どんどん家計を圧迫!
なぜケータイ料金は安くならないのか?
デフレの時代に通信料だけが高止まり
首相の一言で株価が急落!
安全保障法案の審議が大詰めを迎えていた先週月曜日(9月14日)午後、日経平均株価が終値で約1週間ぶりの1万8000円割れとなった。
この日、景気指標の悪化と上海株の下落で冷え込んでいた投資家心理を一段と悪化させたのが、前週末(9月11日)の経済財政諮問会議で飛び出した安倍晋三首相の携帯電話料金の引き下げ指示だ。
重くなる一方の家計の通信費負担に対する配慮をみせることで、陰る支持率の挽回を狙ったのだろうが、逆効果。1995年に携帯電話料金の認可制を撤廃したために、政府は具体策を持ち合わせていない。
にもかかわらず安直な支持を出した結果、業績の悪化懸念をはやす投資家に通信事業者株を売り叩かれ、アベノミクスの象徴だった株高を冷やす結果を招いたのだ。
携帯電話料金の高止まりは、長期にわたった稚拙な競争政策の所産である。本気で、速やかに大幅な通信費の引き下げを実現したいのならば、今回のように思い付きを口にするような対応は論外だ。
過去のどの時点で、総務省の「携帯料金政策」は失敗したのか。米連邦通信委員会(FCC)との対比も交えながら検証し、安倍政権が採るべき通信政策の選択肢を探ってみよう。
11日夕方、経済財政諮問会議が首相官邸の4階大会議室で開かれた。その議事要旨によると、民間議員をつとめる伊藤元重東大大学院教授が、今後のアベノミクスの焦点のひとつとして「高過ぎる携帯電話料金の引き下げ」を取り上げた。
「消費支出の中に占める通信費のシェアが非常に高くなっており、これも含めて、いろいろな政策のレベルで消費を抑え込んでいるものをもう一回全部洗い出してみる」べきだと主張した。
これに対して、高市早苗総務大臣がこう反応する。
「確かに家計支出に占める通信費の割合は増加しており、特に近年、スマートフォンの普及によって、携帯電話料金への支出が増えている。総務省では、携帯電話事業者のネットワークを利用して低廉なサービスを提供するMVNOの振興等に取り組んできた。しかし、 依然として家計にとって通信費の負担がかなり大きいと考えられるので、より低廉で利用しやすい通信料金を実現するための方策を検討したい」
菅義偉官房長官も「そこは強く支持したいと思う。特に通信3社の寡占状況が続いているため、ぜひ、もっと競争ができるような環境を作っていただきたい」と賛意を示した。
そして、会議の最後に報道関係者を入室させて、安倍首相が「携帯料金等の家計負担の軽減は大きな課題である。高市総務大臣には、 その方策等についてしっかり検討を進めてもらいたい」と是正を指示してみせたのだ。