2012年の年間ベストアルバム/ミックステープを25枚選んでみました。ジャケットをクリックすると購入先若しくはダウンロードリンクに飛びます。
1. Jesse Boykins III & MeLo-X/Zulu Guru
NYの気鋭R&Bシンガーとラッパー/トラックメイカーのコラボ作。 今年のトレンドであったアンビエントR&Bと近い雰囲気を持ちつつも圧倒的にソウルフルな傑作。 アフリカ風味やアコースティックなサウンドも取り入れているが基本スペイシーでエレクトリック。 またサウンドの面白さだけではなくJesse Boykins IIIの歌とMeLo-Xのラップも魅力的。文句無しの1位。 2. Traxman/Da Mind Of Traxman
シカゴのトラックメイカー/DJ。 今年大きく盛り上がったジャンル、ジュークのマスターピース的1枚。 BPMの早さとドラムの質感は間違いなくジュークのものだが、ソウルフルなサンプリングを多用したその音作りはヒップホップファンにも響くはず。 3. Ab-Soul/Control System
Kendrick Lamar、ScHoolboy Q、Jay Rockと共にBlack Hippyというグループを組んでいるLAのラッパーのソロ作。 Jhene AikoやSonnymoonのAnna Wiseなど客演にシンガーが多めでかつ自身も歌うので全体的にメロウでスムーズな印象。 BJ The Chicago Kidらを迎えてソウルフルに盛り上がる中盤がハイライト。 4. Perfume Genius/Put Your Back N 2 It
シアトルのSSW。 ひたすら良いメロディに包まれた快作。 特に新しいことはしておらずピアノ主体のシンプルな作品だが、この優しくどこか寂しげな雰囲気はJames Blakeにも通じる良さ。 5. ScHoolboy Q/Habits & Contradictions
Ab-Soulと同じBlack Hippyのメンバーだが、こちらはハードで緊張感を持った1枚。 日本盤にはA$AP RockyとのHands On The Wheel が未収録なので注意。 Lex LugerやMike Will Made Itらアトランタ勢がやたらとソウルフルなトラックを提供しているのにも注目。 6. Traxamillion/My Radio
ベイエリアのトラックメイカーのソロ2作目。 07年頃に盛り上がったハイフィをほぼそのまま現代に蘇らせた、12年最高のパーティアルバム。 客演ラッパーは若手中心だがDem HoodstarzのBandaideなどハイフィを共に盛り上げた中堅も。 7. Lee Fields & The Expressions/Faithful Man
現代最高のソウル/ファンクバンドの1つの新作。 傑作だった前作と大きく変わっていないが、女性シンガーのNicole Wrayのコーラスを随所でフィーチャーしたりロックのカヴァを入れたり若干新機軸も。 8. Child Actor/Victory
ボストンの男女デュオ。 良いメロディが並ぶドリーミーなエレポップ作品で、アンビエントR&Bとはまた異なったチルウェーブの進化系。 今年話題となったPurity Ringが好きな人もぜひ。 9. Animal Collective/Centipede Hz
NYの奇天烈ポップバンドの新作。 メンバーのPanda Bearが去年発表したソロ作は内省的だったがその真逆を行くエネルギッシュで混沌としたアルバムに仕上がっている。 所々でそれらしきセンスを感じることができるので去年のソロ作が好きな人も楽しめるはず。 10. The Internet/Purple Naked Ladies
LAのヒップホップ集団、Odd Future Wolf Gang Kill Them AllのメンバーであるSyd Tha KidとMatt Martianによるユニット。 Erykah BaduなどのネオソウルをOF流に作り上げたかのようなエレクトリックながらファンクネスのある作品。 11. Cloud Nothings/Attack on Memory
クリーブランドのバンドの2nd。 1stからの激変が話題になったが、仮にこれがデビュー作でもこのサウンドの強靭さは話題になったはず。 9分という長さを感じさせないWasted Days は圧巻。 12. Frank Ocean/Channel Orange
The Internetと同じOF所属のR&Bシンガー。 アンビエントR&Bの流れを組んだサウンドに美しいメロディをちょっとの毒を含みつつ悶々と歌う、2012年を代表するアルバムの1つ。 各所で高評価を得ていたのも頷けるクオリティ。 13. Spaceghostpurrp/Mysterius Phonk: Chronicles of Spaceghostpurrp
