カズオ・イシグロ以外にも名作が!2017年の海外小説ベスト12
年末年始に読み逃したくないオススメ本まさかのカズオ・イシグロが受賞!
今年もやってまいりました年末ジャンボベスト。国内編、海外編とも12作品(1ダズン)ご紹介する年末にふさわしいビッグな企画です。
さて、2017年の海外文学といえば、もうあれですね、カズオ・イシグロのノーベル文学賞受賞。驚きました、ほんとーに! いつかは受賞する作家とは思っていましたが、今年とはだれも思わなかった。
長崎生まれのイギリス育ち、日系作家の受賞ということで、かなり話題になり、本も売れまくっているようす。イシグロ作品を一手に扱っている早川書房は合計105万部の増刷をかけたそうです。久しぶりに聞きましたよ、海外文学でミリオンの数字を!
この余勢を駆って来年も、翻訳文学からばんばんヒットが出てほしいものです。
2017年は、古典新訳やリバイバル、名作の文庫化なども目立った年でした。そのなかでも、国際的な潮流として見逃せないのが、管理社会を風刺する「ディストピア小説ブーム」です。とくに米国でトランプが大統領に就任し、「フェイクニュース」などと言い出した頃から、売れ行きが爆発的に増加。
たとえば、Huluでのドラマ化も相まって世界的リバイバルヒットを飛ばしているマーガレット・アトウッドの『侍女の物語』(ドラマは日本でも2018年に配信開始)、オルダス・ハクスリー『すばらしい新世界』、ジョージ・オーウェル『動物農場』と『一九八四年』などなど。日本でも新訳が出て、人気です。
古典の新訳では、ナボコフの再評価にも要注目です。『アーダ』(若島正さんによる新訳と解説が圧巻)や、「ナボコフ・コレクション」の刊行もスタート。また、韓国のネオ古典といっていいチョ・セヒの衝撃作『こびとが打ち上げた小さなボール』も初邦訳が話題になりました。
文庫化、復刊では、世界的超ベストセラー作家ドナ・タートのデビューミステリ『黙約』、カズオ・イシグロの最新作『忘れられた巨人』なども、押さえておきたい傑作です。
では、主に新作12作をご紹介します。