
巨大企業を揺るがす一大不祥事。当初はすぐに鎮静化すると思われたが、次々と明らかになる新事実に騒動は拡大するばかりだ。真相を追うと、問題の根は深く、経営の根幹に突き刺さっていた。
「内通」から始まった
時々の経営トップが自らのビジョンを強烈に打ち出し、海外の大型M&Aなども果敢に仕掛ける野武士集団。
巨大企業ながら事業再編や選択と集中を実行するスピード感とダイナミズムは、ライバルの日立製作所とは雲泥の差。
個人や所属部門の業績次第でボーナスが大きく変動する実力主義が浸透し、我こそはという腕自慢が競い合っている。
サムスンなど韓国勢を相手に互角の戦いを挑める数少ない日本のエレクトロニクスメーカー……。
東芝という会社のイメージを業界関係者に挙げてもらうと、こんな答えが返ってくる。ただし、いずれも、「かつては」という留保付きで。
ではいまはどうなのかと聞き返すと、様子が大きく変わる。
顔が浮かばないような経営陣が、失敗をしない無難な経営につとめるつまらない会社。
上司の顔色をうかがう「ヒラメ社員」が増えて、なぜこの人が、という人物が昇進するようになった。