前を覚えるので、仲間意識も芽生えるようだ。
・リズム体操
次は『間』の訓練。同じく輪になり、時計回りに隣から回ってくる手拍子をし続ける練習。テンポを崩さずに手拍子を行わなければならない。最初はゆっくり、慣れてきたらより早く手拍子を続けていくが、隣を意識しながらも自分が叩く手拍子のリズムをとるのがコツのようだ。後半では受け取る相手、渡す相手の顔を見ながら手拍子をするように、と湯澤氏より細かい指導が入るシーンも。拍手の次は「はい」というかけ声での受け渡し。少しでもタイミングが狂うと一気にテンポが崩れてしまう。短時間の練習では難しかったかもしれないが、湯澤氏曰く「ワークショップを続けていくうちにリズム感は向上する」とのこと。また片岡氏からは「舞台上でのセリフの掛け合いを行う上でも重要となってくるのでは」という投げかけもあった。
・歩く練習
普段の癖を見るために、いつものように歩いてもらう。最初は普段通りに、次に輪になって前の人を真似ながら歩くことで、自分の癖を発見する。ここでは湯澤氏も途中参加。足を前後左右にステップさせ、ハードルを上げていく。この練習では体を思い通りに動かせるようになる意図があるようだ。ひろゆき氏の「普通に歩けって指示なのに、目立とうとするやつは?」という問いに湯澤氏は「たぶん潰されると思います」と一言。
ここで一端休憩。文章ではサラッと書いているが、実際には全身を使っての練習に参加者の息は上がっている。感想を聞いても「キツい」「明日は筋肉痛になりそう」「喉の奥に血の味が」と辛さが伝わる発言が出ていた。
さらに休憩時間を利用して、放送コメントへの質疑応答に。湯澤氏の普段の練習方法、そして簡単にできる発声練習の仕方が紹介された。それは「声を出さずに息だけを出すことで大きな音がせず近所迷惑にならない」というもので、是非参考にしてみて欲しい。他にも素人がワークショップに参加しても良いか、との質問コメントもあったが、それに湯澤氏は「そのための今回のワークショップです」と回答していた。
・エチュード(即興劇)
設定やシチュエーションをその場で与えられる、いわゆる参加者同士が作り上げていくアドリブ劇。突然のフリにも対応せねばならず戸惑うことの多い練習だが、初めてとしては想像以上にこなしている印象を受けた。ここで湯澤氏より、メガネさん、声が出ていたことからロージーさんが褒められていた。
・エチュード その2
告白エチュード。よりリアリティーを追求してみよう、という趣旨でエチュードも応用編に。まず最初に「水をかける→叩く」という演技を行った後、「本当に水をかける→本当に叩く」動作を行った。前者と後者を比較することで、自分の演技の嘘を発見する意図であったが、あまりに熱の入った本気のビンタが炸裂し、叩かれたメガネさんのテンションがダダ下がり。練習そのものにも、また違った側面からも見応えのある内容となった。その後は”告白”というテーマでエチュードがスタート。全員が順番に参加していく内容であったが、講師の泰志さんの体を張った熱演に現場からも笑い声が。
番組もそろそろ終了。締めへと向かう中、ひろゆき氏から最後に湯澤氏とメガネさんのエチュードを……と振られる。しかし、ここでまさかのメガネさんからの逆襲で湯澤氏とひろゆき氏のエチュードに。頑なに演技を拒否するひろゆき氏は、本当に恥ずかしそう。メガネさんに投げた「後で覚えていろ」という発言を我々も彼もきっと忘れないだろう。
・そもそもミュージカルとはなんだろう
一番最初に語られ、そして番組の最後にて解説されたミュージカルそのものへの質問。「何故ミュージカルは芝居中に歌ったり踊ったりするのだろうか?」。これには湯澤氏からアメリカでの人気の理由(言語を必要としない、歌や踊りのようなトータルのエンターテイメント性)と、喜怒哀楽を表現する一つの手段という回答がされた。
こうして放送は終了。参加者の口から出た「大変だけど、楽しかった」という感想は、シンプルではあるが、見学していた我々も放送を見ていた皆さんにも良く伝わる言葉だと思う。ミュージカル(または舞台全般)はお客さんの目の前で繰り広げられる分、緊張するかもしれない。ただし、自分自身を伝え、またお客さんの反応を肌で感じられるエンターテイメントでもある。そこで得られる物は他の何にも勝る満足感があるだろう。今回の公開ワークショップでも、その片鱗が伝わったのではないかと思う。
最後に短いながら講師の湯澤氏にお話を伺うことが出来たので紹介する。
Q.素人ばかりのワークショップとなるが、今回を踏まえてどう思うか?
A.全く問題はありません。むしろプロだからと、うかうかしていられないとも思いました。また社内の人間が集まっており、最初から一体感があるように見えたかもしれませんが、ワークショップを半日でも行えば、よそよそしさは無くなります。
Q.どのような人にチャレンジして欲しいか
A.イケメンはいりません。それよりも面白いことを伝えたいという気持ち・自信を持って望んで欲しい。
なお前述のトラブルがあったため、この放送は『ニコニコ動画』会員であれば期間限定で閲覧可能です。興味のある方は是非ご覧ください。
http://live.nicovideo.jp/watch/lv11590742
【ワークショップ詳細】
日程:3月18日(木)~3月22日(月・祝)
時間:午後クラス 12:00~16:00 夜クラス 17:00~21:00
場所:ドワンゴクリエイティブスクール 4Fスタジオ(JR水道橋駅)
金額:1クラス5日間1万5千円。(両クラス参加の場合、3万円)
人数:20名を予定
対象:16歳以上の男女。プロアマ問わず。
URL:http://www.nicovideo.jp/static/nicomu/
※申し込みは上記URLにあるメールにてお申し込み下さい。
■最近の注目記事
人気”生主”百花繚乱さんに聞いた「ニコ生」の始め方(前編)
チェーンソーでゲームやアニメのキャラクターを木彫り! 海外も驚きを隠せず「日本じゃ仕方ない」
仮面ライダーのクリーチャー達を産み出した「世界の韮沢」のライブドローイングイベントが開催される
「mixiアプリも検討中」iPhoneで生配信ができる『TwitCasting』開発者に話を聞いてきた!
付せん紙でハイセンスなストップモーションを作った動画! 使用枚数6000枚
インターネットの賑わっているところに大概参加をしながら約20年。 ここ最近はニコニコなどの動画サイトを根城にしつつ、何だかよく分からない生活を送る。 生放送においては過去に、日本全国を生放送をしつつ巡ったり、ヨハネスブルグ、ジンバブエ、カザフスタンなど「そもそも回線は大丈夫なの?」といった場所から生放送を行ったことも。 しかし、一番好きな場所は『自分の部屋』とのたまう、自称「世界で一番忙しいニート」・「世界で一番仕事をしない自宅警備員」。
ウェブサイト: http://com.nicovideo.jp/community/co7201
TwitterID: higeoyaji
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。