森友問題は結局、財務省の大チョンボ!? 3枚のメモから見えた真相

マスコミも野党もトンチンカン

「関与」の意味を履き違えている

国会では2017年度予算が成立した。しかし、野党は森友学園問題について今後も追及を続ける方針のようだ。さらには、安倍首相の友人が理事長を務める「加計学園」にも追及の矛先を向けている。

こうした野党の戦略は奏功するのか、残りの国会でほかに審議すべき重要な問題はないのか。

森友学園事件の本質はなにかといえば、国有地売却において、価格等で籠池氏がなにか便宜を図ってもらったのか、もし便宜があったのなら、政治家による働きかけがあったかである。

籠池氏は「財務省による便宜があった。誰かの政治的な関与があったのではないか」と国会で証言した。また、昭恵夫人から100万円の寄付を受けたとも証言した。

これに対して、財務省は国有地売却については法令に基づき適切に行ったという。安倍首相は、国有地売却にかかる働きかけは、本人、夫人、事務所も一切行っておらず、夫人の寄付も行っていないという。もし、国有地売却で関与をしていたら、安倍首相は議員辞職もするといっている。

野党は、安倍首相のこの発言に反応して、安倍首相が「関与」していたら議員辞職に追い込めるとおもい、政治攻勢をかけている。

しかし、「国有地売却での働きかけ」という前提を無視して、広い意味で「関与」を捉えている。その一例として、夫人付き職員のファックスを「関与」の実例として、国会で追及している。

このファックスについては、先週の本コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51312)で述べたように、特別ではなく普通の公務員回答であり、行政の意思決定には無関係であるので、問題はどこにも見えない。

 

先週このファックスについて、テレビ朝日『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)に出演していた官邸勤めの経験のない元公務員らから、「夫人付き官僚はノンキャリアだが、財務省室長はキャリアなので話ができるはずない。他省庁の話まで夫人付き官僚が答えているのは不自然」との説明があった。

たまたま番組をみていた筆者は、おやっと思うことばかりだった。

そこで、すぐ検証できるものとして、ファックスに名前のあった財務省室長の出身を、番組後に担当者に指摘した。件の室長は地方財務局の「一種採用」であり、本省では「本省一種(いわゆるキャリア)」扱いではない。この点は、後日の同番組内で訂正された。

また、ある省庁の職員が他省庁のことまで答えているのは、確かに普通はあり得ないことであるが、官邸に関して言えば各省庁にまたがった話ばかりなので、それほど不思議ではない。

テレビ局も、コメントを元官僚に求めるのであれば、それにふさわしい経歴の者を選んだほうがいい。

いずれにしても、このファックスは陳情に対して、行政の意思決定に介入するものではなく、制度に当てはめて回答できるものを機械的に回答しているにすぎない。この程度であれば、民主党政権の時にでも、似たような回答書が出てきても不思議ではない。

野党の論法は、安倍首相の発言の揚げ足取りに終始している。ファックスの件でも、内容はまったく意思決定に影響がないことを書いているのに、関係者が籠池氏に連絡したことを強調して首相の「関与」と言い張り、政局にしている。それをマスコミははやし立ている感じだ。

もっとも、先週の本コラムで書いたように、籠池証言に対する偽証、補助金不正受給などの刑事告発の動きも進んでいる。事実解明には、司法の場のほうが国会より望ましいだろう。

ここで、今一度、森友学園問題を振り返ってみて、筆者の推測する真相を述べたい。

関連記事