財政赤字が招く危機
日本は投機の標的にされるのか?
財政再建プランの構築が急務になってきた。
米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)による国債の格下げに続いて、国際通貨基金(IMF)が消費増税と歳出削減を改善策の柱に据えるよう声高に要求し始めたことが、その背景だ。
期せずして、長期金利は先週、10ヵ月ぶりの高水準を記録した。タイ、韓国、ギリシアなど過去に経済危機に陥った国と違い、日本には豊富な個人金融資産があり、国債のほとんどを国内で消化できるという財政赤字放任論は、次第に過去のものになりつつあるのではないだろうか。
早く手を打たないと、日本売りのシナリオでひと儲けを企んでいる投機マネーに付け入る隙を与えかねない。
財政危機に揺れるスペインよりひとつ下のAAマイナスに国債を格下げされて、多くの日本人が不快感を持った1月27日のこと。
日本ではテレビはもちろん、新聞もほとんど伝えなかったが、ワシントンのIMF本部では、カルロ・コッタレリ財政局長が緊急記者会見を開催し、春と夏の毎年2回のタイミングで定期的に公表してきた「財政監視報告」に関する異例の「臨時見直し」を発表した。
同局長がその席で強調したのは、日米2ヵ国が抱える財政リスクの大きさだ。
インターネット上で公開された議事録によると、コッタレリ局長は、日本の財政再建不要論を承知のうえで「公的債務の90~95%相当を国内で調達できるというのはよいニュースに違いない」と前置きしながらも「それが長期的に赤字を放置してよい理由にはならない」とばっさり切り捨てた。そのうえで「増税と歳出削減の2つは避けて通れない。消費税率はかなり低いので、中期の債務削減のために引き上げる余地がある」と断じた。