多くの人が「当然、ずっとあるもの」と思っている…じつは、この地球の海は、「いずれ、なくなる運命」にあった
地球という惑星の進化は、水のはたらきを抜きにしては語ることができません。
じつは、水は地球の表層だけではなく、プレートテクトニクスと共に、地球の内部に取り込まれ、地質学的なスケールで大循環しています。しかも、今後6億年で、海の水はすべて地球内部に吸収され、海は消失してしまうという、驚きの最新研究もあります。
「水」を地球規模のスケールで解説した『水の惑星「地球」 46億年の大循環から地球をみる』から、興味深いトピックをご紹介していくシリーズ。地球の歴史を振り返りながら、「水」が地球の環境のなかで、どのような働きをしているのかを見ていきます。
前回、地球全体が凍ってしまうスノボールアースをご紹介しましたが、今回は、地球の「海が消えてしまう」その衝撃の事実が、どうして起こるのか。その解説をお送りします。
*本記事は、『水の惑星「地球」 46億年の大循環から地球をみる』(ブルーバックス)を再構成・再編集したものです。
海の消えた火星…地球の未来はどうなるのか
私たち生命にとって欠かすことのできない液体の水、そして海はこれからもずっと存在するのでしょうか。
となりの惑星である火星に目をやると、太古の時代にあった海はすべて消えてしまいました。地球でも、いずれ海がなくなる時代が来るのでしょうか?
地球の誕生からずっとあった海
海は地球の形成直後に誕生し、現在に至るまで持続的に存在しています。地球の歴史のなかでは、地球全体が凍りつくスノーボールアースの時代もありましたが、そんな時も海の底まですべて凍りつくことはありませんでした。海がずっと存在してきたおかげで、地球では生命の進化が継続し、今日の多様な生命圏がかたちづくられました。
そのいっぽうで、火星など太陽系の他の惑星にも、その形成直後には海が存在したことがわかっています。しかし、そのような海は現在では地球以外には見当たりません。その水はどこに行ってしまったのでしょうか。その一つの可能性は、惑星の内部に水が吸収されてしまったという考えです。