心のボットネットについて
「心のボットネット」ということを、このところ考える。私が考えた概念だけど、きっと他にも考えている人は、そういう言葉ではないにせよ、いるんじゃないかと思う。これがわかると、たぶん、ネットの世界の見方が変わるんじゃないかと思う。いやそんな大したことじゃない、かもしれないけど。
ちなみに、まんまでグーグルで検索したら「"心のボットネット"との一致はありません。」とか言われた。へえ。
まあ、一度わかってしまえば難しい術語ではないんだけど、じゃあ、説明してよと言われると、できそうにもないので、黙っていた。こっそりいうと、そういう自分が作った自分だけの概念みたいのが私にはいくつかあって、これはたぶん、狂気への道なんだろうなと思う。
「心のボットネット」を説明するためには、前提となる「ボットネット」を説明しないといけない。うへぇ。
いや、そうなんだ、ほんと、ウエーならぬ、ここは敵地だ、うへぇな感じ。
でも、やってみますかね。もしかしたら、それ面白い考えかもしれないと思う人は以下をどうぞ。メンドクセーとか思うかたは、どうでもいいよ(ちなみに、そういう人が心のボットネットになっちゃうと思うんだけど)。
さて、元になる「ボットネット」とは何か? なんだが、たぶん、ウィキペディアとに説明があって、正しいけどよくわからんことが書いてあるんだろうな、と予想して見ると、そのとおりなんで笑った(参照)。
ボットネット(Botnet)とは、サイバー犯罪者がトロイの木馬やその他の悪意あるプログラムを使用して乗っ取った多数のゾンビコンピュータで構成されるネットワークのことである[1]。サイバー犯罪者の支配下に入ったコンピュータは、使用者本人の知らないところで犯罪者の片棒を担ぐ加害者(踏み台など)になりうる危険性がある[2]。ボットネットにおいて、指令者(ボットハーダーまたはボットマスターもしくは単にハーダーという)を特定することはボットネットの性質上、非常に困難である。そのため、近年では組織化された犯罪者集団がボットネットを構築し、それを利用して多額の金銭を得ている[3]。
簡素に重要なことを伝えているという点では、ウィキペディアのこの説明、いいんじゃないかと思うけど、意味わかりますか? まあ、私なりに以下解説するんで、このエントリのケツまで読めたら、もう一度、この説明を読み直すといいと思いますよ。
じゃ、私の説明、開始。
まず、コンピューターウイルスというのはもう特に説明いらないだろう。人間の身体に侵入する病原体のウイルスの比喩で、コンピューターウイルスと呼ばれている。パソコンとかスマホとかに侵入してくる。「誰からだろうこのメール?」とか不審なメールが届いて、添付ファイルを開けたら「わけのわかんないことが書いているなあ」と思った瞬間、感染とあいなりました、みたいになる。
で? この侵入したウイルス君、何をするか?
病気みたいな破壊? 情報の盗み出し? 乗っ取り?
いや、最近のコンピューターウイルスの多くは何にもしない、しばらくは。潜伏期間と言ってもいいかもしれないけど、とりわけ活動しないことが多い。パソコンを破壊もしない。情報の盗み出しもしない。乗っ取りはするけど、乗っ取られたことがパソコンの利用者には気がつかない。
なんというのか、ウイルスに感染したというより、あなたもこれでフェースブックの会員登録ができました、みたいに、会員になる。もちろん、パソコンの利用者が知らない間に会員にされてしまうのだけど、何の会員かというと、これがボットネットの会員。多くのウイルスはボットネットの招待状みたいなものなのだ。
このボットネット会、何をするかというと、たまにイベントをする。握手会みたいな感じで、二つのことをする。一つは、メールの送信、もう一つは、サイトのアクセス。
一つ目の、メールの送信というのは、ボットネット本部から、「このメール他の人に送信してね」という依頼のようなもの。送信依頼されたのはどんなメールかというと、ボットネット会員募集のウイルスも当然あるけど、半数以上が医薬品の広告。2ちゃんねるみたいに違法な薬物の情報をお届けします、というのはあまりない。なんで医薬品の広告かというと、これは話せば長くなるので別に機会があったら説明するけど、まあ、そんな感じ。他に、アダルト情報とか。
ようするに、迷惑メールの送信代理、ということ。ボットネット会員のお仕事は、たまに迷惑メールを送信するだけの簡単なお仕事です、ということ。
もう一つはサイトのアクセス。パソコン利用者が知らないうちに勝手に本部が指定したサイトにアクセスする。で、何をするかというと、特に何もしない。ただ、アクセスするだけ。ええ?
