2016.04.11

あまりに稚拙な民進党の「反TPP論」を喝破する!

賛成も反対もできない野党に未来はナシ
【PHOTO】gettyimages

貴重な審議時間を野党が無駄にしている

国会では2016年度予算が成立し、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)関連法案の審議に入っている。ところが、貴重な審議時間を野党が無駄にするという事態が発生している。

野党はTPPの交渉過程の文書が黒塗りされていることや、西川公也元前農水相の本の中に、その内幕が書かれている可能性があることなどを問題視しているが、まるで実質的な審議に入ると困ることでもあるかのような抵抗ぶりだ。

こうした話の時には、まず基本から復習しよう。

まず、TPPのような条約は誰が責任を持つか、という点である。憲法73条では、内閣の事務を定めており、その中に「条約を締結すること」がある。続けて「但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする」とされている。

つまり憲法では、条約の締結権は内閣(つまり安倍政権)にあるが、一応国会の承認を要するとされているわけだ。

国会は何を承認するかといえば、条約そのものではなく、「内閣が条約を締結すること」を承認するのだ。その結果、もし条約の内容が不満であっても、それを国会が修正することはできない。もし国会が一部修正しなければ承認できないと考えるのであれば、「不承認議決」となる。

あくまでも条約の責任者は内閣であり、国会はその交渉結果を承認するか、不承認するかという判断を求められているというのが、大原則である。こうした点から、政府が外国と条約を締結するときには、いちいち国会の了解の下で政府が交渉するのではなく、国会は交渉結果を見てからその是非を判断することになる。

(なお、TPPについては重要な条約なので、交渉段階においても、国会としての考えを政府側に伝えるような仕組みが大切だ、という議論がなされていた。ただし、そこでもあくまで交渉当事者は政府であることに変わりない)

次に、TPPの交渉経緯を振り返っておこう。TPPは2010年3月から交渉が開始されている。当時は民主党政権であったが、菅直人首相はTPP交渉参加の意向を示していた。野田佳彦首相も前向きだった。

2012年12月の政権交代・総選挙で、民主党のマニフェストには「アジア太平洋自由貿易圏の実現を目指し、その道筋となっている環太平洋パートナーシップ、日中韓FTA、東アジア地域包括的経済連携を同時並行的にすすめ、政府が判断する」と書かれている(https://www.dpj.or.jp/global/downloads/manifesto2012.pdf)。

その総選挙で勝って政権に就いた自民党(安倍政権)は、2013年3月にTPP交渉参加を正式表明し、7月から交渉に参加した。

民主党もマニフェストに「政府が判断する」と書いたくらいであるから、交渉当事者として交渉過程には相手国の事情もあることはわかっていたはずだ。

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