
小さな子どもを持つ親や、これから生まれてくる子どもの親、その家族すべてが本当に知りたいこと。それを、なぜ国は真剣に示そうとしないのか。何を隠そうとしているのか。
5人中4人から検出
政府は幼い命を守ることを、本気で考えていたのだろうか。
4月30日、厚生労働省は「緊急に実施した」という母乳の放射性物質濃度の調査結果を発表した。福島、関東地方の女性23人のうち、福島、茨城、千葉の7人の母乳から1㎏当たり2・2~8・0ベクレルの放射性ヨウ素131が検出された。そのうち、原発事故直後30km圏内に住んでいたいわき市の一人からは、2・4ベクレルの放射性セシウム137も出た。調査の実施期間は、原発事故から約6週間が経過した4月24~28日である。
その数日前の4月20日、福島県庁で会見を行った市民団体「母乳調査・母子支援ネットワーク」(以下、母乳調査ネット)の調査報告で、千葉、茨城の母親の母乳に放射能汚染があることが初めて明らかになっていた。メディアでも大きく報じられ、多くの国民が衝撃を受けたはずだ。厚労省の調査は、この民間調査の発表を受けて慌てて行ったものと見てまず間違いない。
「母乳調査ネット」代表の村上喜久子氏が話す。
「あの会見以降、全国から問い合わせの電話が殺到しました。お母さんたちは誰も政府のことなんて信じていませんから。
私たちが最初に検査を行ったのは3月24~30日ですが、その時点でも放射性ヨウ素の半減期のギリギリだから、どれだけ数値が出るかなと思っていたんです。それでも一番高い人で、36・3ベクレルのヨウ素131が検出されました(4月上旬には不検出に)。