グーグルのトップ交代は何を意味するのか(1)
おとりを仕掛けられたマイクロソフト
過去、ウェブとサーチ・エンジンは、インターネットの技術革新を牽引してきた。しかし、ヤフーやAOLといった広告系ポータル・サイトが凋落し、インクトミ、インフォシークなど数々の検索ベンチャーも消え去った。競争に勝ち抜き、ネット・ビジネスの頂点に立つグーグルだが、さきごろエリック・シュミット氏がCEO辞任を表明し、今春から共同創業者ラリー・ページ氏がトップに立つ。
グーグルの急成長を支えてきたシュミットCEOの降板は、驚きを持って迎えられ「グーグルに何かが起ころうとしている」との憶測が飛び交っている。パソコンOSの頂点にいたマイクロソフトが坂を下ったごとく、サーチビジネスの巨人にも陰りが訪れているのか。そうした中、グーグルは同社の検索結果を、マイクロソフトの『Bing』が模倣している---と発表し、大きな話題となった。
マイクロソフトを容赦なく叩くグーグル
2月上旬に起こったマイクロソフトの検索結果「模倣騒ぎ」は、米国のインターネット・コミュニティーで注目されただけでなく、一般テレビやラジオ・ニュースでも取り上げられた。まず、その経緯を簡単に説明しよう。
インターネットでなにかを調べるとき、欠かせないのが検索サービスだ。グーグルはリンクされる数が多いほど、そのサイトの重要度が高いという「リンク比重法」を主体にした検索技術を発展させ、高い検索結果を実現した。そして、検索結果とオンライン広告を結びつける検索連動広告でトップに立ち、急成長を続けてきた。
一方、マイクロソフトは、以前からLive Search、Windows Live Search、MSN Searchなどの検索サービスを提供していたが、それらの技術を統合し2009年6月にBing(ビーイング)の本サービスを開始した。Bingは、グーグルが独占する検索連動広告市場を切り崩す重要な使命を担っている。
2011年2月1日(米国時間)、そのBingがグーグルを模倣しているとニュースが駆け巡った。発端は、サーチ・エンジン・ランドというニュース・ブログがグーグルの"おとり調査"を報じたことから始まった。同記事によれば、グーグルは2010年5月頃から検索結果が模倣されているとの疑問を持ち、その事実を確かめるため2010年12月に"おとり"を仕掛けた。