
古くから政界を知る国会議員OBが聞いた、今年2月某日の出来事から始めたい。この日、都内某所で政界の大物二人が会談を持ったことを知る者は少ない。
「いい加減、連合や自治労みたいな組合依存の政治はやめとけよ。お前さんは、保守の政治家だろう。確かに与党になって、本来意見を異にする組合をも取り込んだ功績は認めるよ。これは竹下(登・元首相)さんも金丸(信・元副総理)さんもできなかったことだ。だがな、いつまでも組合にしがみついているな」
こう語りかけた男は、忙しげにまばたきをしたことだろう。石原慎太郎都知事(77)である。慎太郎氏の熱っぽい語りが相手の男の心を打ったか否かは、その場では分からなかった。民主党の小沢一郎幹事長(67)は、沈黙するばかりだったからだ。察するに慎太郎氏は、小沢氏に民主党からの離脱を勧めているかに見える。
この会談の意味はひとまず置くが、この会談こそが、新たなる政界再編の「序章」となったことは確かな事実だ―。
4月3日、与謝野馨元財務相(71)は、'76(昭和51)年の初当選以来、籍を置いた自民党に離党届を提出した。
「自民党の分裂ではなく、与謝野馨が去ったということだと考えてほしい」