知らなければよかった「緩衝国家」日本の悲劇。主権がないなんて…

日米地位協定の異常性を明かそう

アメリカの仮想敵国の真正面に位置する日本。加えて、アメリカ本土から最も離れたところで、その仮想敵国の進出を抑える防波堤となる「緩衝国家」日本。

この日本を支配するにおいて、国内で「最も差別された地域」沖縄に、あえて駐留を集中させ、駐留が起因となる反米感情が、常にその地域に限定された「民族自決運動」になるように、その緩衝国家本土の「反米国民運動」に発展させない。

これが誰かのグランドデザインだったら、あっぱれとしか言いようがない。

その根幹をなしているのが日米地位協定である。

沖縄、基地反対運動〔PHOTO〕gettyimages

戦時と準戦時と平和時

「属地主義」。例えばそれが日本なら、国内で在留外国人が起こす全ての事件に日本の法令が適応される。これは国際関係の基本中の基本の原理だ。

そこに「例外」を設けるのが、大使館員等のための外交特権、そして、何らかの理由で駐留する外国軍のための「地位協定」である。

アメリカは世界で最も多くの地位協定を持つ国である。国防総省と国務省で、一時期、数字が食い違うほど多い。115以上あると言われる。そのうちの一つが日米地位協定だ。

アメリカが持つ地位協定と言っても色々ある。

アメリカが敵国の政権を倒し占領政策を開始する。アメリカ軍が軍政を敷いている状況である。ここではまだ地位協定を締結する相手がいない。だから、駐留軍による軍政の”やりたい放題”である。基本、裁判権は駐留軍の軍事法廷だけ。これを「戦時」としよう。

だが、少し時間が経つと、軍政を継続しながら”傀儡政権”の建設が始まる。当たり前だ。そのまま駐留し続けたら、それは併合。つまり国際法上許されない「侵略行為」になってしまう。

もちろん、まだその相手国の「主権」は半人前の状態である。しかし、どんなヨチヨチ歩きの新しい国家でも、自動的に、ナショナリズムは芽生えるのだ。外国軍が駐留することへの不満。特に、駐留軍による事故/事件の発生によって、それが加速される。この状況を「準戦時」としよう。

傀儡政権の建設が進むと「国内法」の整備も進むから、そういう事故の発生時は、自ずと駐留外国軍の法と現地法の「競合」が起こる。それを扱う措置と手順を地位協定もしくは軍事協定で定める必要が出てくる。

この時期は、依然として国内の治安維持を駐留外国軍が主力戦力として担い、同時に、半人前の主権下でも自前の国軍や警察ができてくる時である。

 

「戦時」としては、例えば、2001年の9.11同時多発テロ後、アメリカがアフガニスタンのタリバン政権を倒した直後。そして、2003年のイラク、サダムフセイン政権を倒した直後から始まった占領統治。未だ占領を受け入れない武装勢力との戦闘を引き続き侵攻軍が行なっているような状況。

時間が経つにつれ、新しい国軍と警察の創設が始まるが、それに主導権を引き渡しても、その側面支援のためにアメリカ軍は駐留を続ける。今の状態のアフガニスタンとイラク(2回目の更新で決裂)が「準戦時」の受入国にあたる。朝鮮半島は「休戦」状態であるから、韓国も「準戦時」の受入国になるのかもしれない。

これらに対して「平和時」がある。米軍の駐留を受け入れる国は直接の「戦場」ではない。ここがポイントである。

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