
今週、幕張メッセで開催中のCEATECでは、日産の自動運転車が一際大きな注目を浴びている。そのデモを見た多くの人たちは「なんでクルマが自力で運転できるのか?」と改めて不思議に思ったのではなかろうか。そこで今回は、そうした疑問に答えるべく、自動運転車の原理を分かり易く解説してみたい。
ハードとソフトに分けて考える
自動運転車の動作メカニズムは、大きくハード(各種センサー)とソフト(AI:人工知能)の2つに分けられる。まず各種センサーとしては、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)、ミリ波レーダー、ビデオ・カメラ、レーザー・レーダー(Lidarとも呼ばれる)などが多数、自動車のボディ各部に装備されている。
このうちGPSの位置情報が特に重要かとも思われるが、実はそうではない。GPSは遥か宇宙空間を周回する人工衛星からの信号を使って位置決めをするため、どうしても誤差が大きくなる。特に自動運転車の場合、自らも相当のスピードで移動するため誤差はより大きくなり、それは数メートルから十数メートルに及ぶ場合もある。こんな大雑把な位置情報に頼っていたのでは、クルマは危なくて移動できない。
そこで自動運転車では、GPSによる位置情報は二次的情報として利用するに留める。むしろ本質的に重要なのは、車体の天井に取り付けられたレーザー・レーダー、車体の前・後部に装備されたミリ波レーダー、さらにはバックミラー付近にあるビデオ・カメラや車輪のホイールに取り付けられた振動センサー等だ(ただし日産の自動運転車では、レーザー・レーダーは車体の天井ではなく、バンパー付近に埋め込まれている)。これらは言わば、自動運転車が周囲の状況を正確に把握するための「目」や「耳」に当たるものだ。