「大きな政府」で一致する
与謝野・平沼新党と民主党
郵政民営化見直しで進む「財政投融資の復古」とも連動
4月3日、与謝野馨元財務相が自民党に離党届を提出した。8日にも平沼赳夫元経済産業相と新党を結成する予定で、平沼、与謝野両氏が共同で代表に就任するという。新党には園田博之・元官房副長官らが加わるようだ。
与謝野氏も与党の大臣のときに離党していれば立派なものだが、野党になってからの離党で覚悟も迫力ない。
しかも、先の総選挙では小選挙区敗退・比例復活組、つまり自民党に助けられた人だから、そのまま新党の代表というのは政治的には筋が通らない。
まず議員辞職すべきだが、それができないからこそ、政局論としては平沼氏との連携なのであろうが、政策的なすりあわせは大丈夫だろうか。
よく言われるのは、与謝野氏は財政再建路線、平沼氏は積極財政であることだ。しかし、経済政策は経済状況に大きく依存するから、当面財政再建を棚上げにすれば、両者のすりあわせは比較的容易であろう。
また、与謝野氏は郵政民営化に賛成だったが、平沼氏は郵政民営化に反対であることもしばしば指摘される。ただし、与謝野氏は表面的には郵政民営化に賛成であったが、本心はどうであったか。
かつて麻生太郎元首相が実は郵政民営化に反対だったと告白したことがあったが、与謝野氏も同じような立場だろう。実際、郵政民営化とコインの裏表の関係になっている政策金融改革(政府系金融機関を民営化などによってスリム化)では反対の立場だった。
そもそも郵政民営化の主たる目的は国のBS(バランスシート)のスリム化、小さな政府路線である。政策金融改革に続く特別会計改革でも、与謝野氏は反対だった。私は一時期、内閣府で与謝野経済財政相の下にいたので、政策金融改革と特別会計改革に与謝野氏が反対であったことが身にしみてわかっている。
結局、それらの改革を担当していた私は内閣府から去らざるを得なかったのだ。こうした事情だから、郵政民営化路線でも、民営化見直しという点で、与謝野氏と平沼氏は大丈夫だろう。
政局論としては与謝野氏の側近である園田氏がキーマンだ。彼はさきがけ出身であるので、民主党内のグループとは気脈を通じており、政局的には郵政見直しで集約できるだろう。しかも、与謝野氏は民主党小沢一郎幹事長とは切っても切れない政局の仲だ。与謝野・園田の両氏は、政局的には民主党とのパイプのほうが自民党より強固にみえる。