鳩山政権「マニュフェスト」は間違いだったのか

細野豪志・民主党副幹事長インタビュー (前編)

田原 毎日忙しいでしょう?

細野 そうですね。やっぱり、課題が多いですからね。

田原 どういうことをしてるの?

細野 一番中心なのは、団体対応です。

田原 全国からいろんな団体がやってきて忙しいわけですか?

細野 そうですね。私の人生で、分刻みのスケジュールというのは経験がないんですけど、今はそれに近いですね。

田原 ところで、最初から嫌な質問ですけど、長崎県知事選挙と東京都の町田市長選挙がありました。両方とも民主党候補が落選、しかも大差でしたね。長崎は10万票近くの差があり、町田はダブルスコアです。細野さん、これはどうとらえていますか?

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細野 地方選挙の場合は、地域事情が半分、国政の事情が半分というのがだいたいの相場なんですね。今回の長崎の場合、私も2回現地入りしていろんな地元の方と話しましたが、ちょうど半々くらいの要因だったと思います。当選した中村(法道)さんという方は、長崎生まれ、長崎大学出身で、長年長崎県庁に務めておられた方です。
  長崎というのは地域に対する思いが強い地域ですから、中村さんは非常に強かったですね。かたや私ども民主党候補の橋本(剛)さんは、長崎出身ではありますが、農林水産省に務めておられたので、長崎をずっと離れていた。そうした点で、最終的に県民のみなさんとの距離を縮められなかったのかと思っています。

田原 ただね、去年8月の衆議院選挙で、民主党は長崎で全勝ですよ。しかも久間(章生)さんを、若い女性候補(福田衣里子議員)が落としちゃった。長崎で民主は圧勝だったんだけど、今度はこういう結果になった。どういうふうにとらえてますか?

細野 そこはですね、去年は大きな政権交代に対する国民の期待がありましたよね。それを受けて民主党はたしかに票は取ったんだけれども、きちっとつなぎとめるだけの後援会組織を運営する、あるいは団体とのおつきあいであったり、そういう点がまだできていなかったんだと思います。これは長崎だけの問題ではなく、全国的にそうなんですけれど。

政権外の与党議員がカギを握る

田原 だけど、この間の選挙で勝ったのは後援会組織のおかげじゃないですよね。圧倒的に浮動票が入ったんだと思うけれど。なぜ浮動票が逃げたの?

細野 ええ、ですから、そこは完全に「浮動」票ですよね。なぜ逃げたかというと、鳩山政権の勢いが一時期ほどではないということ、さらにやはり政治とカネの問題があるのだと思います。政権を取ったことで、見えている票はけっこう集まりだしたんだけれども、なかなか手にとって見ることができない部分を、ご覧の通り、非常に大きく失ってしまっている。そういう結果かと思います。

田原 実際細野さんが長崎に行って、やっぱり「危ないなあ」と思いましたか?

細野 そうですね。橋本候補は追い上げてるとは思ったんですけれど、まだまだ追いついていない、厳しいなという感覚で見ていました。首長選挙ですから、与党である民主党に着こうかという団体や人もたしかにいたんです。
  ただ、知事というのは本当に大きな権力を持ちますから、「民主党候補でほんとうに勝てるのか」と疑念を持った団体がいまして、そこが最後に向こうに行ってしまった感覚というのはありました。

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