マイアミを拠点とするラッパー/トラックメイカーの初フィジカル作品。 ミックステープで既発の曲の再録やリミックスを収録したベスト盤的な1枚だが恐ろしいほどのクオリティ。 90年代メンフィスのギャングスタラップのような怪しげな雰囲気は多少後退したが、ダークなトゥリルウェーブ的酩酊感が増しておりミックステープとはまた違った味わいがある。 14. Memoryhouse/Slideshow Effect
カナダの男女デュオ。 Best CoastやSeaponyのような女性ヴォーカルのギターポップにWashed Outのレイドバック感とエレクトリックさをまぶした感じ。 Child ActorやThe Internetもだが、今年は男女デュオの活躍が目立ったように思う。 15. Evian Christ/Kings And Them
Balam Acab主催でClams Casinoを擁する注目レーベル、Tri Angle所属のトラックメイカーが発表したミックステープ。 ウィッチハウスを軸にしつつもラッパーの声ネタを多用したヒップホップ色の強い作品。 16. Lotus Plaza/Spooky Action At A Distance
人気シューゲイザーバンド、Deerhunterのギタリストのソロ作。 エレクトリックな要素皆無だがドリーミーな雰囲気で心地良く聴ける。 今年はサウンドの面白さを追求する流れだけではなくこういった素直な作品も多かったように思う。 17. Neako/Ess Ess
Wiz Khalifa率いるTaylor Gangの元メンバーであるラッパー/トラックメイカーのミックステープ。 チルウェーブにも通じる透明感のある作りだが、どこかギャングスタラップを感じさせる1枚。 Killa Kyleonなどが客演で参加。 18. SWEET SOUL SELECT ATRTISTS/WORLD SOUL COLLECTIVE VOL. 1
日本のソウル専門レーベル、SWEET SOUL RECORDSによる世界中のソウルを集めたコンピレーション。 レーベル名通りどこを切ってもスウィートかつソウルフルなソウルへの愛情に溢れたコンピ。 故Guru (Gang Starr)が参加した曲もあり。 19. Main Attrakionz/Bossalinis & Fooliyones
クラウドラップを代表する、ベイエリアのラップデュオによる初フィジカル作品。 だがクラウドラップ色はほぼ無く、ベイエリアの香りを感じるスムースなトラックが中心。 Livewire周辺で知られるThe MekanixやDaVinciなど、地元勢も参加。 20. Joey BADA$$/1999
今年躍進したNYのクルー、Pro. Eraの中心人物。 とにかくブーンバップへの愛情と憧れが伝わってくる、90年代NYヒップホップファンにも聴かせたい1枚。 先日惜しくも亡くなった同じPro. EraメンバーのCapital STEEZのソロ、クルー名義でのミックステープ も併せてどうぞ。 21. Cloud/Comfort Songs
NYの完全非営利音楽集団、Practice Room Records所属のミュージシャンのソロ作。 フォークを中心とした驚くほど素直でオーガニックな作品で、Perfume Geniusなどが好きな人は楽しめるはず。 22. Chris Turner/LOVElife Is A Challenge
MeLo-X周辺のR&Bシンガー。 あの辺らしいエレクトリックな曲もあるが基本生音やサンプリングで作られた、ソウルファンにはたまらない作り。 SadeやStevie WonderのカヴァやPete Rockプロデュース曲もあり。 23. Action Bronson & Alchemist/Rare Chandeliers
今年話題になったNYの巨漢ラッパーがAlchemistと組んで発表したミックステープ。 Prodigyの名盤「Return Of The Mack」を髣髴とさせるソウルフルなAlchemistのトラックが素晴らしい。 Alchemistは今年OFのDomo Genesisともコラボ作を出したが、Action BronsonのNYらしいラップのほうが相性が良いように思えたのでこちらをセレクト。 24. Dondria/Duets III: The 90’s Edition
So So Def所属の女性シンガーが発表したミックステープ。 90年代R&Bに自分の歌を乗せ勝手にデュエットした作品で、やや反則気味ながらメロウでロマンティックな良い曲が多く詰まっている。 選曲はDonnel JonesやR. Kellyなど。 25. Ski Beatz/24 Hour Karate School Presents Twilight
NYを拠点とするベテラントラックメイカーの最新作。 参加しているラッパーが無名の人が多いためかあまり話題にならなかったが、生音を基調としたトラックのクオリティは相変わらず高く楽しめる。 MursとTabi BonneyによるPlaya GばりのメロウなHip Hop & Love がハイライト。