いやこれが、一秒間に10万ボルト、みたいに大量のボットネット会員が特定のサイトにアクセスする。
と、どうなるか、短時間に集中アクセスされたサイトは死じゃう。銀行のオンライン取引とかがダウンする。ドス攻撃とか呼ばれるもの。短刀でぐさりとするみたいだからドス攻撃(これは嘘)。
ひどいことするじゃないかと思うかもしれないけど、ボットネット会員にこうしたお仕事依頼が来るのは多くないので、会員のかたの大半は気がついていない。
でも、いちど本部からお仕事の依頼がくると、ウイルスによってボットネット会員にされたパソコンは、拒絶できない。命令に従うだけのロボットになってしまう。
この「ロボット」の頭の「ロ」が略されて「ボット」。つまり、ロボットをたくさん引き連れたネットが「ボットネット」ということ。ちなみに、ブログは「ウェブログ」の「ウェ」が略されたもの。うぇっ。
そして、「命令」といっても、ごく短いコマンド。行動を誘発するトリガーとなる言葉。
普通のパソコンなのに、トリガーを受けると、ロボットになってしまって、迷惑情報を拡散させたり、特定の事業者の業務を頓死させる、これがボットネット。
もう察しがついた人もいると思う、「心のボットネット」。
「心のボットネット」は、トリガーを受けると、ロボットになってしまって、迷惑情報を拡散させたり、特定の事業者の業務を頓死させる人々の集まり。
コンピューターがコンピューターウイルスに感染するように、人の心(マインド)がマインドウイルスに感染して、普段は普通に生活しているのに、トリガーを受けると、本人も気づかずにロボットになってしまう。
あなた、「心のボットネット」の会員ではありませんか?
知らないうちに、マインドウイルスに感染してませんか?
そう問われても、答えられない。ボットネットのコンピューターを日頃使っているのに気がつかないように。
でも、行動から、わかる。
迷惑情報を拡散させたり、特定の事業者に集中的に言及してその業務を頓死させる、という行動から、わかる。「トリガー」を受けると、迷惑情報拡散や特定業務頓死活動、こういう行動を取る。
ツイッターやフェースブックみたいな会員構造をもつSNSの内部に、マインドウイルスが拡散して、「心のボットネット」が形成される。トリガーになる特定の言葉がこの「心のボットネット」に投げ込まれると、一斉に、迷惑情報を拡散させたり、特定者を頓死させるようになる。
今の、ネットってそうなっているんじゃないかと思う。
困ったね。
でも、そうだったら、命令者がいるはずじゃない。そしてそれは集中システムなんだから、集中を壊せば、マインドウイルスがあっても、「心のボットネット」は崩壊するんじゃないか?
そうとも言える。
でも、このボットネットは、一種、P2P構造をもっている。P2Pというのは、集中部をもたずに一対一の関係を単位にネットワークが形成できるようになっている仕組みだ。
マインドウイルスが対人関係みたいな小さい構造に収まるように仕組まれていたら、そこからできる大きなネットワーク全体は、トリガーさえ知っていれば、隠れて制御できる。
「マインドウイルスが対人関係みたいな構造に収まるように仕組まれる」というのは、「私たち、これが正義だと思います」と言い合う二人の関係このと。
だから、互いにその正義で相手を監視しあい、制御して、それが全体ネットワーク制御になる。
この「正義」の部分こそ、マインドウイルスそのもの。
じゃあ、「心のボットネット」を背後で操る人がいるのか?
いるんじゃないかと思う。といっても、陰謀論みたいに、氏ね氏ね団みたいなものじゃなくて、その集団に利害を集約させるような集団や階層だと思う。
というか、そういう特定利益の集団の暗黙の規約が、そのままマインドウイルスの形態をしていて、「寂しい寂しい私たち群れたい」という多数の人々に、「正義」のふりしてマインドウイルスを埋め込むのだろうと思う。
この「心のボットネット」状態、どうしたらいいんだろう。
どうしたらいいんだろう、というのは、これやっていたら、全体の利益が公正に配分されないし、全体の正義が機能しなくなる。
構造から見ると、ネットワークの「寂しい寂しい私たち群れたい」という受け皿みたいな欲望が解体できればいいけど、それはむずかしい。
ウイルスチェッカーで検知して除去するというのもありかもしれないけど、それこそ心のボットネットの敵なんで、集中砲火を浴びることになる。
ロボットから集中砲火を浴びるなんて、やなもんだよね。
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コメント
今途中まで読んでいるジェイムズ・ハーキン著のサイバービアに書いてあることの理解を深めさせてもらいました。
本の中で人間自身が機会間の部品として作用するというような部分がありそれはどういう事なのだろうと考えていました。
小さな『トリガー』によって一定に振舞うならばなるほどシステムとして成り立つのだなと。
投稿: kurosio | 2012.05.18 11:09
レミングの死の行進みたいに全面的な死滅を避けるために生態バランス的には必要な働きかも知れませんねぇ。但し規模が大きければ現代の人社会ではそれでも十分に社会が破壊されつくすほどインパクトがあるかも知れません。
安全策は頻繁で且つ小規模な発病じゃないでしょうか?
