2012.11.29

自律的ロボット兵器の脅威と、その開発禁止を訴える人権団体

米軍の無人偵察機「Predator B」〔PHOTO〕gettyimages

 世界的な人権団体のHuman Rights Watch(HRW)が先頃、奇妙なレポートを発行した。"Losing Humanity: The Case Against Killer Robots(人間性の喪失:殺人ロボットを許すな)"と題されたそのレポートは、文字通り「人を殺すロボット」の開発禁止を訴えている。

 同レポートによれば、米英やイスラエル、韓国など一部先進国では、政府主導で高度の自律性を備えた兵器の開発に注力し始めており、この傾向が野放しにされると、いずれ「自らの判断で(つまり人の判断に頼らずに)人を殺す軍用ロボット」が開発される可能性が十分あるという。

ロボット兵器の自律性を3段階に分類

 現時点でも、高度の自律性までは備えていないが、遠隔地から操作できるロボット兵器であれば既に使われている。最もよく知られているのは、米ペンタゴンの無人軍用機「プレデター(Predator)」だろう。プレデターは元々、空からの偵察用に開発された無人飛行機で、遠隔地から米軍の兵士(つまり人)が無線操縦している。

 当初、プレデターは機体に武器を備えていなかったが、一説によると、かつてオサマ・ビン・ラディンを上空から確認しながら、みすみす取り逃がしてしまった。これを契機に、ビン・ラディンのようなターゲットを見つけたら、その場で攻撃できるように、ミサイルなどの武器を装備するようになったと言われる。ただし、攻撃をするための決断と操作は、あくまで遠隔地からプレデターを操縦している人間の手に委ねられる。

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