北朝鮮問題、金融市場の最新判断は「中国が抑えるから大丈夫…」
投資家のリスク回避が一服した理由北朝鮮問題の緊迫化を受けて、世界の金融市場が大きく動いている。
米国は北朝鮮に核開発をやめるよう強く求め、軍事攻撃の可能性すら示唆している。一方の北朝鮮は核を使った先制攻撃も辞さない姿勢を誇示している。
まさに、世界経済は朝鮮半島で有事の事態が発生するのではないかという“未知のリスク”に晒されている。
そうした中、一部では「北朝鮮問題が鎮静に向かうのではないか」、との憶測も出始めたようだ。金融市場では、リスクを回避しようとする動きが一服しつつあるとの見方もある。
先行きは不透明であり楽観できる状況ではないが、中国が北朝鮮の暴走を抑えにかかるとの見方が、投資家のリスク回避姿勢を後退させていると考えられる。
北朝鮮問題と円高の関係
北朝鮮を巡る緊張が高まる中、世界の金融市場では株安、金利の低下、金の価格上昇といった“リスクオフ”が進んできた。
先進国の通貨では、これまで多くの投資家が買ってきた米国のドルが売られた。新興国通貨の中では、朝鮮半島での有事勃発への懸念などから韓国ウォンの下落が顕著だ。
この中で、「なぜ円が買われるか」との疑問を耳にすることが多い。北朝鮮問題の深刻化は、わが国の安全保障上のリスクを増大させる。円が売られてもおかしくはない。
それでも円が買われているのは、足許の大手投資家の資産配分の偏りに影響された部分が多いと考えられる。
短期的に、為替相場は二国間の金利の差に影響される。そして、大手投資家は円などの低金利の通貨で資金を調達し(借り)、金利の高い通貨に投資する。
昨年11月の米大統領選挙以降、多くの投資家は相対的に金利上昇期待の高いドルを買い、低金利が見込まれる円を売ってきた。この段階で投資家はドル/円の為替リスクを負ってきた。
今、大手投資家は買い進めてきたドルを売り、円を買い戻している。
この取引により、投資家はエクスポージャー(為替相場など金融市場での価格変動リスクを負っている資産の割合)を削減し、資産の価値を安定させようとしている。これがリスク回避の実態だ。
足許、大手投資家は依然として円売りのポジション(持ち高)を維持している。状況次第ではあるが、基調として、大手投資家は円の買い戻しを優先しやすいことは認識しておくべきだ。
今後、北朝鮮問題への不安が高まった場合には、円はドルなどに対して買われる可能性がある。