投稿: ト | 2012.05.18 11:50
Stand Alone Complex ですね。
投稿: なるせ | 2012.05.18 12:27
finalventさんの仰る「心のボットネット」とは、
一般的には『スタンドアローン・コンプレックス』という単語で認知されている現象だと思います。
この単語はTVシリーズのアニメーション「攻殻機動隊」で使用されました。
人々はより高度化したネットを通じて意識の共有化を図り、
その結果、無意識のうちに全体としての総意が形成され、
あたかも自分が初めからそう考えていたように思い込んでしまう状況(模倣者と呼びます)に陥る状態をしていしていたと記憶しています。
1stシリーズでは、本質的なオリジナルが存在しない状態から自然発生的に模倣者が次々と出現した状態を、
2ndシリーズでは、強烈なカリスマを持ったオリジナルの存在を意図的にプロデュースし、
意図的に「無意識の総意」や「模倣者」のようなものを作る状況を描いていました。
finalventさんが危惧するのは、後者の方ですね。
これまでは特定利益を持つ集団がTVなどのメディアを通じて
無意識の総意を意図的に作り出している状況でしたが、
あまり注意深くならずとも、そういうものと分かりやすいものでした。
(国内ニュースでは触れない、finalventさんがあえて触れてきた紛争の話題などもその一つになるのでしょうか)
ネットワークが高度化した現代では、背後の思想をより隠蔽しやすく、
また、より効率的に拡散できる状況が出来上がってきているので、
情報に触れる際にはますます注意深くなる必要がありますね。
投稿: schwarzekatz | 2012.05.18 14:39
まさに「心を操るウイルス=ミーム」っすね。
というか世の中ってマインドウイルスゲームだってのが僕の場合の独自の用語です。
投稿: | 2012.05.18 16:30
前項の敷衍が鮮やか。お見事。
投稿: hau | 2012.05.18 22:46
「リフレ派」ってそんな状態ですよね。
投稿: | 2012.05.19 12:51
ここでスタンドアロンコンプレクスなる言葉を引合に出している方々は、まああれはアニメーション映画作品で描かれた造語のようなものですので学術的な裏付もあんまり無いですし、このエントリ記事で「心のボットネット」と名付けて触れようとされていらっしゃます事象とはすこし違うとおもいますよ。
この「心のボットネット」状態、オンライン=ゲームの世界に潜ったら当り前のように形成されます。散惨、わたし攻撃を受けましたよ。古参プレイヤー達によって一度引下げられたモラールは、まさにこの「心のボットネット」の仕掛けを通じて二度と以前の状態にまで回復されることはあり得なくなるんです。
喩え話を引合に出すなら、むしろ『三ッ子脳』の方がふさわしいとおもいます。
『三ッ子脳』問題とは? どれがオリジナルともコピーともいえ無い、全く同じ状態の三つの脳味噌を用意します。それら三つの脳味噌はお互いに監視し合っており、一定の条件によるチェック機能を通じて修復し合うことが可能です。その一定の条件とは? 三つの脳味噌の内の2つの同一性が確認され残りの1つに何かしらの相違が現れた場合、残りの1つを同一性が確認されている全く同じ2つの脳味噌と同じものへと造り変えてしまう(つまり、元に戻してしまう)というものです。
だから。この三つの脳味噌、一度この仕組を作ってしまいますと幾ら個別の脳味噌を、より良い状態へと作り変えようとしましても、三つのうちのどの脳味噌から手を付け始めても未だ手を付け始めてい無い残りの2つの脳味噌の存在のおかげでいつまで経っても三ッ子の脳味噌は同じ三ッ子の脳味噌の状態のまんまで在り続けてしまう、というわけなんです。
投稿: 千林豆ゴハン。 | 2012.05.20 13:43
※気にしなけゃり良いんじゃないかな?
さて本題
まず造語というのがイタいのは説明できない理由が隠されてる
ボットか知らんが要は集中砲火への恐怖があるのでしょう
ウィルス使ってやるのは卑怯だけど普通に反論したこともウィルスにされたと勘違いするのが怖いね
群れたがる寂しい心、集中砲火に怯える心を否定はしない
私も強くはない
だが上に立って発言するならなるべく逃げないで欲しい
※震えたなら上に戻って1行読む
投稿: シーモンキン | 2012.05.21 13:56