捕鯨船団の「護衛監視船」が出港

調査捕鯨船団を構成する目視採集船など3隻が下関を出港した。

調査捕鯨船団:3隻が下関漁港を出港 式典などはなし

 今年度の南極海の調査捕鯨船団に加わる目視採集船「第2勇新丸」(747トン)と「勇新丸」(720トン)など3隻が6日午前、海上保安官を同乗させて山口県下関市の母港・下関漁港を出港した。

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関係者に見送られながら出港する目視採集船「勇新丸」
=山口県下関市で2011年12月6日午前10時20分、松田栄二郎撮影

 水産庁は船団について「安全のため、出港時期や行動はお伝えできない」としており、下関漁港では式典などを控え、船員の家族や関係者らに見送られ、静かに船出した。

捕鯨船団の行動をシーシェパードに知られないようにするため、ひっそりとした船出となった。

見出しでは下関から出港した船を3隻としている。しかし記事では「第2勇新丸」と「勇新丸」の2隻しか書かれていない。

YUSHIN MARU No.2(第二勇新丸) 詳細データ

勇 新 丸  Yushin Maru

では3隻目の船とは何なのだろうか。

実はこの3隻目の船こそ捕鯨船団の護衛にあたる「監視船」なのである。

調査捕鯨船団が下関出港、水産庁護衛船も同行

 南極海で調査捕鯨を行う日本船団の3隻が6日、山口県下関市の下関漁港を出港した。日本の調査捕鯨を巡っては、反捕鯨団体「シー・シェパード」の妨害行為が激しくなっており、昨季は予定より約1か月早く打ち切った。今回は水産庁が初めて護衛用の船を同行させる。

 下関から出港したのは、捕鯨船「勇新丸」(720トン)と「第2勇新丸」(747トン)、監視船「第2昭南丸」(712トン)。水産庁は「安全対策上のため」として日程や船団の規模、出港地などについて発表していない。例年通りなら母船などと合流し、約4か月間でミンククジラとナガスクジラ計900頭を捕獲する予定だ。

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調査捕鯨船団が出港、民間の護衛船も初同行

 このため、同庁は今年度の第3次補正予算に安全対策費などとして約23億円を計上。船団側が用意する監視船とは別に、新たに護衛用の民間船をチャーターした。船には、放水砲や探照灯、小型艇などを装備し、外洋航行能力のある同庁所属の漁業取締船と同等の能力を持たせているという。

 同庁は当初、海上保安庁に巡視船の同行を打診したが、見送られたため、民間船での対応となったという。

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船体は白く塗り替えられ、構造物側面には”GOVERNMENT OF JAPAN”の文字、水産庁を示す「水」のファンネルマークも入れられている。

この水マークが完成し「監視船」化改装が終わったのはごく最近のようだ。

合い間に・・・

勤労感謝の日 下関さかな祭り

11月末の段階ではファンネルマークがまだ完成していなかった。


農水省・水産庁が繰り返し強く求めていた海保巡視船ではなく、水産庁取締船でもないわけだが、その能力が不足しているわけではない。水産庁では取締船の不足を補うために民間の船艇航空機を以前よりチャーターしており、特に取締船に関しては水産会社側もそうした傭船業務を当初から想定した専用船を用意している。

東日本大震災・津波によって焼失した取締船はそうしたものだった。

捕鯨船団に参加している目視採集船も同様にそうした業務を想定している。

調査兼取締船''第二勇新丸''

本船は姉妹船である勇新丸と同様,鯨類調査,漁業指導・取締り・監視および海洋調査も遂行する多目的調査兼取締船であり,鯨類の標本採集と目視調査を効果的に遂行する性能・装備を保持するほか,生物調査・海洋調査を可能とする装備を兼備している。

海上保安庁でも一時期(商業捕鯨禁止直後)こうしたキャッチャーボートを傭船し監視取締船として巡視船の不足を補っていた。

水産庁「監視船」という「公船」になった第2昭南丸と、水産庁取締船としての経験を持つ第2/勇新丸が複数で対処することも想定しているのだろう。


また、第2昭南丸についてはアディギルに衝突されたり、その船長に侵入されたりと被害を繰り返し被っている。

シー・シェパード抗議船と調査船が衝突 衝突後も連日の妨害

いわばリベンジの機会が与えられたわけだ。


ただ、写真からは記事にあるように放水砲や探照灯、小型艇が増設されたようには思えない。ファンネル(煙突)直前にある小型艇は遠洋航海で必要な装備とされる高速救命艇であり、もともと搭載されていたものだろう。海上保安官が使うRHIB/GBのような運用は難しい。

もっとも放水砲に関しては増設するまでもない、ということも考えられる。捕鯨船団の自前の監視船であったときから、そのような妨害に対抗する装備を備えていたからだ。

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おそらくLRADも以前より搭載していることだろう。そして、何よりも乗員たちが妨害に対応する状況に慣れているというのが重要だ。

巡視船や取締船の派遣は叶わなかったが、「公船」がシーシェパードの妨害に対応するという意味は大きい。「公船」に対する妨害となれば民間に対するそれとはわけが違う。

国際法の隙間をかいくぐる彼らに対して、ある程度の抑止力となることを期待する。 このエントリーをはてなブックマークに追加

tag : 捕鯨・反捕鯨シー・シェパード捕鯨船調査捕鯨水産庁取締船

2011-12-06 : 捕鯨・環境問題 : コメント : 3 : トラックバック : 0
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No title
赤いハンカチが生きていること自体が茶番で無駄。万死に値するので今すぐ死んでしまえ。
2011-12-10 10:40 : HMS URL : 編集
No title
無人偵察機なる物を使いあっさり調査捕鯨船団を見つけたSSですが、捕鯨船団にも好都合で無駄な燃料を消費せず早期にSS妨害船の追尾に入ったようです。
SSが発見した第2昭南丸の写真
http://sasakima.iza.ne.jp/blog/entry/2550901/
http://au.news.yahoo.com/thewest/a/-/breaking/12459316/japanese-security-boats-shadow-anti-whaling-ship/
第2昭南丸に最低でも4人以上の海保隊員が乗船してるので、今回の警備体制の強化を感じられます。
また、警備服装の海保隊員が表に出てくるのはSSTが乗船した2008年以来ではないでしょうか?

2011-12-27 09:56 : 謎の捕鯨船 URL : 編集
No title
SSの方も順風満帆とはいかんようですね。

24日には無人機を使ってオーストラリア西部沿岸沖にいた「日新丸」の所在を突き止めたといい、同団体は「クジラが殺される前に日本の捕鯨船団を発見した」と成果を強調した。ただしシー・シェパードの船は船団に追い払われ、結局は捕鯨船に逃げられたと話している。http://www.cnn.co.jp/world/30005088.html

米国の反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」は29日、オーストラリア西部フリーマントルの南西沖約2800キロの海上で、日本の調査捕鯨船を追跡中の3隻のSS抗議船のうちの1隻、ブリジット・バルドー号が荒波を受けて船体を損傷したと発表した。
 同号は船体に亀裂が入るなどしたが、10人の乗組員は無事。修理のため別の抗議船スティーブ・アーウィン号に付き添われフリーマントル港に引き返すが、もう1隻の抗議船ボブ・バーカー号は調査捕鯨船追跡を続けるとしている。

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011122900221

あのような船体で南極海に向かうことにムリがあったんでしょう。
SIも一旦戦線離脱したようですし、捕鯨船団にとっては若干の追い風ですね。
2011-12-30 01:55 : あきつしま URL : 編集
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